2-3 学院生活
ミシェルが話した内容は要約すると
卒業条件の中に十五歳の職業選択の際、戦魔術師の試験に合格し戦魔術師となることが含まれること
戦魔術師クラスとしての授業が1日四時間あること
自分の学びたいことに合わせて前述の四時間以外で課外として授業を受けること。
とくにこれは評価に含まれ、留年せず卒業しようと思えば最低三科目以上の課外を受けることが条件だ。
そして3つ目の内容に合わせて様々な授業を見学した。
各属性の魔術について、魔道具について、複合魔術や各流派の剣術の授業なんかもあった。
なんの課外を受けようかな、戦魔術師クラスの授業は実践的なものが多いらしいしそれに合わせて剣術の授業とか受けようかな。
いや、逆に剣術や体術はクラスの授業に任せて課外は魔術関係に全振りするのも手か。
なんの課外を受けるか考えてるうちに授業見学は終わった。
「三人とも今日の見学を通して何を学びたいか決まりましたか?戦魔術師クラスとして課外はほぼ確実に受けなければなりません。しっかりと考えてきてくださいね。それでは今日は時間も遅いので寮に案内します」
そうして歩き出す先生のあとを三人でついていく。
二人共私と同じように遠いところから来ているので寮に入るらしい。
寮か。入学する前からどんなふうになっているのか気になっていた。
人数が多い通常の魔術師クラスではなく人数の少ない戦魔術師クラスだったらワンチャン個室かもしれないな。
いや流石にないかな。前世より発展してないこの世界ならまあ多分相部屋だろうな。
そうだとしたらヒナと相部屋かな。
……なんか元男としてなんか気が引けるな。いやもう女になったけども。
寮は校舎とは別の棟なので歩いて向かっている。
とくに魔術師クラスとは違うエリアなので少し遠い。
遅刻しないようにしないとな。
「着いたわよ、ここがあなた達がこれから暮らす部屋よ」
着いたらしいが……扉が一つしか無い。それに達?
いやきっと中で部屋がもう一つあったり仕切りがあったりするんだろう。
そうじゃなかったらいろいろマズイ。
「三人で仲良く、大切に使ってくださいね」
「は」
「え」
「?」
マルクは私と同じ反応だった。
まあ普通に考えて男一人が身内でもない女子二人と相部屋で十年とか嫌だろう。
でもなんかヒナは気にしてなさそうな反応だったな。
「先生、それは一部屋を三人で共有しろってことですか?」
同じ反応をしたマルクが切り出した。
まあまずそこが気になるわな。
「ええ、これからはこの部屋を三人で共有してもらいます。まあ中を見たほうが早いでしょう」
そういいミシェルは扉を開ける。
3つ並んだ机に3つ並んだベッド、3つ並んだタンス。
嫌でも三人で使えという意思を感じる。
「じゃあ7時になったら食堂で夕食を食べるから7時に食堂に集合ね。それまでは自由にしてていいからね」
そう言い残してミシェルは部屋から出ていった。
マジかぁ、いくら子どもとはいえこれ大丈夫か?
まあここでゴネても何も変わらないだろうけども。
「…とりあえず荷解きするか」
「…うん、そうしようか」
渋々マルクと荷解きをする。
ヒナはテンションMAXで部屋を探索してる。
一通り荷解きが終わり、ベッドに体を投げ出す。
なんかもう、いろいろ大変だな、これから。
「どうする?これから」
マルクが話を振ってきた
「どうするって、どういうこと?」
「いや、これから夕食まで暇だろ?」
ああ、そういう。
ていってもやること無いよなぁ。
「とりあえず、今ヒナがやってるけど部屋に何があるか一回見て回ってみようかな」
「そうだな。それは俺も気になる」
マルクと一緒に部屋を探索する。
3人分ある机には引き出しがついている。鍵付きの引き出しがあったから貴重品とかはここに入れとこうかな。
次に部屋の中にある扉の中を調べる。
中にはトイレと、──なんとシャワーがあった。
トイレは水洗式だったし水道が通ってるんだろうな。
それにシャワーヘッドには魔法陣が刻まれてるからお湯も出るんだろうか。
三人で相部屋ということを除けば結構綺麗だしいい部屋だな。
「結構きれいな部屋だな」
「そうだね」
「ん〜、あとなんかすることあるか?」
「ベッド決めよ!ベッド!」
先に探索してたヒナが荷解きを終えて会話に参加してしてきた。
「そういえばたしかにベッドを誰がどれを使うか決めてなかったな」
さっき思いっきりベッドで横になったけどそういや決めてなかった。
「はい!私ここがいい!」
ヒナが真ん中にダイブする。
「じゃあ俺はこっちで」
マルクは右のベッドを選んだ。
じゃあ消去法で私は左か。
「机も同じ並びでいい?」
「ああ」
「いいよ〜」
机の並びも決まったところで
「そろそろ7時だね、食堂行こうか」
夕食の時間だ。