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5-48 打ち上げ

「お、来たな」


 待ち合わせ場所、大衆居酒屋の前でアルノーさん達一行と合流する。


「すいません、お待たせしました」

「いや、こっちも今来たところだ。──よし、それじゃ全員揃ったし入るか」


 全員揃ったのを確認し、アルノーさんに続くようにして店の中に入る。


「すまん九人頼む」

「はいよ!一番奥の席にどうぞ〜!」


 店の奥の席に通され、机を挟み二つのチームに分かれて座る。


「遠慮せず好きなもの頼んでくれ。あ、酒はイケるか?」

「まあそれなりに……」

「平気です!全然飲めます!」

「ちょヒナ……」

「そうか!よし、なら麦酒を人数分頼もう!」

「ありがとうございます!」


 ヒナが勢いで押し切り、それをアルノーさんが通してしまった。


 今までお酒飲んだ時全部酔いつぶれて次の日二日酔いになってたのに大丈夫なんだろうか……


「ん〜……よし、注文決まったか?」

「はい」

「俺も決まりました」

「俺も」

「私も〜!」

「よし、それじゃ……すいませ〜ん!」


 アルノーさんが店員を呼び、唐揚げや枝豆なんかのつまみなんかもまとめて注文を伝えていく。


「──以上でよろしかったでしょうか?」

「はい、それでお願いします」

「わかりました。では先に麦酒と枝豆だけ持ってきますね」

「ありがとうございます」


 そう言い厨房に引っ込むとすぐに人数分のジョッキーと籠一杯に入った枝豆を持って戻って来る。


 そして九人全員に麦酒を配り終える。


「ではごゆっくりどうぞ」


 そう言うと店員はトレーを持って厨房へ戻っていく。


「よし……それじゃ、今日の俺たちの幸運に、助けてくれた心優しい冒険者に、そしてこれからの互いの活躍を祈って、乾杯!」

「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」


 黄金色の液体が入ったジョッキをぶつけ合う。


「いやぁほんと今日は助かったぜ!」

「いえ、人として当たり前のことをしただけです。特別感謝されるようなことじゃないですよ」

「それでも俺達が助けられたのは事実だ。その礼としても、今日は好きなだけ食べてくれ!」

「……ありがとうございます」

「これは俺達があんたらに恩を返してるんだ、それこそ礼を言われる筋合いはねぇぜ?気持ちよく奢らせてくれよ。ほら、飲んだ飲んだ」


 アルノーさんに促されるままにジョッキの中の液体を一口飲み込む。


「……もしかして酒は苦手だったか?」

「いや、そういうわけじゃないんですけど……」

「──っはぁ〜、すいませ〜ん!おかわり下さ〜い!」


 まだメインの料理も来てないというのにジョッキを一杯飲み干してしまったヒナを指差して話す。


「後先考えずに飲む仲間がいるんで連れて帰れるくらいにはシラフじゃないといけないんです」

「そうか……レイチェルも大変だな」

「いえ、そこまでじゃないですよ。……まあ加減を覚えてくれると助かるのは事実ですけどね」

「そりゃそうだ。そうだな……じゃあ飲めない分色々食ってくれ。この唐揚げとかうまいぞ」

「ありがとうございます。……美味しいですねこれ」

「だろ?この店の看板料理だ。まだまだあるから好きなだけ食ってくれ」

「ありがとうございます」


 大量に皿に盛り付けられた唐揚げをつつきながら色々な話をしていく。

 迷宮の話、仲間の話、武器の話、日常の話、ジャンルを問わずなんでも話題にあげては笑い合い、酒とつまみが減っていく。


 マルクもベインもヒナも各々好きなように食べては笑い合い、熱気がこもっていく。


















「あは、あははっ、ははっ──」

「ヒナ〜、帰るよ〜」

「え、ん、ん〜?はっ、あはっ」

「おいおい大丈夫かよ……」


 脳みそにアルコールがまわり、もう何がツボに入ったのか笑いが止まらないヒナに声をかけ続けるが……


「あは、あはは〜」

「はぁ……ダメそうだね」

「どうする?こんな酔っ払ってたら歩けそうにもないし……」

「仕方ない。《精神睡降(アストラルフォール)》」

「へ?あ──」


 魔術がかかるのと同時にヒナの意識が飛び、机に突っ伏してしまう。


「お、おい、これ平気なのか?」

「二、三時間もすれば起きますよ。よいしょっ……と。それじゃ今日はありがとうございました。お先に失礼します」

「そ、そうか……それじゃまたな」

「はい。またお時間があればまた飲みましょう」

「おう!じゃ、またな!」

「はい!また!」


 一足先にヒナを担いで店を出る。


「じゃ、帰ろっか」

「ああ……ヒナはどうするんだ?」

「私が部屋に寝かしてくるよ」

「わかった。じゃ、早めに帰ろう」

「だな。明日も迷宮には行くし早めに帰ろう」

「そうだね。……まあ明日ヒナが動けるかわかんないけど」

「まあ二日酔いで潰れるのは分かってるし症状を軽減するためにも早めに寝かそう」

「だね。さっさと帰って寝よう」


 ギルドに向かって歩き出す。



 楽しい打ち上げは終わり、ほのかに残った熱気とともに店を後にする。

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