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5-41 迷宮探索の反省と対策

「はぁ……疲れた」

「お疲れ〜」

「お疲れ様。どうする?とりあえずお祈り行ったあと魔石を換金したらもう何も予定無いが……」

「換金まで終わったらひとまず解散で良いと思う。何かやりたいことあるなら……あ」

「どうした?」

「ギルド戻ったらベインとマルクに手伝ってほしいことがあるんだよね。大丈夫そう?」

「別に構わない」

「俺も大丈夫だ」

「ありがとう。じゃあとりあえずお祈りから行こっか」

「わかった」

「わかった」

「了解」


 今後の予定を軽く決め終え、教会に向かって歩き出す。

 そしてその途中で──


「そういえばお前らは祈る時なんの能力を伸ばしてるんだ?」


 一つの話題が上がる。

 まあここには祈ることではなくspによる能力上昇に重点を置いてる人しかいないしこの話題が上がるのは当たり前か。


「俺は今のところ『体力』と『筋力』かな。ただ今日の感じだと攻撃を通すために『筋力』を重点的に伸ばすことになりそうだ」

「俺もだな。もちろん鍛錬は積むがより早く強くなり、迷宮探索を進められるなら使えるものらなんでも使うつもりだ」

「やっぱり二人はその二つだよね。私は今結構悩んでてね……今までは『魔力』を伸ばしてたんだけど私の攻撃なら通りそうだしもっと『筋力』と『体力』に振ってもいいかもって思ってるんだよね」

「これから立てる作戦にもよるがいいんじゃないか?」

「後衛としてはヒナが十分に火力を出してくれてるし前衛寄りの立ち回りになってもいいとは思う。まあその分ヒナに負担がかかるが」

「私は全然平気だよ〜。今は『魔力』を伸ばしてるからまだ結構余裕あるんだよね」

「ヒナはもとから魔力量が多いからね。魔術薬(ポーション)での補給を考えたら私が前衛寄りの立ち回りになってもいいかもね──っと、作戦の話はここまで。ちょっと静かにしようか」


 色々話してたらいつの間にか教会までたどり着いてた。

 作戦立ち回りの話はギルドに戻った時、夕食のときにでも固めればいいし今はお祈りの方を優先しよう。


 静かに、音を立てないよう祝詞が読み上げられる教会の中に入っていく。




















 お祈りを終え、ギルドに帰ってきた。

 そしてそろそろ解散するというタイミングで──


「よし、じゃあまた六時半にここ集合で。で、ベインとマルクはちょっとついてきて」


 二人を呼び出し、ヒナと一旦別れる。


「じゃ、また後でね〜」

「うん。また後で」


 部屋に戻るヒナを見送り、三人で向き合い本題に入る。


「で、俺らは何したらいいんだ?」

「とりあえずここじゃ何もできないから場所を移そうか。ついてきて」

「わかった」

「わかった」


 二人を連れて歩き出す。

 目指すのはツケをつけてもらってる、ギルドに来た初日からお世話になってるあの場所。


「ついたよ」

「ここは……鍛冶場?装備を新調するにはまだツケも返してないしお金も貯まってないが……」

「言っとくが俺もそんなに金ないぞ?」

「それは私も。だから、武器以外で使えるものを買いに来たんだよ」

「それは……?」

「とりあえず入ってからね。すいませ〜ん!」


 分厚い鉄扉の奥に聞こえるよう大声で一度呼びかけてから扉を開け、熱気の籠もる鍛冶場に入る。


「ん?レイチェルじゃねぇか。どうした?まだツケ払えるほど稼げたわけじゃないだろ?」

「はい。ですのでより深く潜るためにちょっと道具を買いに来ました」

「矛盾してないか?金ないんだろ?」

「いや、安く済むはずなので大丈夫です」

「ん?まあいいが……とりあえずそっちの棚の中のは売り物だから好きに探せ」

「ありがとうございます」


 目当てのものを手に入れるために棚の中、アクセサリーのコーナーから探し始める。


「え〜っと……あった。二人ともちょっと手貸して」

「別に構わんが……装飾品?何するんだ?」

「……あ」

「マルクは気づいたかな。まあ見てればわかるよ。え〜っと……これとかちょうどいい大きさかな」


 棚の中からサイズの合う指輪を選び取る。

 ギルドに来た初日に色々物色したときに見つけたがこんなものまで取り扱って買い手はいるのかと思ったがまさか私が買うことになるとは。


「何するんだ?」

「まあ見てて。すいません、指輪二つ分の代金です。それと、ちょっとこの机お借りしますね」

「おう、丁度だな。そこら辺のは好きに使っていいぞ」

「ありがとうございます」


 近くにあった小さな机を一つ借り、道具を広げる。


「これは……彫刻刀?」

「やっぱりか」

「うん。五年前にも同じようなことやったね。じゃ、ちょっと加工するから貸して」


 指輪二つを受け取り、針のように先が細い彫刻刀に魔力を流して魔法陣を刻んでいく。

 刻むのは血属性の身体強化だ。もちろん調整をミスると逆効果なので効果をシンプルなものに絞り、その上で制限をかけて危険性を排除する。


 そのための魔法陣は……こんなものかな。


 危険がないか一度自分で使って確認し、安全ということを確かめられてから二人に渡す。


「身体強化の術式を刻んでみた。ただちょっと特殊な術式だから危険はないと思うけど気をつけてね」

「わかった」

「わかった」


 二人に指輪を返し、装着してもらう。


「ちょっと使ってみてもいいか?」

「うん。気をつけてね」


 二人は指輪に魔力を流し、指輪に刻まれた術式を起動する。


「お、おお……」

「これはまた特殊な術式を刻んだな……」

「どう?使えそう?」

「これくらいの強化なら問題ない。むしろもっと動きが良くなるはずだ」

「俺も問題ないと思う」

「大丈夫そうだね。強化の度合いは流す魔力の量で調節できるからね」

「わかった」

「わかった」

「じゃあとりあえず用事は済んだし私たちも解散しようか」

「わかった。それじゃまた夕食のときに」

「またな」

「うん。またね」


 解散し、二人は鍛冶場から出ていく。


「今のは魔術を刻み込んで魔道具にしたのか?」

「まあ、はい。効果はそこまで強くないと思いますが」

「器用なもんだな。あんな小さい指輪(もの)に刻むなんてよ。てか俺はてっきり婚約指輪でも買いに来たのかと思ったぜ」

「違います。ってか私もそろそろ戻ります。またお世話になると思うのでその時はまたよろしくお願いします」

「おう。金を払うならいつでも歓迎するぜ」


 最後に短く言葉を交わし、私も鍛冶場から出る。


 安めで媒体も調達できたしかなりお得な買い物だったな。

 役に立てばいいんだけど……とりあえず私にできる下準備はこんなものかな。



 目的を達成し、疲れた体を引きずって部屋に向かって歩き出す。

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