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5-28 選択肢

「ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでした!」


 昨日連れてきてもらった情報屋で昼食を摂り、ついでに張り出された紙を読み漁る。


「今三層で新種の魔物が出てるらしいよ」

「どれだ?ふむ……提供された情報によると……羽の生えた魚みたいな見た目の魔物が飛んできた、か。……あそこ水とかあったか?あの無機質な石造りの回廊は魚類が生き残れる環境には見えないが……」

「そもそも魔物の生態自体がわからないからそれは全部の魔物に言えるよ。植物が自生してないのに生き物がいる事自体がおかしいんだし」

「まあまあ別にいいじゃんそんなこと!新種の魔物だよ!?面白そうじゃん次はそいつ探しながら探索してみようよ!」

「ん〜……そうだね、探してみよう。本当に居るなら私たちなら見つけられるだろうし、手柄として認められて昇級させてくれるかも。それに未知の魔物は私も気になる」

「じゃあ明日の方針は決まったな。三層を中心に探索し、新種の魔物を探す。これでいいか?」

「賛成かな」

「さんせ〜い!」


 新種の魔物を探すという方針で迷宮に潜ることが決まる。


 新種の魔物か……羽の生えた魚みたいな見た目らしいがどれくらいのサイズでどんな見た目なのか気になるな。

 大まかにだが魔物にも群生地があるのはわかってる。


 群生地まで見つけられたら魔物の生態の研究が進む可能性もあるし、かなりの手柄として認められるだろう。

 昇級の可能性もあるはずだ。


 早めに昇級しておきたいのでできればこの機会をものにしたいところだ。

 とくに金階級からできることがぐっと増える。

 受けれる依頼が増えるのもだが、フロアボス討伐などのギルドからの依頼などの特殊なもの、一攫千金も狙え、手柄も挙げられるかもしれない。

 そんな夢が詰まった依頼が受けれるようになるんだ。早く昇級したいところだ。


「──っと、そろそろ行こうか。ギルドに戻って魔石を換金してみよう。これからの生活も考えてどれくらいの値段になるのか知っときたい」

「だな。持ち続けても危ないだけだしさっさと換金してしまおう」

「じゃ、帰ろっか」


 情報屋を出て、迷宮区を離れ、ギルドへの帰路を歩む。



















「え〜っと……この階級の魔石だと……金2に銀40になります。それから一割引きまして……はい、金2、銀16になります」


 換金を終え、その換金結果に絶句する。


 三等分すれば一人当たり銀72、日本円に換算してざっくり7200円。

 おかしい......学院にいた頃はもっと高値で取引されてたはず......


 いや原因はわかってる。魔術と鍛冶技術が進歩して装備品の質が高まり、生還率、一度の探索で得られる魔石の量が増えたことが増えたことで値下がりしたのだ。


 しかしこれは……ぶっちゃけ装備のメンテナンスなんかで出費があればそれだけで火の車だ。


 宿は無料で借りれるので光熱費は考えなくていいのはありがたいがギルドの宿には自炊できるだけの設備がない。

 つまり食事は必ず酒場かレストランを利用するしかないわけで……

 三食全部外食なんて食費がやばいことになるぞ……

 こんな収入じゃいくら節約しても食費だけで大半が消し飛ぶ。


 やばいぞ......


「一つ聞きたいんですが、新種の魔物の発見って何か報酬とか出ますか?」


 とりあえず今はお金が欲しい。

 とりあえず可能性はあるし聞くだけ聞いてみよう。


「それならえ〜っと......ありました、数年前に新種の魔物を見つけた迷宮の研究に貢献したとして昇級と、お金が報酬として支払われた資料が残ってます」

「なら......」

「探すしかないな」

「もしかして皆様新種の魔物を見たという情報をどこかで聞かれましたか?」

「はい。迷宮近くの情報屋で新種の魔物を見たという情報を見たんです」

「なるほど......では一つだけ言わせてください。この手の話には経験上ほぼ確実に裏があります。嘘の情報で冒険者をおびき寄せて襲う、といった事例が過去に何件も報告されてます。探しに行くのは止めませんが、気をつけてください」

「......わかりました」


 結構やばい話だったので色々聞きたかったが後がつかえてるのでとりあえずお金だけ受け取ってその場を離れる。


「......どうする?完全に探しに行く予定だったが今の話聞く限りかなり怪しくなってきたぞ?」

「だね。でも想像以上にお金にならなかったしこのままじゃまずいよ?」

「うん。だから今、選択肢は二つあると思う。一つは危険を承知で新種の魔物を探しに行くこと、二つ目はさらに下に降りてより希少で高価な魔石を取りに行く」


 そう。今私たちにはこの二択を迫られている。

 そして、この答えはほぼ一択だ。


「下に降りよう。犯罪組織と戦うことになるよりはマシなはずだ」

「私もそう思う」

「じゃあ、明日はより下に降りよう。それで、本当はやりたくないけど犯罪組織と出くわすのも嫌だし三層を無視して四層まで降りよう」

「わかった」

「わかった」


 この方針に二人は頷いてくれた。


 多少リスクはあるが仕方ない。犯罪組織と刃を交えるよりはいいはずだ。



 リスクを天秤にかけた結果、リスクを飲み込み、一気に四層まで降りることが決まった。

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