1-11 魂の力
「じゃあ今から『お祈り』の説明するからちゃんと聞いてね?大切なことだから」
別にこのクレイ教を信仰する気はないんだけどな…
それにさっきから重要なことってことを繰り返し言われてるがなにがそんなに重要なんだ?
「そうね、『お祈り』の説明しようと思ったけど先にspの説明からするわね。spっていうのは…まあざっくりいうと魂なの、どんな生き物にも魂があって、その生き物が死んじゃったあとその魂は散らばっちゃうんだけどその魂は近くの魂にくっついちゃうの、そのくっついた魂がそのsp、で、それをそのままにしちゃうと自分の魂が死んじゃった生き物の魂に引っ張られて弱っちゃうの。そしてそれにまた引っ張られて体にも変化が出るの。だからその魂を神様にお祈りして自分の魂の力として吸収できるように変えて貰うの」
弱った魂が近くの魂にくっつく──それって三年前、この体に引き込まれた時みたいな──
「ってまあ難しいこと言ってもまだ分からないか。とりあえず一回やってみようか。今自分が強くなりたいところを念じながら目を瞑って」
……考えるのは後だ、とりあえず今はマリーに従おう。
強くなりたいところ……つまり伸ばしたい能力とかでいいのか?じゃあとりあえずどこでも役に立ちそうな体力と魔力……かな。
じゃあとりあえずその2つをイメージしよう。
「『主よ、かの者たちに再び立ち上がる力を与え給え』………はい、終わり。今のはめちゃくちゃ略式の祝詞だからホントはもっと長い祝詞があるんだけど今はレイチェルちゃんしかいないから早く終わるからね」
なにか変化したか見るためステータスを使って確認する。
体力と魔力のレベルが1ずつ上がってる。
そしてそれに加えてレベルが3に上がっている。
なるほどこうしてレベルが上がるのか。
これとは別で練習したりトレーニングしてもレベルも上がるのだろう。
魔術とかスキル欄にあったし、今までお祈りをしたことがなかったのにステータスがレベル1じゃなかった。
というか今の祝詞……まるで魔術の詠唱みたいだ。
しかし仕組みが全く分からん。魔法陣も見当たらないし。
ステータスみたいに真似て習得するのは無理そうだ。
「他の教会は毎日やってるかもしれないけどここは人も少ないから週に一回だけやってるわ。お父さんたちと一緒に来てね」
手抜きしてんのかい。
「レイチェル、お祈りが終わったならそろそろ帰るぞ」
もう用はないのか。なら帰るか。
「またきてね〜」
マリーに見送られながら教会を後にする。
それにしても先天属性は氷か。それに血属性もある。
氷は本で記述を読んだが……血属性は読んだことがない。帰ったら調べてみよう。
あとたしか先天属性は陣を描かなくても発動させられるらしいし軽く試してみるか。
そうだな……イメージはちょっと冷やすくらいで……
ステージを固め、魔力を動かす。陣を描くときは魔力を陣に通せばよかったので分かりやすかったが今回は陣がないのでイメージしづらい。
とりあえず手から出す感じで……
冷たっ!
成功…はしたようだ。
ただちょっと制御難しいな……要練習だな。
「ただいま」
「おかえりなさい。レイチェルは何属性だった?」
「氷だったよ」
「そう、これからいっぱい練習しないとね」
「うん」
もとからそのつもりなので特に気にせず返事をする。
「とりあえずお昼ご飯、食べましょうか」
そうか、もうそんな時間か