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5-14 関所

「依頼は東区でしょ?地図見る限りちょっと遠いし早めに行っとく?」

「あっちの指定した時間までまだ余裕あるしもう少しゆっくりしてても良いんだけど……まあ早めに動くに越したことないか」

「だな。装備は手元にあるしこのまま出発しよう」


 マルクの言う通り剣も杖も手元にある。

 拡張収納(マジックバッグ)もあるし大抵のものは入ってる。

 このまま行っても問題ないだろう。


「じゃあ行こっか」

「ああ」

「りょうか〜い!」


 受け付けからエントランスへ向かい、そのまま外へ出る。


 まだ早朝だからか人は少ないが、活気あふれる街並みが目に映る。


「よし……ここならいいかな──《空間把握(グラスプ)》」


 ギルドを避けるようにして魔力を放出し、活気あふれるこの街に《空間把握(グラスプ)》を展開していく。


 道行く冒険者の顔、店頭に陳列された商品の数、吹く風の行先まで、事細かに情報として頭に流れ込む。


 昨日使えなかったせいか、自分の機能、身体の一部を取り戻したようなある種の開放感で満たされる。


「東区に行くには……こっちだね。ついてきて」

「わかった」

「……いつも思うけど二人のその魔術ずるくない?私も使いたいんだけどな〜」

「う〜ん……《空間把握(グラスプ)》は加減が難しいからね……」

「不器用なヒナには向かないな」

「ちぇ〜」

「まあ効果が便利な反面、制御が難しいのが弱点だからな。加減が難しい上、ちょっとでも失敗すると立て直しが効かない。効果が発動しなくなるか、反動で逆にこっちが怪我をしかねない。俺でも実践で使える精度を保てるのは視る、感じることができる《空間把握(グラスプ)》まで。空間跳躍や空間拡大、縮小なんかは全然だ」

「学院でも使える人全然居なかったしね。そう考えるとレイチェルちゃんって凄いね」

「いやいや、練習次第だよ。私だって最初から満足に使えたわけじゃないし。ヒナもマルクも魔術を使う感覚ができてるしコツを掴んだら使えるようになると思うけどな」

「まあそのコツが掴めないから大半の魔術師は空間魔術を使えないんだがな」

「だよね〜ってかこれ今気づいたけど無属性魔術に似てるね。独特な感覚が求められて、それを理解できないと十分に使えないところ」

「言われてみればそうだな。というか研究が進んでない分よりタチが悪い」

「言われてみればそうだね──ってそろそろ関所だね」


 地図でもみたがこの街を区分けしている境目には検問を行う関所がある。


 犯罪防止や危険物の持ち込みを止める効果があるんだろうが……まあ犯罪企てるやつはこんなとこ正々堂々通らず裏道探すから大して効果なさそう。


 ただし、逆を返せば関所を通る人は検問に引っかからない自身があり、通るだけで身の潔白を証明できる。

 この治安の良くない街で、裏道をせっせと探す輩がたくさんいることを大半の人が知ってるからこそ、この当たり前のことがより強調されて信頼に繋がるはずだ。


 というより、それ狙いかギルド入会の手続きの時書いた契約書の契約事項の中に『区を跨いだ移動の際は関所を介して移動すること』と書いてあった。


 まあやましいことは無いし、これからお世話になる組織が信頼されやすくなるというならわざわざ逆らう理由もない。

 大人しく検閲が終わるのを待つのが吉だろう。


「身分を証明できるものをご提示ください」

「ギルドのものと戦魔術師(バトルメイジ)の徽章があります。これでいいですか?」

「はい。確認できました。一応武器類だけ確認させてもらっていいですか?」

「わかりました」


 私のを含め三人分の武器と杖を手渡し、検閲して貰う。

 剣と刀を鞘から抜き、杖を隅々まで見落としが無いようチェックしていく。


 ……なんか緊張するな。


「……はい、大丈夫です。どうぞ、通過してもらって大丈夫です。ご協力ありがとうございました」

「ありがとうございました」


 手渡した武器と杖を受け取り、腰に下げる。


「え〜っと……こっちだね。行こう」


 《空間把握(グラスプ)》で道を確認しながら依頼主が待つ場所へ足を進める。



 初仕事の場まであともう少しだ。

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