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5-10 ギルド探索2

 刃を削り、研ぎ、パーツを取り替え剣を修繕していく。


 その手捌き、作業の早さは素人から見ても分かるほどの技量、凡人には真似できないほどの努力、修練の積み重ねが見て取れた。


「……よし、こんなもんだろ」

「ありがとうございます」


 細剣を受け取り、鞘から抜いて軽く振ってみる。


 ……うん、前より格段に使いやすい。というより手に馴染む。

 学院で使ってた時よりも持ちやすく、振りやすい。


 柄が新品に変わったのもあるが、なんというかバランスが良くなった気がする。

 剣の重さが均一になってとても使いやすい。


 凄いな……


「普段なら料金取るんだが今回はいい。入会祝いくらいに思っとけ」

「ありがとうございます」

「じゃ、武器の手入れは終わったからあとは防具だな。今これといった装備持ってないんだろ?」

「はい。荷物になるのでこっちに来てから買い揃えようと思ってたので」

「だったらそっちの方に色々置いてある。好きなやつ選んで持って来い」

「よし、探すか」

「お願いします」


 カイと一緒に武器防具の山からサイズの合いそうな物を探す。


 とりあえず探さなきゃいけないものは最低限靴と胸当てと篭手の三つ。

 最初は重装にすると動きにくい上修理メンテナンスなど維持費も嵩むらしくオススメできないとのこと。

 なので最低限の装備、邪魔にならない程度の軽装で揃えていく。


「ん……大きい」

「これはどうだ?」

「ちょっと大きいですね……」

「じゃあこっちはどうだ」

「……大きいです」

「なかなか見つからんな……もうこれ以上小さいやつないんじゃないか?」

「こっちも見当たらないです……」

「これあれだな、お前みたいな体型のやつが来ること想定されてないな」

「……身長は気にしてるんですよ?」

「あー、うん、それはすまん。とはいえ無いのはどうしようもないしな……作ってもらうしかないか」

「え、いやそれはちょっと……お金が……」

「ま、だよなぁ……」


 父さん達から多少は貰ったがそれを削ると今後の生活がな……

 命綱切ってまで揃えるのはちょっとリスキーすぎるな。


 いや、装備がないと迷宮に行けないから稼げないしここは作るべきか……?


「別に支払いは今すぐじゃなくてもいい。ツケにしといてやる。迷宮に行って稼げるようになったら返しにこい」


 つまるところ借金か……いや、ローンと考えれば……

 多分利子はつかないしここは大人しく作ってもらうべきか?


「……じゃあ、お願いします」

「わかった。とりあえず採寸だけする。そうだな……三日後には仕上げとく。そんとき取りに来い」

「分かりました。あと、私の仲間も同じように防具の作成をお願いしに来るかもしれません」

「わかった、そんときも同じようにツケにしとく」

「ありがとうございます」


 ありがたい話だ。特に駆け出しの私たちからすれば稼ぎは少ないだろうし先延ばしにしてくれるだけでもありがたい。


「うし。じゃ鍛冶場でやることは終わったな。次行くか」

「はい。ありがとうございました」

「おう、頑張れよ」

「はい!」


 分厚い鉄扉をくぐり、熱気籠る鍛冶場を後にする。

















「んで、ここが魔書店だな。まあざっくり言うと迷宮産の魔道具みたいなもんだ。ただし、使い切りの物ばっか。それも本や巻物みたいなやつに一つの魔術だけ刻まれてる。まあ魔術を使えない身からすれば重宝するけどな」

「使い切りの魔道具ですか......」

「ああ。なんでもお偉い学者様の考えだと迷宮の魔力を受けた物が魔術が刻まれて変質して形を変えて出来たものなんだとよ」

「迷宮の魔力で変質、ですか」

「らしい。なんでも常に魔力で満たされてる迷宮ならではらしいな。だから刻まれる魔術もバラバラ。狙った魔術が刻まれるなんて一生かけても出会えるかどうからしいぜ」

「そんなに種類あるんですか?」

「めちゃくちゃあるな。それに見つけるのもなかなか難しい。ただまあ傾向はある。構築が単純なものが多いな。火を出す水を出すとかな。そして構築が高度なものほど高値で売れる。だからそれ狙いで迷宮に潜る奴もいるな」

「そうなんですね」

「ああ。そして、これの一番の利点は詠唱が要らない、構築が必要ない既に完成された術式ってところだ。咄嗟に使いやすくて出も早い」


 確かに訓練した魔術師でもない限り咄嗟に状況に応じて魔術を構築するのは難しい。

 それに魔術が使えなくても遠距離攻撃手段を得るのも良いな。


「まあこんなとこだろ──っと、この魔力は......最初あった時に使ってた魔術お前以外に使える人は居るか?」

「え、はい。仲間に一人」

「じゃ、帰ってきたんじゃねぇの?」

「あ──」


 確かにもうかなり時間が経ってる。

 戻ってきてても不思議じゃない。


 無詠唱で《空間把握(グラスプ)》を発動させ、マルクの姿を探す。


「居た──」



 ギルド会館のエントランスに二人の姿が視えた。

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