1-9 進路選択
ルークから提示された条件の2つ目は学校に通うことだった。
聖騎士と戦魔術師のどちらか目指す方に合わせて違う学校に通わされるということか。
別に嫌なわけじゃない。それこそ自力で魔術を学ぶのに限界があるというのも分かりきってたことだし本来願ってもない話なのだが……この世界の学校と前世の学校が同じものなら経験から学校は拘束される時間が増える。
授業とか課題とか…いや紙を使えないなら課題はないか?いや絶対別の何かが増えるな。
しかし背に腹は代えられない。それに学びたいことがはっきりしてる分前世よりマシだ。
ここは割り切って学校に通うことを承諾するしかない。
ただ、聖騎士と戦魔術師がどんな職業なのか分からないからその内容を聞いてからどちらを目指すか決めさせてもらおう。
「聖騎士と戦魔術師ってどう違うの?あと、なんでその2つが条件なの?他の上位魔術師とかじゃ駄目なの?」
「聖騎士は騎士より高い剣術の腕と治癒魔術の腕が必要だ。戦魔術師は戦士と魔術師としての実力必要だ。戦士として戦う力、魔術師として様々な魔術を扱う力がいる。
それと聖騎士と戦魔術師が条件の理由だが、迷宮は地下に向かって広がっているから上位魔術師が扱うような大規模な魔術は不向きだと思ったからだ」
なるほど、聖騎士はまんま騎士の上位互換で接近戦メイン、戦魔術師は接近戦も魔術もできるオールラウンダーってかんじか?
ならどっちかと言われたら戦魔術師かな。
剣に興味はないわけじゃないがどうせならもう手をつけてる魔術も学びたい。
「分かった。じゃあその2つなら私は戦魔術師を目指したい」
「そうか…分かった。学校の方はお父さんたちで探す。ただ、この村から通える場所は難しいと思うから寮で──お父さんたちと別々で暮らしながら通うことになると思うが、それでいいか?」
「……うん。分かった」
正直予想はしていたが寮暮らしか……正直不安だ。
それにまだ三年しか暮らしていないが──前世と比べれば短い期間だがそれなりに愛着がある。
生まれ育った家から離れるのはやはりそれなりの不安がある。
「母さんもそれでいいか?」
「ええ、レイチェルがそうしたいなら構わないわ」
ローラは私の意思を尊重してくれるらしい。
ありがたい限りだ。
「そうか。なら二年後、レイチェルが5歳になったら魔術学校に入学させる。それで構わないな」
「分かった」
「ええ」
「分かった。それじゃあとりあえず、ご飯、食べようか」
...忘れてた。そういえば朝食の途中だった。
話すことがなくなったからか何も喋らず黙々と食べる。
「ごちそうさまでした」
各々食べ終え、部屋に戻ろうとする私にルークが声を掛ける
「少し出掛けるから着替えて準備しなさい」
「分かった。じゃあ着替えたらダイニングで待ってるね」
どこ行くんだろう。とりあえず着替えるか。
約五分後、私とルークは準備を終え、ダイニングに集まる。
「それじゃあ、行こうか」
「そういえば聞いてなかったけどどこにいくの?」
「教会に行くんだ」
「何しに行くの?」
「レイチェルの『ステータス』を見に行くんだ」
『ステータス』?そんなゲームみたいなものあったの?この世界。