コラキは良い人?
2週間後
やまとがいつものように仕事をした。その帰り道
<出会ってからまだ、アメリアの顔見たことないけど、アメリアさんの顔どんな感じなんだろう?>
そんなこを考えながら、宿屋に戻ろうとすると、アメリアが宿屋の玄関で待っていた。
(やまとさん、原因が分かりました)
(え、分かったの?)
(原因は、波です)
(波?)
(はい、波です。私の占いは、一場面しか写し出さないんですよ。ですので、波が飲み込んでる場面が見えました)
<波が飲み込むか、>
(もしかして、近くに海がある?)
(ありますけど、10日ぐらいあるけば着きますけど)
<津波か?>
(その波が来るとでも思ってるんですか?)
(そうだね、その可能性が高い。ここって壁ないんだよね)
(キルシュバンの所から守るための壁はありますけど)
(周りにはないんだよね)
(ありません)
<津波か、これで行くしかないのか?>
(2年後だよね)
(そうだと思います)
(どこから来るか場所は分かる?)
(分からなかったです。この国、周辺どの方向もすべて同じですから)
<そういえばそうだったな、歩いた時も同じ場所が多かったというより同じ場所ばっかりだった。2年は時間がないな、10メートルくらいの壁は欲しいよな、これで決めるしかないな>
(分かった)
やまとは、宿屋の自分の部屋に戻り、部屋を漁り始めた。
(どうしたんですか?)
(明日から、遠出します)
(どうして?)
(この国の人たちにこの事を伝えるんですよ)
(え、もう伝えるんですか?)
(はい)
(この国が壊れるなんて聞くと思いませんけど)
<それはそうだ>
(やるだけやってみます。あの、アメリアさんは占いお願いますね)
(はあ、分かりました)
アメリアは急な展開についていけてなかった。
1週間やまとは、仕事とこの国のことを伝えることを両立しながらおこなった。
(みなさん、この国は、波によって壊されます。早く防壁を作らないと壊されてしまいます)
やまとは、人が一番通る城の近くで演説をした。
やまとの主張も虚しくタイダル国の人々には、響かなかった。
(うるせえぞ)
(この国は、神様が守ってくれています。その考えは神様への冒涜だ)
(馬鹿にしてんのか)
(何言ってんだこいつ)
(くだらない)
(お前またやってのかよ、お前は、ここから出ていけ)
(出て行け)
(で―てーけ)
周りの人たちが一斉にやまとに向かって、言った。
(でーてーけ)
<ちょっとやばいな>
やまとは、今日は帰ろうとした時、眼鏡をかけた青年に声を掛けられた。
(すみませーん、ちょっといいですか?)
周りが急にざわめきだした。
(コラキさんじゃない、あの人)
(あ、本当だ)
(コラキさんだ)
コラキという名前がやまとの耳に入ってきた。
<この人がコラキ、若いな>
(なんですか?)
(あの、この国、波に壊されるって本当ですか?)
(は、はい)
(あなたが、占ったんですか?)
ドキッとした。
(は、はい)
(そうですか、でしたら国王の所に案内しますよ。早く伝えないと大変じゃないですか)
突然のことに耳を疑った。
(国王の所に連れてってもらえるんですか?)
(もちろん)
<これは僥倖だ。それにしても、どれだけの力を持ってるんだ、このコラキというやつは。>
やまとは、コラキの言う通り城の中まですんなりと入った。気付いたら国王の目の前にいた。
周りには兵士、やまとの隣にはコラキがいた。
国王はやまとに話しかけた。
(そなたが、これからこのタイダル国が滅亡すると占った者か)
やまとは、返事をした。
(はい)
(そうか、この国は未来でどうなる?)
(波により滅亡します)
(そうか、そうか滅亡するのか。この神に守られている国が)
(はい)
(そうだ、コラキよそなたも占ったのであろう。この国の未来を)
コラキが返事をした。
(はい)
(で、どうだった)
(何も起きませんでした。この国はずっと平和のままで、何も変わっていませんでした)
<あれ、どゆこと?>
(滅亡しないのか、おかしいな、滅亡するって聞いたんだが、もしかしてそなたは、嘘をついたのか)
慌てて弁明をした。
(まさか、そんなことはありません)
(そんなことないか、そうか、そうか、全兵士に告ぐ、この男は、あらぬ嘘で国民を混乱させ国家転覆をもくろんだものだ。死刑にする。牢屋に連れて行け)
(は)
兵士が一斉にやまとを拘束した。
やまとは、急すぎて何が起きたのかよくわからなかった。でも、コラキの言葉だけは理解が出来た。
(この国のやつらが、そんなことを言って信じると思ってんのか?俺は、もうちょっとここで、楽しんでから、逃げるとするよ、遠いところにね。)
やまとは、そのまま牢屋に連れ去られた。




