女神に雑に扱われた男の転生人生
(今日も疲れたな、早く帰って寝よう)
やまとは、いつものように働き、日々の疲れを引きずりながら家路を歩んでいた。周囲は人影もなく、街灯が不安定に点滅する道を、ぼんやりと歩みを進めていた。
そんな時、前方からフードを被った一人の男が走って近づいてくる。彼がランニングをしているのだろうか?フードを被った男とすれ違う瞬間、突然体をぶつけられた。奇妙な暖かさを腹部から感じ、やまとは驚愕の中で腹を見ると、なんと包丁が刺さっていた。
(えっ……)
腹部から鮮血が噴き出し、激しい痛みがやまとの身体を襲った。混乱と疑問が頭をかすめ、彼はパニックに陥った。血は止まることなく噴き出し、やまとは次第に衰弱していくことを自覚した。
(助けて、だれか……)
やまとは全力の叫びを上げるが、その声は虚しく、小さくか細い鳥のさえずりにも劣る微弱なものだった。
持続的な出血により、やまとはますます衰弱し、意識が遠のいていくのを感じた。
、、、
(こんにちは)
誰かの声が聞こえる。
やまとが目を覚ますとそこは、神秘的な場所であった。そして目の前には純白のローブを着ていた綺麗な女性が椅子に座っていた。
(お目覚めのようですね)
(あ、はい、おかげさまで)
やまとは状況を理解できず反応した。
(お腹は大丈夫ですか?)
(あ、お腹、、)
腹部を見ると刺さっていた包丁もなく、刺された傷もなかった。
(あれ、傷がない)
何度お腹を触っても傷があった証拠がなかった。そしてなによりも
<この人だれ、ここどこ?>
やまとは今の状況を理解しようとした。が、理解できなかった。
目の前の女性が喋った。
(落ち着いてください、今からなぜ傷がないのかをお話します。いいですか?)
(は、はい)
咄嗟に反応してしまった。
<お話ってあの出来事を知っているのか?>
やまとは余計に混乱した。
(まだ落ち着いてないですが、時間がないのでお話します、あなたは死にました、そし、)
相手の言葉を遮った。
(ちょっと待ってください)
(なんですか?)
(あの私、死んだんですか?)
(はい、死にました。周りに人もいなくあの傷で生きてると思いますか?)
(生きてるじゃないですか、今!)
ちっ、めんどくせー
白いローブを着た女性は小さく舌打ちをした。
(あなたには今から別の世界に行ってもらいます)
(別の世界?)
(その国に飛ばしますので、その国を救ってもらいます)
(救う?情報量が多すぎます)
(あなたは選ばれしもの、あなたは暗殺者なのですから)白いローブを着た女性はやまとの話を聞こうとせず、自分の話だけ話していった。
(ちょっと待て!)やまとは怒鳴った。
(死んだとか、世界を救うとか、意味わかんないだけど、あんた誰だよ)
(すみません、まだ名乗ってなかったですか。私、女神と申します。)
(え、女神?)こいつ何を言ってるんだ?
(あ、時間がもうない、頑張ってくださいね、応援しています)
辺りが光始めた
おいおいまじかよ、
(ちょ、まっ)
プシュン
(てください、えっ)先ほどの神秘的な場所と打って変わって辺り一面森の所にいた。
(どうゆうことだよー)
(てか俺、暗殺者じゃねえし、そんな物騒なことしねえよー)
、、、
プシュン
やまとが飛ばされたすぐのこと
(そろそろ定例会だぜ。)
(アミーラですか)
(さっきの見てたぜ、お前サイテーだな。もうちょっと色々詳しく教えてやってもいいじゃん)
(いいんですよ、一回死んだ人間をもう一回蘇らせてあげた。これだけで十分なのに。)
(あの世界から、帰ってきても、また、新しい世界に行ってもらう可能性もあるんだから、なんかプレゼントすればよかったのに。)
(は、そんなの面倒くさいからいいんですよ。それに、もう一つの世界に行くなんて、そんなことは絶対ありえませんから)
(ぜったい、ね)