ピパロン王国警備隊 第16話 カラス撃退大作戦
〇宝石トマト
トーマ隊長「最近、野菜不足じゃないか?」
ルミ隊員「なんですか、いきなり。野菜食べてますよ。ハンバーガーに挟んであるレタスとか。」
トーマ隊長「そんなの、食べたうちに入らないだろ。」
ルミ隊員「えー、じゃあ、トーマ隊長は野菜食べてるのですか?」
トーマ隊長「もちろん、ラーメンの中のネギとか食べてるぞ。」
ルミ隊員「それも食べてるうちに入らないと思いますけど。」
トーマ隊長「まあ、ともかく野菜不足ではいい仕事ができない。そこでだ、宝石トマトを知ってるか?」
ルミ隊員「あ、聞いた事あります!トマトとは思えない輝きと美味しさが話題の新トマトですよね~」
トーマ隊長「そう。その、宝石トマトを作っているピパロン農園の園長から、招待されたんだ。」
ルミ隊員「ええ、すごい!」
トーマ隊長「宝石トマト食べ放題らしい!?うひひひ、これは期待出来るぞ。」
ルミ隊員「そんなうまい話ではないような・・・」
〇ピパロン農園
園長「お待ちしておりました、トーマ隊長。わざわざお越しいただきありがとうございます。」
トーマ隊長「宝石トマトのことですよね。」
園長「そうなんです!困ったことになりました。」
トーマ隊長「困ったこと?」
園長「はい、宝石トマトがカラスに襲撃されたのです。」
トーマ隊長「ええ!」
園長「朝の4時から5時頃、カラスが大挙して宝石トマトを狙って来るのです。そして、宝石トマトを食い散らかして、せっかくの宝石トマトが台無しに・・・」
ルミ隊員「対策はとられているのですか?」
園長「畑に網を掛けてみたのですが、見事に破られてしまって・・・」
トーマ隊長「ご安心ください。カラスごとき、このピパロン王国警備隊が簡単に撃退して見せましょう!」
園長「おお、それは心強い。期待してますよ。」
ルミ隊員「大丈夫かな~、カラスって意外と賢いし・・・」
〇見張り
トーマ隊長「むにゃむにゃ」
ルミ隊員「ちょっと、寝ないで下さいよ~」
トーマ隊長「こんな朝4時からカラスの見張りなんて、眠いに決まってるだろ。」
ルミ隊員「トーマ隊長がカラスごとき簡単に撃退する、っていうからです。」
トーマ隊長「こうやって宝石トマトの前にいれば、カラスは人間を怖がって寄って来ないだろう。」
ルミ隊員「カラスって人間を怖がるんですか?」
トーマ隊長「怖いさあ、きっと。」
ルミ隊員「そうかな~・・・あ、鳴き声がする!」
〇カラスの襲撃
カーカー
ルミ隊員「なんか、鳴き声が聞こえて来ましたよ~、あ、見えてきた!2羽います!」
トーマ隊長「お、来たな!向こうの屋根に止まってこっちをみてるぞ。」
ルミ隊員「なんか警戒しているみたいですね。」
トーマ隊長「ほーら、人間を怖がっているだろ~。」
ルミ隊員「確かに、近寄らないですね・・・あ、飛んだ!戻っていく?!」
トーマ隊長「ハッハッハ、大勝利だ!所詮、カラスなんてそんなもんさ。これで宝石トマト食べ放題だあ~ウッシッシ~」
ルミ隊員「意外とあっけなかったですね。拍子抜けしました。」
トーマ隊長「そうだな、ひと眠りするか・・・」
カーッ!カーッ!カーッ!
カーッ!カーッ!カーッ!
ルミ隊員「また、カラスの鳴き声です!今度は大量です!」
トーマ隊長「なに~・・・わ、わ、わ、20羽くらいいるぞ!」
ルミ隊員「大変!こっちに向かってきますよ!カラスは人間が怖いんじゃないの?」
トーマ隊長「ひえ~、た、助けてくれ~、あ!痛い!つつくな、コラ!」
ルミ隊員「一旦退散しましょう!」
トーマ隊長「ごめんなさい、ごめんなさい!アイタタ☆逃げろ~」
〇作戦
トーマ隊長「いや~酷い目にあった・・・団体で攻めてくるなんて卑怯なヤツらだ。」
ルミ隊員「どうしますか?」
トーマ隊長「そうだな~、カラスは音に敏感らしい。大声で歌を歌おう!」
ルミ隊員「面白そう!曲は七つの子ですか?」
トーマ隊長「いやカラスの勝手でしよだろ、志村けんさんの。あれ、面白いんだよ。」
ルミ隊員「あ、見たことあります!それで行きましょう!せーの!」
かーらーす♪なぜ鳴くの♪からすの勝手でしょ〜♪
トーマ隊長「全然、効果ないな~、あいつら、平然と宝石トマトを漁ってるぞ。」
ルミ隊員「選曲がダメですよ。本当に勝手にしてる~」
トーマ隊長「このままだと全部やられてしまうな~・・・そうだ、カラスに変装して近ずいて、至近距離から攻撃するってのはどうだ?」
ルミ隊員「簡単に飛ばれて、逆襲されそうですが。」
トーマ隊長「やってみなきゃわからないだろ。黒ずくめの準備だ!」
〇偽カラスの逆襲
ルミ隊員「本当に真っ黒ですね!黒頭巾に黒装束・・・なんか、忍者ごっこしてるみたい。」
トーマ隊長「ハッハッハ、これでカラスも仲間だと思って油断するはず。我々の勝利だ!」
ルミ隊員「と、言って油断しないで下さいよ。早く宝石トマトを収穫しましょう。」
トーマ隊長「よし、静かに、そーっと近づくぞ。そーっと・・・」
カーッ、カーッ、バタバタバタ!
ルミ隊員「カラスが一斉に飛んだ!気づかれた?」
トーマ隊長「お、逃げていくぞ。黒づくめの我々に恐れをなして逃げ出したか?」
ガサガサガサ
トーマ隊長「ん、何か走って近づいてくるぞ。」
ルミ隊員「あれは・・・熊?」
トーマ隊長「熊なんてココに来るはずがな・・・い・・・なっ、何でココに!?」
ルミ隊員「に、逃げましょう!」
トーマ隊長「そ、そうだな!」
〇熊撃退!
ルミ隊員「ふぅ。熊も居なくなったみたいですし、カラス退治をまたしましょう!」
トーマ隊長「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!全部漁られた!」
園長「どうされましたか?」
トーマ隊長「熊に、漁られて・・・」
ルミ隊員「あっ!まだ1つ有ります!」
園長「どうやら凶暴な熊が出たみたいなので、この宝石トマトはあげることにします。コレがお礼となれば良いのですが。」
トーマ隊長「ありがとうございます!」
トーマ隊長「おい、ルミ隊員。トマトよこせ。」
ルミ隊員「ええ~これは私が見つけたんです!」
トーマ隊長「いいじゃないか、隊長が宝石トマトを食べるのが普通だろ。」
ルミ隊員「そういうのをパワハラっていうんです!これは私のモノ!」
トーマ隊長「いいから、それ!」
ルミ隊員「ダメです!」
ガサガサガサ・・・
トーマ隊長「あ、また熊だ!!!逃げろ~」
ルミ隊員「ホントだ!逃げないと。・・・あっ!」
びちゃ!!!
トーマ隊長「アアッ!宝石トマトを落としてグチャグチャに・・・」
ルミ隊員「アアッ!・・・うぇーん、うぇーん!!!最後の宝石トマト、食べたかったのに~」
トーマ隊長「お、ルミ隊員の泣き声にびっくりして熊が逃げて行ったぞ。よくやった、ルミ隊員!」
ルミ隊員「・・・うぇーん、うぇーん!!!」
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