夢と梦
夢…それは、誰もが1度は見た事のある、不思議の世界。そこでは、色んなことが起きるけど、目覚めた時には、何も覚えてない。でもね、私は思うの。
もしかしたら、この世界も、誰かの夢なんじゃないかって。
だってほら、こんなにも楽しいじゃない? あなたと出会えて、一緒に遊べて……本当に幸せだもん!でもね、幸せだけじゃなくて…もちろん不幸もあるんだ。
「何だこのテストの結果は!?」
うるさい……
「なんで、こんな子に育って…」
うるさい……うるさい
「どうして、お前が生きてるんだよ!」
うるさい!!!!!
「死んじゃえよ!!」
やめてよ……もう聞きたくない……
夢の世界に行かせてよ…
………………
(ピピッピピッピピッピピッ)
朝を知らせる電子音が部屋に鳴り響く。そして、それと同時に目が覚める。
いつもと同じ時間に起きた。
いつもと何一つ変わらない…
「今日の私は、どんな夢を見たかなぁ。」
そんなことを呟いてみる。どんな夢を見たか覚えてないのに、想像してみる。
きっと素敵な夢だったに違いない。そう思いながらカーテンを開ける。外には綺麗な青空が広がっていた。今日もいい天気だ。
「よしっ!」
元気よく声を出してから、学校に行く準備をする。パジャマを脱いで制服を着て、髪を櫛でとかしてから結ぶ。鏡を見ながら身だしなみを整えて、部屋を出て…
「お、おはようございます。」
「…お前よくそんな言葉出てくるな。あんなに目に昨日あったくせに」
お兄ちゃんからそう言われる。
私は、基本的に朝ごはんは、家で食べない。近所のカフェで済ませるからだ。
「マスター。いつもの!」
「はいよ。…ありゃ嬢ちゃんどうしたよ、その左頬。」
昨日お父さんに殴られたところだ。
「なんでもないよ!」
「そりゃぁいいんだが、こうも毎日毎朝来て、嬢ちゃんは、大丈夫なのかい?」
心配をかけたくないのか、はたまた私に興味を持ってきたマスターに、これ以上来て欲しくないのか私は、
「うん!平気だよ!」
そう言って私は、いつものようにカウンター席に座って、コーヒーを飲み始める。
「ふぅ〜美味しい〜」
思わずため息が出るほど美味しかった。
「おい。これ食うか?」
マスターはそう言って、サンドウィッチを出してきた。
「え、これ、でも私お金…」
「サービスだよ。嬢ちゃん。」
「ありがとうございます!」
私は笑顔で答えてから食べた。やっぱり美味しかった。
それからしばらくして、時計を見るとそろそろ学校に行かないと遅刻しそうな時間になっていた。
「ごちそうさまです!」
「おう。行ってこい」
「はい!いってきます!」
私は、学校に行った。
そして、学校が終わり帰宅し、そのまま眠る。
晩ご飯は、マスターの所で済ましてきたから、大丈夫。
「今日は、どんな梦を見られるかな…」
あ、そうだ。明日から夢日記をつけてみよう。そしたら、夢の内容が分かるかも。
私は、そう思いながら眠りについた。次の日の朝。目覚ましの音で目が覚めた。
早速、夢日記をつけることに…ってあれ?夢の内容覚えてないや…まぁ書いておこう!
6月11日(水)
今日は、覚えてません。
っと。それじゃ、マスターの所に行くか。こうして私の1日が始まるのだ。
「マスター。いつもの!」
「あいよー。」
「ねぇ。マスター。」
「んだ?」
「今日見た夢って覚えてる?」
「どうだろうな。たしか今日は… そうだ。店で料理を作ってたわ。」
「マスター夢の中まで働いてるの」
そう言って笑う。
「まぁ俺には、この店で働く以外に無いからな。はいよ、嬢ちゃん。」
「ありがとう。マスター!」
そういい、いつものように学校に行って、帰ってきて寝る。
「今日は、どんな夢をみれるっかな。」
そう呟いて私は、目を閉じた。そして、翌日。アラームで起きて、机の上にある、夢日記を開く。…でも、夢の内容は、出てこなかった。
6月12日(木)
今日も夢を覚えてません。
そして私は、いつも通りに支度をしてマスターの所に向かった。
そこから学校に行って…
休み時間でこんなことを話してた。
「どんな夢見た?」
「えぇ、どんな夢って…」
「いいじゃん。」
「…ちょっと待って、またあの子見てる…」
「うわ、やっぱあの子怖いね。」
「なんも喋んないじゃん。」
誰かの話をしているのだろう。私にはあの子は見えない。
夢…私の見る夢は、覚えてない。
すっぽり抜けてて…思い出せない。
何かを私は、忘れている気がする。でも、それが何なのか分からない。
「お〜い。お前ら席につけ〜」……先生が入ってきた。みんな慌てて自分の席に戻っていく。
いつもと同じようなな授業が始まる。…………
(キーンコーンカーンコーン)
そのチャイムで授業が終わりぞろぞろと、帰宅している。
私も、いつものようにマスターの所へ行って晩ご飯を食べ帰宅し
ベッドに横になり目を瞑りそして……
なにか、感覚があるような気がした。地面にたっている、そんな感じのが…ひょっとして夢!?ここは、夢の中だ。そうはしゃいでいると気づいた。
「真っ暗だ……」
そうです。そこは、真っ暗でした。
これが…私の夢…?
はっと目が覚める。私は、眠ってなかったのだ。
…目を瞑ってただけでした。妄想というやつです。…寝よう。
そして、私は起きた。今日は、アラームがなって5分後に起きた。
机の上に向かい夢日記を開く。
10月4日
今日も夢は覚えてない。けど、目を瞑ったら真っ暗な空間にいた。あれは、夢なのかな?
夢日記をつけてから4ヶ月が経とうとしてるけど、一向に夢は覚えてない。
私の記憶能力が、低いせい…なのかな?
そう考えているといつもより起きるのが遅かったせいなのか、時間がいつもより早まってた。
急いで準備して、家を出る。
マスターの所へ向かうと、
店内にマスターの姿はなかった。
「…マスター?」
直感でなにか変だと思った。店内は、めちゃくちゃ汚くなっていて、それでいてぐちゃぐちゃになっている。
マスターがなにか、事件にあったんじゃないかと思い、
警察に電話をした。でも、警察は、
「え?そんな所に店はないよ?」
「困るんだよね。最近こういういたずら電話増えててさぁ。」
そう言って切られた。
私が説明しても、そんな店はないだの言って取り繕って貰えなかった…だけど、カウンター席にサンドウィッチは、置かれていて、とりあえずそれを食べることにした。
「あっ、マスターの味だ…」
そう思い、マスターが晩ご飯の時には、帰ってくることを願って、私は学校へ向かった。
授業は、2限目に入り、3軒目は科学室に行くことになり、私たちは、移動する。その時、前の女子たちの声が聞こえる。
「あいつ、今日はどうする?」
「どうしようかな。」
「あれでいいんじゃない?しめ縄。」
「いいねぇ」
私たちのクラスでは、いじめのようなことが起きていて、いじめを受けている生徒は、私ではないにしろ、止めたいけど、もし、止めていじめの標的が私になったら…と考えると言えないでいた。
授業は、終わり、マスターの所に急いで向かう。
でも、マスターは居なかった。
でも、カウンター席には、サンドウィッチがあって、それを食べる。
「マスター置いていてくれるんだ…」
私に姿を出さないのは、なにか、私に会えない事情があるのだろう。
そう考え、家に帰る。
ベッドに入り、
「今日こそ夢を…」
そう願う。
その願いが叶えてくれたのか、
私は不思議な体験をした。
まず、景色を見ようとした。でも、目を瞑ったかのように真っ暗。光が何一つない真っ暗。
次に、立とうとしたけど、立てないそして、手の感覚もない。
また、口からは、唾液がでず、舌は、動かせず…というか無い。そして、声も出ない。
それに、呼吸をしようと口の感覚がないので鼻でしようとすると、鼻の感覚も無かった。
そして、私は感じた。私は、落下しているのか、はたまた止まっているのか、それとも、どこかの方向へ動いているのか。そういう感覚がないことに。
そして、その夢は続き…いつも間にか、私は、起きていた。
とうとう夢を見た。
と、いう驚くべきことより、私は、体を確認した。足、手、口、鼻、そして、身体があるかどうか。
「良かった…ちゃんとあった…」
安心し寝ようとして気づいた。
外が暗い。
まさかと思い時計を見る。
8時25分
家に帰ってきたのが8時15分と考えると、全く寝てないことになる。
「まさか…また、私の妄想…」
いや、それは、ない。あれは、夢だ。夢と思う。
私は、机の上の夢日記に、さっき起こったことを書いた。
その翌日から、私は、また夢の内容を覚えられなくなった。
いつも通りの時間が過ぎ…あ、でも、私は、マスターの所へは行かなくなった。そして、ご飯は、コンビニで済ますようになった。なぜなら、コンビニのサンドウィッチが、マスターの味に似ているからだ。
そして、1ヶ月…2ヶ月3ヶ月…中学3年生となり、1年がすぎた頃私は、気づく。いや、元々察しては、いたのだ。でも、この可能性を私は、信じたくなかったのだ。それは…
『私は、夢を見ない。』
それしか考えられない。
夢を見れない。私にとって夢を見ようとすることが唯一の生きがいだったので、私は、今ビルの屋上に居る。
自殺だ。
私の生きがいが、ひとつの仮説で崩れたことに、私は到底立ち直れなかった。
「はぁ…結局マスターは、見つからないし。」
最後にマスターの料理食べたかったな…そう思って、飛び降りる為、ビルの端に立って…やっとこの夢から覚めることができる。
そう考えた時後ろから、
「待って!」
そう言われた。
後ろを振り向くと、その子は、
「まだだめ。死んじゃだめ。」
あ、もしかしてクラスでいじめられている子…?
「私は、この世界に絶望したの。だから自殺をするの。誰にも止められないわ。」
厨二病か。と、思うほど痛い発言をしている。
「いいえ、私は、あなたを止めないわ。」
「…じゃあ何しに来たの?」
「…あなたと一緒に死に来たの。…私もね、世界に絶望したんだ。」
「…」
彼女は、そう言って私に近づき、手を取り合う。
「…」
「…」
無言の時間が流れ、
「じゃ逝こっか。」
そう言って、2人は、飛び降りる。
風が全身を靡いて…そして、私は、涙した。
隣を見ると、彼女は笑っていて…
「あっ、もっといっぱい夢みたかっ」
そこで私の意識は途絶えた。
「…次のニュースです。神奈川県横浜市センタービルにて、1人の少女が飛び降りて、自殺しました。警察は、事件性は、ないとして取り扱っています。」
読んでくれてありがとうございます。
「夢と梦」
どうでしたでしょうか。
色々と解釈は、あるでしょうが、最終的に主人公は、救われたのでしょうか。
夢を見ない…じゃあこの世界が夢なんじゃないのか。そういう結論に行き着き、自殺をしたのでは。と、私は、思っていますが皆様はどのように考えたでしょうか。
マスターがいなくなったから?
家族に酷いことを受けたから?
色々と原因はあります。
最後に主人公と一緒に死のうと考えたいじめられっ子のクラスメイトが、居ましたよね。彼女もまた、死ぬ理由があって、そこに来ました。
私は、自殺という行為に反対も賛成もしていません。ですが、生きる理由があるなら、死ぬ理由があります。そんなふうに感じて欲しい。と、考えこの作品を作りました。
最後になりますが、私は、皆様に問います。
主人公は、一体何だったのでしょうか。
厨二病っぽい、少女?
元気ハツラツな少女?
いいえ、違います。私は、1つの像を主人公に立てました。皆様も想像し、考えてみてください。