1/1
序章
23時、今日も道端のゲロを左右に避けながら駅へと走っていく。
いつも通りの、仕事終わりの帰り道。
オフィス街と飲み屋街の中間にあるこのエリアはいつもこれだ。
夜中には汚物と生ごみと路上で潰れている酔っ払いだらけ。
真っ暗な帰り道を瞬時の判断でこれらを躱して駅へと走っていく、少しでも判断を誤ると足元の地雷を踏み抜くか戦争へと発展してしまう。
汚くて、決して治安も良くないここで俺が働いている理由は、ブラック企業に就職してしまったから。
人間関係も将来性も仕事内容も何もかもが最悪だ。