闇と光
アリサベートが嘘をついた為に、魔族の半数近くが魔物を引き連れて、ドアーフとエルフの里を襲った。
ドアーフ王は殺され、多くのドアーフの民も殺された。そして、殆どのドアーフの職人は武具を造る為に魔族の国へ連れて行かれた。
ドアーフ王国が魔族に攻め込まれたと同時期にエルフの里でも多くの魔族と魔物達が暴れて我先にとエルフの民を殺し、里中に火を放ち全てを灰にした。その後、エルフの里は全て瘴気で覆われて魔女の森の様に[闇の森]となった。
援軍に駆け付けた獣人族に、運良く保護されたエルフの子供は無事に保護されたが、戦士達の多くは息絶え、残った者は重軽傷を負った。
アーサスとマーリンは、襲撃の事を聞き付け神獣に乗って助けに向かったが、魔族は、既に撤退し僅かな魔物を狩るだけだった。パトリックは、数人の魔族と戦い片腕を失っていたが命には別状が無かった。スーザンも重傷だったがマーリンが、パトリックと同様にソロモンから預かったポーションを飲ませると徐々に回復に向かった。アーサスとマーリンは、魔族に対しての憎悪を抑えパトリック達と共に亡くなった多くのエルフの民を弔った。
この事実を受け、人属の殆どは、怯え次は自分の国が攻められるのでは無いかと不安になっていた。
里を失ったパトリックとスーザンは、アーサス達と一緒にソロモンの屋敷で住む事になった。マーリンは、王子姫学園には、復学せずに基礎課程の修了書を貰い、アーサスとタバサは、既に全ての単位を取得して後は自主訓練と卒業試験を残すだけとなっていた。
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マーリンが「たまご」を産んでから約半年が過ぎようとした頃、精霊界から『もう直ぐ子供が産まれる』と連らくが有り急いで精霊の森に行く事になった。
「タバサ、今日か明日には、殻を破るからって連絡が有ったんだ」
「待ちに待った日がやっと来るのねー」
「ん、楽しみ」
「タバサも一緒に行くかい」
「ええ、勿論よ」
「ソロモンさんも行かれるでしょう」
「行かないっすよ。家でお祝いの準備して待ってるっす」
「じゃ、私も家に残ってお手伝いします」
「ん、分かった」
「師匠、タバサ、行ってきます」
マーリンとアーサスは、神獣に乗り精霊の森に急ぎ行くと妖精達が沢山集まって『もう直ぐ産まれるよ』と口々に言って騒いでいた。マーリン達が[たまご]の側に着く頃には、少しひび割れて今にも子供が飛び出しそうだった。
『もう直ぐ、もう直ぐ』
『産まれる、産まれる』
「ちょっと静かにしてくれると有り難いんだが… 」
「ん、うるさい」
パリッ、パリッ、パリーン
「うううー、ぷは〜。ん?」
『産まれた。産まれた』
『こんにちは、赤ちゃん』
『赤ちゃん、赤ちゃん』
「マーリン! 女の子だ!」
「ん、アーサスと同じ髪」
「マーリンと同じ瞳の色だ。凄く可愛いよ!!」
「ん、名前付けて」
「ぶわ〜。たっ、たぁーたい」
「ええっ、喋った、のか?」
「赤ちゃん、ママだよ」
「マンマー、バブー」
「ん? マミー」
「マーミ、マァミー」
「おおお、ダディって言って」
「ん? ダァーダ」
「あはは、可愛い。こんにちは、アーリン」
「ん、アーリン、可愛い名前」
「主この果実を… 」
「嬢ちゃん、喋ってないで、早く食わせろ!」
「ん、分かった」
「俺が、抱くよ。可愛すぎる」
「ん、アーリン、食べて」
「ん、ペロぺロ、モグモグ、おーち」
「あはは、美味しいか?」
「モグモグ、おーち、おーち」
スーピー、スーピー
「寝ちゃったね」
「主、今日一日、此処で休んだ方が良いぞ」
「嬢ちゃん、今日は、様子見だ。明日、連れて帰った方が良いぜ」
「ん、分かった」
アーサスとマーリンは、ぎこちなく世話をしながら産まれてきた我が子を愛で、幸せを二人で分かち合っていた。翌日の夕刻、精霊の森で出来た果実を沢山貰い、ソロモンとタバサ達が待つ家に戻った。
「ただいま」
「だーま」
「「おおおお、喋ってる(っす) 」」
「キャー、可愛いーい」
「スーザン、声でけえよ。アーサス、マーリンおめでとう」
「無事に産まれて、良かったす」
「あら、マーリンより可愛いですわ」
「お祝いの準備できてますよ」
「ん、ソロモン、タバサ、有難う」
「皆んな、有難う。アーリン『ありがとう』って言って』
「ん、あーとー」
「あはは、マーリンと同じ話し方だね」
「ん、お腹の中で聞いてた」
「ん、…… ったー」
「あゝ、もう、アーリンは可愛すぎるよー」
アーサスのデレパパ振りにパトリックは、引いていたが『マジに可愛いから許す』っと言ったり、スーザンとタバサがアーリンを取り合って抱っこするのでマーリンがキレたりとソロモン家は、大騒ぎで一日目が終わった。
無事、赤ちゃんが産まれたっす。
羨ましいですね。ソロモンさん、子供欲しくないですか?
身体が、保たないっす。
寝ていて下さい。私が、お世話します。
それは、老人介護やんな
私は、アーサス様をお世話したいですわ。




