増える家族
夕方近くにやっとソロモンの居館に着いたは、アリサはテイムの証を付けたフェンリルの子供を足元に座らせドアベルを鳴らした。直ぐに執事のセバスが現れ挨拶の後、客間まで案内して貰った。
「いいとこやなぁ。ウチここ初めてやで」
「そうで、ご座いますか。此処も、かれこれ20年近くになりますが」
「そう何や。ウチは、王都の居館しか知らんら …で、ソロっちは?」
セバスは、執務室にアリサを案内し、夕食の準備に向かった。
「遅かったっすね。そこに座って良いっす」
「はぁ〜、学園都市の近くの森まで早かったんよ。…で、冒険者からフェンリルの子助けて、門番に魔物連れてるって騒がれて、ギルドにテイムの[嘘の申請]してん。…で遅なったんよ」
「何やってんすか。…で、そのフェンリルの子は、如何したっす?」
「如何も項目、連れて来たに決まってる、やん」
「はあ?何処に? 誰が、面倒を見るっすか?」
「そりゃ… ソロッ、ちゃうなぁ。…王子やなぁ?」
ソロモンは、アーサスが学園の時は、アリサが見て、それ以外は、アーサスに任せる事にした。アリサが連れて来たフェンリルの子は、真っ白で縫いぐるみの様な可愛さだったので、マーリンも喜ぶだろうと思い口元を上げた。
夕食時にソロモンは、アリサをとジンスに紹介し、フェンリルの子の事をアーサスに告げた。アーサスは、育ての親的存在とも言えるアリサを歓迎し、マーリンの事もあり飼育の事は心良く了承したが、この後の飼育に関する騒ぎは、また別のお話に。
食後のお茶の時間に早速、ソロモンは、アーサスの事でアリサに良い案は無いかと尋ねた。アリサは、『女の子同士なら話し易いから大船に乗ったつもりで任せろ』と無い胸を張って言ったので任せる事にした。ちょとの不安は、有ったものの最終兵器、ゴホッ、フェンリルの子で何とかなるかと、やっぱりソロモンも安意に考えていた。
「ところで、フェンリルの子の名前は何すか?」
「「「あっ」」」
皆な名付け親になろうと『ああでも無いこうでも無い』と散々協議して最終的にアーサスの提案で『マーリンが名付け親になる』事になった。
「何やねん、散々揉めさせといて」
「愛っすね。愛っす!」
「飼育の責任者はアーサスですからね」
「明日、マーリンに尋ねるから」
アーサスは、フェンリルの子を抱えて自室に戻り、マーリンの喜ぶ顔を思い浮かべては自分の顔が緩むのが分かった。
「ポーチに出ても良いけど、飛んで降りたらダメだぞ」
『うん。あの… パパって呼んで良い?』
「えっ、お前話せるのか?」
『うん、でも、あの女の人は、難しい』
「あはは、大丈夫だ。気にするな」
「パパか? どうだろう?」
『パパが良い。もう居ないから… 」
「そうだなぁ。…良いぞ」
『うん。やったあー!』
アーサスは、フェンリルの子が愛おしく思えた。寂しさは、幼い頃から時々感じていたアーサスだが、自分と同じ寂しさを持つフェンリルに共感していたのだろう。アーサスは、ポーチに出て星を見ながら、マーリンにどの様に声を掛けようかと考えていた。その横をフェンリルが自分のテリトリーを確認する様に歩き回っていた。
アリサちゃんに任せて大丈夫かなぁ。
泥船だったら困るっす




