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 マリーという同年代の少女が第二教室にいた。


 この孤児院はオスカー大戦によるものだけでなく、それまでの大小様々な戦争によって両親を失った子供たちが保護される。孤児数約300人。


 マリーはちょうど四歳になるときにこの孤児院にやってきた。金髪のロングヘアーをして、橙色の目がくりくりしている。心臓に疾患があり、まれに発作が起こる。



「マリー、きょうは元気?」


「うん」


「そっか、この前は急にたおれたから、びっくりしたよ」


「はこんでくれたんでしょ、レオが」


「うん、……まあな」


「ありがとね」


「べつにいいよ、かるかったし」


「ふふ、やさしいね。はい、サツマイモあげる、あーんして」


「あーん……あっち! なんじゃあ!」


「あはは! あついでしょ、焼きたてだもん」


「おまえなあ……」


 マリーに話しかけたのはレオが最初だった。きれいな髪だと思い、気になって話しかけると、その琥珀色の珍しい瞳が彼を捉えて、レオは一目で彼女を気に入った。


 マリーはレオとロイの中に入って、三人で遊ぶようになった。


「――はい、あがりー」


「うあっ、くっそ」


「レオ、また負けた」


「なんでマリーはジョーカーひかないんだよ」


「わたしにはレオのことなんてなんでもお見通しなんだよ」


「はあ? なんだよそれ、しんじらんねー」


「ほんとだもん」


「ロイは?」


「レオはすぐきもちが顔にでるから、はじまってすぐにレオがジョーカーをもってるってことわかったよ」


「……はぁ、ババ抜きやーめた」


 三人はそれぞれほかの孤児とは一線を画す特別な雰囲気があるせいで他人の鼻につきやすく、それぞれが一人でいると、いじめの対象になりやすかった。


 マリーは端正なルックスのせいで女の世界では悪口を言われることが多く、ロイは生まれつき体が弱くて虚弱体質だから、腹いせの暴力にうってつけの人材だった。


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