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第95話 薬草採取

 パーティー名も決まった事だし、張り切って採取するかと北門に向かったが、途中でシャーロットが雑貨屋に寄ろうと言い出す。


「何か買い忘れた物でもあったのか?」

「私のというより、キミの為の買い物だな」

「俺の?」

「あぁ、昨日魔法が覚えたいと言っていただろう?」

「言ってたな。でもソレと雑貨屋に何の関係があるんだ?」

「フフフ、行けばわかるさ。さぁ行くぞ」

「了解しました、教官殿!」




「いらっしゃいませにゃ~」

「邪魔するぞ。おい、こっちだ」

「ごゆっくりにゃ~」


 シャーロットはずんずん店の奥に進んでいく。この一角は……魔道具のエリアか。彼女はどう見ても百均アイテムにしか見えない木のコップやランタンを手に取って眺めている。


「よし、コレがいいな」


 そういって選んだのは缶コーヒーみたいなランタンだった。シルエットはまんま缶コーヒーだ。

 彼女の説明によると、このランタンは光るところが筒面と丸面の二つあり、ランタンのようにも懐中電灯のようにも使えるそうだ。


「まぁ便利そうだから買ってもいいけど、コレと魔法と何が関係あるんだ?」

「それは後のお楽しみとしておこう」

「さいですか」


 勿体ぶるなぁと思ったが魔法の為だ。詳しくは聞かずに会計をする。


「お? おにゃーさん、お目が高いにゃ。ソイツは最近人気の最新型のランタンにゃ」


 へぇー、最新型か。シャーロットも見る目があるな。


「ただ、ちょっとお高いのがタマにキズだにゃ」

「高いのか……ま、まぁ昨日臨時収入もあったしな……買うよ。いくらだ?」

「毎度ありにゃ~。お値段にゃんと、たったの大銀貨一枚にゃ!」

「へぇー、銀貨一枚か。思ってたよりも高くなかったな」

「違うにゃ! 銀貨じゃニャくて、大銀貨一枚にゃ!」

「へ? マジで?」

「マジにゃ!」


 思わずシャーロットをチラ見すると、彼女は申し訳なさそうな顔になっている。どうやら彼女もこの値段は想定外だったようだ。

 ちなみに普通のランタンっぽいのでも銀貨五枚はするらしい。ガロンさんの宿が一泊で銀貨二枚だから、魔道具ってのは結構高いんだな。


(ランタン一つが、宿代一週間分か……)


 大銀貨一枚ってことは銀貨十枚となる。そして今朝ガロンさんに一週間分の宿代として払ったのも銀貨十枚だ。そう考えると、途端に高く感じる。


(おい、魔法の練習の為なんだから、無理して買う必要もないぞ。そっちの安い方にしておけ)


 悩んでいるとシャーロットから小声で指示が飛んでくる。そうだよな……魔法の練習のためだもんな。


 ……よし、決めた。


「コレ、買います。大銀貨一枚だったよな?」

「そうにゃ! すまにゃいがこっちも商売にゃんでこれ以上は値引きできないのにゃ」

「かまわん! それに折角彼女が選んでくれたヤツだしな。コレに決めた!」

「毎度ありにゃ!」


 そう言って代金の大銀貨一枚を支払う。後悔はない! ……多分。




「すまない、思ってた以上に高値だった」

「まぁいいよ。必要経費ってヤツだろうし。その分ビシバシ指導してもらうさ」

「あぁ、任せとけ! だが先ずは依頼が先だ。サッサと集めるぞ」

「合点だ!」


 雑貨屋で買い物を済ませた俺達は、北門を抜け魔の森に向かう。

 あれ? 採取するのはいいけど、俺薬草ってどんな草なのか知らないぞ。受付で聞いておくんだったか。


「なぁ、薬草ってどんな形してるんだ?」

「ん? あぁ、そうだったな。ちょっと待っててくれ」


 そう言ってシャーロットは草むらを探し始めるが、しばらくすると戻って来た。


「待たせたな。コレが薬草だ」

「コレが薬草か……」


 大きさは名刺サイズぐらいか。ぱっと見大葉っぽい。ギザギザしてるし。

 でもこんなのなら、そこら辺にもあるよな。違いが分からない。


「そこら辺の葉っぱとどう違うんだ?」

「どうと言われてもな……魔力を見ればわかるとしか」

「……何言ってんだ?」

「だから、薬草の場合フワフワした魔力だから、それで判断してると言ってるんだ」

「……フワフワ?」

「あぁ、気付け草だとヒリヒリだし、痺れ草だとピリピリした魔力だな」

「……えーっと、それって他の奴らもそうやって探してるのか?」

「さぁ? 聞いたことないな」

「……よし、帰って別の依頼に変えてもらおう」

「待って! 今思い出した! 薬草は葉っぱの裏が紫色になってるってパイモンが言ってた」


 確かに裏を見ると紫色になっている。偉いぞパイモン。

 シャーロットはパイモンに感謝して、フリューを食ったことを帳消しにしてやれ。


 俺も探してみたが、思ってたよりも見つからない。一々裏返して色を確認するのが結構な手間になる。

 やっと一つ見つかった。早速葉っぱを毟ろうとすると、シャーロットから待ったがかかる。


「毟るときはこうやって根元を捻るようにするんだ。そうすると長持ちしやすい」

「ほー、こうか?」

「あぁ、そんな感じだな。あと、全部毟るのではなく、上側の方だけ毟るようにしろ」

「え? なんで? 全部毟ったほうが速く集まるじゃん」

「全部毟ったら、この薬草は枯れるしかなくなる。そうなったら二度と生えてこない。だから上側だけを毟るようしておけ」

「なるほどね。長い目で見たら、確かにそっちの方がいいな」

「あと上側の葉っぱは、効果が多少良いってのもあるな。依頼によっては新芽部分だけを採ってくる時もあるそうだ」

「詳しいな」

「冒険者なら常識だぞ?」

「はいはい、すみませんね非常識で」

「そうだな。ショータはもっと普通を知るべきだ。大体だな……」


 うへぇ。藪蛇だった。


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