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第744話 出来栄え

「……普通に作り始めたな」

「…………ね? 大丈夫だったでしょ? 変な事言って、人を慌てさせないで欲しいわね」

「……そりゃすみませんでしたね」


 なんで俺の方があやまってるのだろうか。

 変なモノ入れて壊れたらどうするんだ、とクレアを慌てさせたのは事実なのだが、それでも少々腑に落ちない。

 まぁここで反論したところで、倍になって返って来そうなので黙ってるけど。


 あとお前、動き始めるまでメッチャ不安そうにしてたからな?

 動き始めて一番ホッとしてたの、見逃してないからな?

 これも指摘したところで、どうせこじれるだけだろうから黙ってるけど。


「……ねぇ、コレってどれ位時間がかかるの?」


 動き始めた三次元プリンターを見守る事、しばし。

 投入口に入れた木材を素に創造神の像が作られているのだが、未だに足元部分しか作られていない。

 プリンターヘッドもなく足先からジワジワと作られていく様は、まるでSF映画の転送装置のようだ。


 もっとも、映画と違ってメチャメチャ遅いけどな。

 初めてなのでスキャン元の像のサイズそのままでの出力にしたのだが、この調子だと完成する頃には夜が明けてしまうだろう。


 実際、操作ウィンドウには完成までの時間が表示されているが、あと数時間はかかるらしい。

 これほど遅いと分かっていれば、十分の一サイズぐらいで試したのだが……


「えーっと……多分、夜明けぐらい?」

「これなら私が魔法で作った方が遥かに速そうだな」


 そういってシャーロットは氷ジョッキを作り出してみせる。

 いや、お前のソレは氷限定だろ。え? 土魔法を使えば石でも同じことが出来る?

 そういえば魔法でモノリスみたいなの作ってたな。


「じ、時間がかかるとはいえ、木材を好きな形に加工できるって、かなり凄い事だと思わないか?」

「む、それは……」

「それにコレは俺の予想だけど、木材以外のも入れられる気がするんだよな」

「ほう……そうなのか?」

「た、試してみないとだけど……多分な」


 むしろ一番三次元プリンターに向いていなそうな木材ですら出来たのだから、他の素材なら余裕のよっちゃんだろう。

 ひょっとしたら生肉すら素材として取り込んでしまうかもしれん。

 生肉製の創造神の像とか、ご利益のごの字も無さそうだけど。


 生肉はともかく、精錬工房のインゴット製作機能と合わせれば、とんでもないものも生産できるかもしれない。

 なにせダンデライオン号の外壁はミスリル製だからな。

 ちょっと外壁をひっぺがして精錬工房の謎ツボに放り込めば、ミスリルインゴットも作れることだろう。

 形だけならシャーロットに氷魔法で作ってもらって、それをスキャンすればいいしな。


 もっとも、そんな事をしたらダンデれもん様が百パーヘソを曲げるだろうからしないけど。


「ま、なんにせよ、この遅さでは使い物にならないっスよねー」

「そうだなー。せめてこの倍ぐらいは早くないと――」


 そんな願いが通じたのか、操作ウィンドウの他にもう一つウィンドウが現れる。


『MP1を消費し「製作時間短縮(十分)」を使用しますか? MP42/60』


 そっちかー。

 そういや森の調査依頼の時、メタルイーターに食われた飛空艇の外壁を修理するんで、メンテナンス中になったことがあったな。

 その間バックドアが使えなくなったんだけど、その時もメンテ時間をMPで短縮したんだよな。

 まぁあの時は十分なMPが無かったせいで、結局野営したんだけど。


「ま、こっちは数時間だし、これなら賄えるな」


 どうせ後は寝るだけなんだ。

 このままプリンターを見守って夜明けを待つより、サッサと終わらせて寝た方が万倍もマシだろう。

 ということで、ムニョッとな。


 するとどうだろう。

 それまではジワジワと像を作っていた三次元プリンターが、突然光に包まれたではないか。

 そのあまりの眩しさに直視し続ける事など出来る筈もなく、つい目を逸らしてしまう。


 ようやく光が治まり、三次元プリンターをマトモに見る事が出来るようになると、そこには完成した創造神様の像が。

 俺の知る三次元プリンターの場合、材料を積み重ねるようにして作っていくため、その出来栄えはイマイチな印象があったのだが、そこはダンデれもん様のデタラメさが遺憾なく発揮されたらしい。

 その出来栄えは驚くほどソックリで、二つをシャッフルしてしまえば見分けがつかなくなる程だった。


 ま、よくよく見れば本物の方が古びているため、すぐに見分けがついたけどな。

 さすがのダンデれもん様といえど、神の手を持つ男とまではいかなかったようだ。


「ところで、この完成した像はどうす……ベルが引き取るのか?」

…………(コクコク)


 同じ像が二つあっても邪魔なんじゃないかと思ったけど、コレクター的には違うのかね。

 あれだな。観賞用と保存用ってヤツなんだろう。

 なら布教用のも必要になるのか?

 ……モノがモノだけに、ガチの布教用になりそうだな。


 ちなみにスキャンしたデータはMPを使わずとも保存できるらしい。

 その辺は解体機能を登録した時と一緒のようだ。

 折角なので「創造神の像」と登録しておいた。


 これで材料と時間かMPを掛ければ、いくらでも同じ像を作る事が可能になったわけだが、多分二度と作られないだろう。

 神様の像ばかりあっても、ご利益が薄くなりそうだしな。

 あれ? お寺の仏像とかを見る限り、沢山あった方がありがたいのか?

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