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第676話 ダンジョンを見通そう

「こいつは……」

「出来たっスねぇ」

「だが、この丸印は何なのだ?」


 シュリの提案をシャーロットが承認し、俺のMP10を犠牲に行われた『地図の更新』。

 さすがはチートスキルといったところか。

 更新してみれば『NO MAP』だったウィンドウに、ダンジョンの全貌が表示されたのだ。


 入り組み迷路のような通路がこうも簡単につまびらかにされるとは、まさしくチート(イカサマ)なスキルである。

 このダンジョンを作った人物(?)がコレを知ったら、きっと泣くよなぁって同情したくなる程だ。


 ただ表示された地図には気になる部分もあった。

 それがシャーロットの言う『丸印』である。

 通路と部屋が表示されているだけの白地図に、一ヵ所だけ二重丸印『◎』があるのだ。

 いかにもココに何かあります、と言わんばかりである。


「何かありそうに見えるんだけど……」

「これ、どう見ても他の部屋と繋がっていないっスよね?」

「だよなぁ……」

「だが、ダンジョンのいうモノは何らかの形で繋がっている必要があるから、必ずルートは存在するはずだ」

「となると転移系か?」


 我がダンデライオン号にも、転移でしか繋がっていない部屋がある。

 それと同じような部屋が、このダンジョンにも存在していたようだ。


「転移っスか……ギルドの地図には載っていなかったっスけど、コレってつまりは隠し部屋って事っスね?」

「そうなるんだろうなぁ……」

「おおぉぉ! 隠し部屋といえばお宝ッス。金銀財宝が山と積まれてるっス。大金持ちっス」

「だといいんだけどなぁ……」

「……ノリが悪いっスね。隠し部屋が気に食わないっスか?」

「まぁなぁ……」


 気が乗らないのには二つ理由が有る。


 一つは隠し部屋だという事。

 単純なお宝部屋であれば最高なんだけど、美味しい話には裏があるってのは常識だろう。

 隠し部屋の中身が、魔物が詰まったモンスターハウスってパターンだってあり得るのだ。


 某商人が主人公のダンジョンゲームで、落とし穴に落ちた先がモンスターハウスだった、ってのは割とよくある事だ。

 しかも大部屋のド真ん中だったせいで、周りから袋叩きにされ、そのまま死亡ってのもよくあった。


 ゲームであれば「ついてなかった」と、愚痴の一つでもこぼして再挑戦すればいいだけだが、現実は違う。死ねばそれまでだ。

 どんな危険が潜んでいるかも分からない場所に、「金銀財宝ゲットだぜ!」と向かったのでは命がいくつあっても足りないだろう。


 もう一つは、その隠し部屋に行くには、おそらく転移陣を探さなくてはならないって事だ。

 このダンジョンは、いわゆる枯れたダンジョンである。

 あの場所以外の隠し部屋は既に発見されているし、そこに至るまでにはダンジョン内を何年もかけて隅々まで探索してある筈。

 つまり普通の探し方では絶対に辿り着けない部屋なのだ。


 そんな隠し部屋へのルートを、今日初めて入ったばかりの俺達が見つける?

 ……バカも休み休み言え。


 確かに地図機能で隠し部屋は見つける事が出来た。

 だが、それだけだ。


 地図機能に表示されているのは通路と部屋だけで、転移陣のようなモノは表示されていない。

 この部屋へのルートが隠し通路とかだったら周りの部屋を徹底的に調べれば見つけられるかもしれないが、転移であるなら話は別だ。


 転移であるなら隠し部屋の周りに設置する必要は無い。

 ダンジョンの至る所が設置場所となり得るからだ。

 そんなどこに在るかも、いやそもそも在るのかすら怪しい転移陣を探し回るなんて現実的ではない。


「むぅ……たしかに見つけられそうにないなら、諦めるしか無さそうっスねぇ」

「だろ?」

「でも、やっぱり気になるッス。ここって発光苔の生えてる所への通り道っスよね? ひょっとしたら何か見つかるかも知れないし、とりあえず行ってみたいっス」

「うーん……シャーロットはどう思う? お前も行ってみるべきと思っているのか?」

「私か? 私はそうだな……探す時間をある程度決めておいて、その間に見つからなければ諦めるのが、一番いいと思う」


 シャーロットは条件付きで賛成か。

 シュリが賛成で俺は反対なので、これで数の上では二対一。

 

 だけど、この場には俺達三人しかいない訳ではない。

 アレク君達の意見だって聞いてみるべきだろう。


「勿論賛成よ。お宝があるなら、アタシ達が見つけてやるわ!」

…………(コクコク)


 クレアとベルは賛成か。

 そうなるとアレク君の意見を聞くまでも無く賛成に決まるのだが、一応確認はしておく。

 なにやら難しそうな顔をしているし、何か意見があるのかもしれない。


「ボクですか? 出来れば依頼を優先しておきたいのですが……」


 おっと、アレク君は反対票だったか。

 しかも反対する理由も彼らしい。

 この会議の議長として、彼の意見を採択したい気持ちになる。

 いっそ賛成派と反対派に分かれて、勝ち抜きジャンケンでもして決めるか?


「でもその前に一つ、試したいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

「試したいこと?」

「はい。ショータさんの船には、確か目的地までの道を教えてくれる機能がありましたよね?」


 カーナビみたいなのならあるな。

 飛空艇だと目的地まで一直線なんで、使ったことないけど。

 方向だけなら、マーカーで十分だし。


「その機能で、隠し部屋までのルートを割り出せたりしませんかね?」

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