第62話 光学迷彩
とりあえず展望デッキなのに景色が見えないのもな、ってことでシャッターというか外壁を解除する。併せて風防障壁を展開する。これで元通りだな。
勿論シャーロットには一声かけてある。流石に何度も睨まれる愚は犯さない。癖になってもいないしな。
あれ? でも外から見た時にも展望デッキは銀色の外壁に覆われてたよな? 見落とした? でも操縦室の窓もガラスっぽかったのに、外からじゃ銀の外壁だったよな。これは何かの機能が展開してるな?
『現在「機能:光学迷彩(外壁)」が展開中です。展開を解除しますか?』
やはりな。だんだんこの船の性格?が分かってきた気がする。光学迷彩ってことは見た目だけを別の何かにカモフラージュしているってことか。
カッコ内に外壁ってあるし、船全体をあの白銀の外壁で覆われた船体にみせてたんだろう。ってことは今までのパターンからすると……
『MP1を消費し「機能:光学迷彩(雲)」を開放しますか? MP12/18』
『MP1を消費し「機能:光学迷彩(岩山)」を開放しますか? MP12/18』
『MP1を消費し「機能:光学迷彩(……以下略
だよねぇ。でも色々出てきたな。って出てきすぎ! ウィンドウで視界が塞がれちゃう。なんとかしてよダンデれもん!
『…………』
あ、一覧表にしてくれた。『ダンデれもん』なだけにデレたとか? って、あぁっすみませんすみません。謝るから個別ウィンドウに戻さないでください……ありがとうございます。ふぅ、なんとか一覧表にしてもらえたぜ。早速拝見っと。
えーっとなになに。ふんふんなるほど。迷彩候補としては、雲(MP1)岩山(MP1)空(MP2)森(MP2)といった普通?のから、砦(MP5)透明(MP10)ギカントボウラー(MP10)ワイバーン(MP10)まであった。
ギガントボウラーってのはデカいダンゴムシみたいな魔物だって、シャーロットが教えてくれた。それってナウ〇カの〇蟲じゃね?
開放してみたい衝動にかられたけど、MP10はキツイ。渋々諦める。あと砦も開放したかった。展開すれば空に浮く城というか砦。かっこよくね?
あと何故か普通の飛空艇がMP1000となっていた。これ開放させる気ないよね?
とりあえず、飛行中と停泊中のカモフラージュのために雲(MP1)と岩山(MP1)を開放しておき、現在の光学迷彩を岩山に切り替えておく。
これで誰かに見つかっても岩山があるだけと思われるだろう。なぜ突然現れたかについては、気にしないでいてくれる事を願おう。
あ、突然山ができるんだから岩山が出来てもおかしくはないな。うん、見つかったときはそう誤魔化そう。
ただ例によって探知系には効果が無いだろうって忠告された。一般人には認識阻害が効果あるんだし、光学迷彩意味無くね? ってシャーロットに聞いたら、
「知らん。大体ショータの船のことだろう? なぜ私に尋ねる」
ごもっともで。まぁ何か意味があるんだろう。無かったら他のヤツに見つかるだけだ。うん、召喚場所は特に気を付けよう。
さて他に展望デッキで見ておくところは……といっても目に付くのは腰ぐらいまでの手摺か、例の骨組みぐらいだしなぁ。
ん? 展望デッキ両サイドの手摺に、一つづつあるアレって山の観光地にある望遠鏡か? 近づいて確認する。やっぱり望遠鏡だな。覗き込んでみるが何も映らない。ってことは……
『MP1を消費し「望遠鏡(3分)」を使用しますか? MP10/18』
ですよねぇ。機能が付いてないから毎回消費するパターンですね。ええ、わかってますとも。ここは暇そうにしてたシャーロットの出番ですね。彼女に説明し試してもらう。
「ほほぅ」
あれ? 反応が薄いな? もっと、こっこれは……的な反応があると思ったのに。妙に悔しかったので、驚かなかった理由を聞いてみたら、
「魔法の中に『遠見の魔法』というのもあるからな。遠くが見える程度さほど珍しいものでもない」
その割には長いこと見てましたよね? あまりの長さに俺が他の区画を開放して帰って来ても見てたぐらいだし。
「ま、まぁ私は覚えなかった魔法だしな。一回ぐらい使ってみたかったというのもある……おい、なぜニヤニヤしてる? 私にだって使えない魔法の一つや二つあるんだ」
「いや、これはそういうニヤニヤじゃない。欲しかったものが見つかったニヤニヤなんだ」
「ほう……ひょっとして手に持っているのが、そのニヤニヤの原因か?」
「あぁ、まさかあんなところにあるとはな……あの日の俺をぶん殴ってやりたい気分だよ」
そういって俺は手に持った「パックごはん」と「カップラーメン」を見せるのだった。
4/9 望遠鏡使用時の残りMPが12→10に訂正。光学迷彩の項目で2P消費したのをカウントしてませんでした