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第574話 ドローンを使わなくても覗きは犯罪です

「む、これ以上は上がれないようだな」


 『機能:艦載機』の活動範囲の限界を知るべく、シャーロット(ゴーグル装備中)にアダフォ君を垂直上昇させてもらう。

 すると、ある高さまで上昇はしたのだが、途中で警告が現れ上昇が止まったらしい。


 俺も船視点に切り替え、高度計を見ると100mとある。

 広いような狭いような、微妙な範囲である。

 ドローンとしては結構広く感じるが、艦載機にしてはかなり狭い。


 人類最速の男なら十秒もかからずに到達できる距離だ。

 艦載機が飛空艇並みの速度を出せるとすれば……多分一秒以下?

 まさしく、あっという間に範囲外となるだろう。

 これでは艦載機としては何の役にも立たない。

 カタログをタブで区分けしているぐらいだし、艦載機は艦載機で範囲が違うと信じたい。


 とりあえずドローンが飛べる範囲は100mな事と、それ以上進もうとすると警告が出る事だけ覚えておけばいいか。


 あ、あともう一つあった。

 ゴーグルはマジックバッグに仕舞うことが出来たのだが、アダフォ君は駄目だった。

 おそらく、バックドアが呼び出されたままのベニヤ板が仕舞えなかったのと同じ理由だろう。


 つまりドローンはリュックなどに仕舞うか、その都度呼び出すしかなさそうである。

 MPの事を考えればリュック一択なのだが、そうまでして持ち運ぶことに意味があるのかって話もある。

 ぶっちゃけオモチャでしかないからな。

 飛んでいない状態のアダフォ君は重量がそれなりにあるし、一旦は送還しておくべきかなぁ。


「よし、じゃあコイツは仕舞っちゃうよ」

「「えー?!」」


 いや、シャーロット。

 お前まで幼女(マロンちゃん)と一緒にブーたれるな。

 とりあえず二人の膨らんだホッペをブニッと潰しておく。


「マロンちゃん。遊ぶのもいいけどお手伝いの方は大丈夫かい?」

「うーん……あっ! そろそろとーちゃんのおてつだいのじかんだ!」


 太陽を見れば、そろそろ中天に近いぐらい。

 この時間帯であればガロンさんが昼食の仕度を始める頃だろう。

 弟子兼助手のアレク君がシュリの街ブラに駆り出されているため、今日はガロンさん一人。

 猫の手ならぬ幼女の手の一つも借りたいところだろう。


 元魔王と飛空艇船長の手も空いているのだが、いまだお呼びはかからない。

 お客様扱いされているのか、あるいは幼女以下と見なされているのか。

 前者だと思いたいところだが、実際は後者なんだろうなぁ……


 マロンちゃんは「おいしーりょうりをつくるねー」と言って厨房へと消えていった。

 残されたのは俺とシャーロットの二人。

 手伝いの無い彼女は、当然のようにアダフォ君で遊ぼうとする。


 だが残念。

 そいつは俺の意思一つで、コッソリ送還することが可能なのだ。

 俺は彼女の手にあるアダフォ君を送還しようとする。


「まて、なぜコレを送還しようとする?」

「えっ? だって邪魔だろ?」


 今の「えっ?」は止められたことに対する「えっ?」でもあるが、送還しようとしたことに気付かれた「えっ?」でもある。

 俺が送還するよりも早く、アダフォ君を後ろ手に隠してしまった。

 いや、そんな事しても送還しようと思えば出来るんだけどな。


「わざわざ送還せずとも、船に仕舞っておけばよいのではないか?」

「……それもそうだな」


 マジックバッグに入らなくても、船内になら置いておけるはず。むしろ置けない方がおかしい。

 もともと送還するつもりだったわけだし、たとえバックドアを消したと同時に送還されたとしても惜しくもない。

 彼女の言うように試してみる価値はあるように思える。


 実際にやってみたところ、アダフォ君は消えることもなかった。

 更には船内に置いておけば勝手に充電(魔素だから充魔?)までされているほどだ。

 バックドアを呼び出せる環境という前提は付くが、これで気兼ねなくアダフォ君を運用できそうである。


 となると発進シーンにも拘りたくなる。

 ただ単にバックドアから発進するアダフォ君では面白くない。

 やはり某国際救助隊の秘密基地よろしく、ヤシの木が倒れて滑走路が現れたり、プールから機体がせり出して来たりするのが理想である。


 飛空艇にプールはないが大浴場ならあるので、とりあえずソコに放り込んでおくか。


「待て。お前はそれをどこに仕舞うつもりだ?」

「どこって……浴槽? ほら、水中からザバーっと発進するのってカッコ良さそうじゃん?」

「確かにそれは面白そうだが……」


 おぉ、シャーロットもあの発進の良さが分かってくれるか。

 俺と違って前提となる知識も無ければ、そもそも性別だって違う。

 てっきり彼女には分かって貰えないと思っていただけに、ちょっと嬉しい。


「だが大浴場は駄目だ」

「えー」


 ダメ出しである。

 理不尽な事に、アッサリと却下されてしまった。

 俺が大浴場に仕舞おうとしても、即座に放り出される始末だった(もちろん俺ごと)。

 俺の船なのだから俺の自由になるはずなのに! なぜだ!?


「そのアダフォ君とやらはお前の視界と繋がっているのだろう?」

「まぁそうなるな」


 船視点感覚で操作するのでアダフォ君の視界(?)=俺の視界である。

 別に船視点を用いなくても考えるだけでも操作できるのだが、100mも離れたところの操作となると目視では難しい。

 なので基本、船視点での操作となるのだ。


「浴槽の中にソレを入れておくとして、私や他の者が入浴している時は操作しないと断言できるか?」

「……」


 なるほど。

 確かに視界を繋げればそんな事も可能になるだろう。

 だがな、シャーロット……お前は俺の事を誤解しているぞ?


 俺ならそんな小細工などせず、堂々と覗く! もしくは混浴する! 

 というか普段から混浴という裸の付き合いをしているのに、今更かよ!

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