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第57話 夜明け前

前話を微妙に改変。といってもオチをちゃんと付けただけですが。

「アッーーー!……あ?」


 はっ! 夢か! 思わず跳ね起きてしまった。しかし、とてもイヤな夢を見た気がする。恐ろしさのあまり碌に覚えていないけど、とにかくイヤな夢を見てた気がする。


 せっかく美人と一緒に寝られたのにな、と隣に寝てるはずのシャーロットの様子を眺める。うーむ、美人は寝てても美人なんだなぁ。起きてるときじゃ、こんな風に落ち着いてみることも出来ないから、ついつい眺めてしまう。

 おっとイカン。俺は紳士、俺は紳士。紳士は女性の寝姿を観察したりしないのだ。ただ何故か、彼女を見てると尻のあたりがゾワゾワする。なんでだろう?


「うーん……」


 彼女がモゾモゾと動く。やべっ、眺めすぎてたか。慌てて布団にもぐりなおす。どうやら俺が跳ね起きた時、布団を捲ってたせいで冷たい空気が入ったようだ。


 息をひそめじっとしていると、彼女の寝息が落ち着いてきた。ふぅ、安眠妨害は重罪だからな。起きなくてよかった。


 起こさないように、布団に入ったまま、そーっと外を眺める。カーテンが閉まっているが、それでも薄っすらと明るくなってきてるのがわかる。どうやら夜明けが近いようだ。

 うーむどうするか。下手に動けば彼女を起こしてしまうし、とりあえず二度寝かな。布団に入ってればそのうち眠くなるだろ。なるべく彼女の存在は意識しないようにする。


 そういえば、成り行きで彼女を泊めてしまったけど、これでよかったのだろうか……いや、良かったんだろう。多少なりともこの世界の事とか知ることが出来たわけだし。

 やはりこの飛空艇自体が世間一般の船とはかけ離れてるのようだ。ましてやそれが召喚できるってことが知られたら、ロクなことが起きないだろう。


 認識阻害があるから大丈夫だろって思ってたけど、それは絶対的なものじゃないって彼女は言ってた。

 ワイバーンのような空飛ぶ魔物も生息してるし、その中には認識阻害が効かない魔物もいるって話だ。ただそんなに多くはないってのが救いだよな。

 当然人間にも効かない人はいる。シーフやレンジャーのような、探知系のスキル持ちがそうなんだってさ。そしてそういった探知スキル持ちは結構いる。だから大っぴらには使わないようにした方が身のためだそうだ。

 やはり飛空艇召喚は個人でこっそり使っていくしかなようだ。ただなんとなく一人ぼっちで旅が、ちょっと寂しく感じるのは、隣で寝てる彼女の存在のせいだろうか。


 そうそう認識阻害といえば、町の城壁にも認識阻害がかけられてるんだってさ。それのおかげで空の魔物から町は守られてるって、つくづくファンタジーだよなぁ。まぁそのせいで船視点じゃ町が見えなかったんだけどね。




「皮が……コッコゥの皮が……」


 これからのことを布団の中で考えてたら、隣から、うなされてるような寝言が聞こえてくる。どうやら彼女もイヤな夢を見ているようだ。

 形のいい眉が寄せられて、への字になってる。夢でうなされるほど、コッコゥの皮は食べたらイカンと思ってるのか……。


 起こしてやった方がいいのかなぁ。でも寝てるのを邪魔するのはなぁ。とりあえず、眉間のしわを指でグリグリしてみたけど、こうかはいまひとつのようだ。あ、そうだ。


「コッコゥ……皮……カリカリ……アツアツ……ジュワー……ビール……キンキン……ウマー」


 うなされる彼女の耳元で囁いてみる。一度目はうなされたままだったが、三度目あたりからはうなされなくなり、六度目あたりからはヨダレを垂らすようになった。よし、洗脳完了! なんてね。


 彼女も落ち着いたようだし、もうちょっと寝とこう。

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