第566話 探し物
「ステータスオープン!!」
名前:ショータ(20歳)
種族:人族(男)
職業:冒険者兼飛空艇船長
LV:8 (7)
HP:70/70 (66)
MP:60/60 (55)
SP:50/50 (44)
STR:30 (25)
VIT:29 (23)
DEX:28 (26)
AGI:27 (22)
INT:33 (31)
MND:28 (27)
LUC:吉 (探し物:必ず見つかる)
スキル:言語理解Lv2 飛空艇召喚Lv5 槍術Lv3 隠密Lv3 盾術Lv2(UP) 概観視Lv3 不意打ちLv1 ロックオンアラートLv1
称号:迷い人、巨人殺し
うーん……まぁ可もなく不可もなくって感じかな?
探し物が必ず見つかるのはありがたいが、その探し物が無いからなぁ……
あ、いや……あるな。探し物ならあるじゃないか。
飛空艇の区画という、探し物が。
一応、ヒマな時を見つけては、未解放の区画を探してはいるのだ。
上層と中層は全て解放されているで残りは下層だけ。
なので下層を重点的に探してはいるんだけど、未だに残りの区画が見つけられていない。
だがこうしてステータスのお告げまで俺の背中を後押ししてくれたのだ。
この機会にもう一度探してみるのも一興かもしれないな。
「よし、じゃあシャーロットはこの荷物をガロンさんに届けてくれ」
「荷物を届けてのはいいが、その間お前は何をするつもりだ?」
「何をって、船内の探索に決まってるだろ」
「ほう……人には働かせておきながら、お前は遊ぶと」
「遊ぶわけじゃ無い。船内を探索して、未解放の区画を探すんだよ」
「そうか……それならば仕方ないな……」
おお、分かってくれたか。
「とでも言うと思ったか? なぜお前の用事を私が代わる必要があるのだ? お前の用事なのだから、お前が果たすのが筋というものだろう?」
「ちっ、人使いの荒いヤツめ」
「それは私の台詞だろうに……」
おっと、それもそうか。
どちらかといえば『人付き合いの悪いヤツ』の方があってるな。
言ったら言ったで、「付き合いが悪いなら、こんな所にいない」とか言われそうだけど。
とりあえずシャーロットに出してもらった米と醤油をマジックバッグに詰め込み、展望デッキへ向かう。
船視点で船内マップを確認すると、どうやらそこにタマコはいるようだ。
たしか展望デッキって船内で一番魔素が濃い場所らしいし、寝床とも言うべき植木鉢も置いてあるからな。……サイズ的に入らなくなってるけど。
果たしてタマコはいた。
事前に確認しているわけだし、逃げ出すような奴でもないので当然である。
むしろ俺が近づいた途端に逃げられたら、ちょっと悲しくなる。
タマコは船首像よろしく、展望デッキの端っこでボーっとしている。
トレントなんだからボーっとしているのが当たり前な気もするが、タマコは割とアクティブだからな。
こうしてボーっとしている方が珍しい気がするのだ。
「タマコー」
――ワサッ
なんか居眠りしている所を突然起こされたみたいに、ビクゥってしたな。
ひょっとしてボーっとしてたんじゃなくて寝てたのか?
だとしたら悪いことしたかなぁ。
「すまん、起こしちゃったみたいだな」
――ワサワサ
そんな事ないよーって感じに枝を振る。
そうやって否定する辺り、マジで寝てたっぽいな。
――ワサワサッ ワサッ
ふむ、これは多分「そんな事よりどうしたの? 何か用?」のワサワサだな。
ふふふ……俺も少しはタマコとの言いたいことが分かるようになって来たぜ。
いまだベルの「……」は何言ってんだか分からないけどな。
「えーっと、いつものヤツを頼む」
――ワサッ
これは「おっけー」……じゃないな。
「何個いる?」のワサッだ。
ふむ……10……いや、ここはマックスの20にするか?
俺が支払うなら10個でいいが、どうせシャーロット持ちだ。
目一杯の20個にしておくかね。
「ということでシャーロット、限度いっぱいまで頼む」
「ふむ……だがショータよ。20個もタマゴを手に入れるのはいいが、使い切れるのか?」
「大丈夫。タマゴなんて使い道はいくらでもある。ガロンさんの事だから、あればあるだけ何か美味しいものを作ってくれるだろ」
「ほう……」
玉子料理ってのは色々あるからな。
俺が知ってるだけでもオムレツ、茶わん蒸し、ゆで卵……ん? ゆで卵は玉子料理か? 一応茹でてるんだから料理としよう。
後は……そうだ、プリンもあったな。
タマゴも安定して手に入るのだから、プリンにも手を出してもいい頃合いだろう。
ただ問題はプリンの作り方なんだよな。
俺的プリンの作り方は、タマゴをかき混ぜて蒸し上げればいい程度だ。
これではタダの茶わん蒸しモドキでしかない。
まぁその辺はシュリにも相談してみるとするかね。
アイツも同じ元日本人だし、きっと知ってる事だろう。
知らなくても何かしらのヒントだけでもあれば、ガロンさんなら何とかしてくれるはずだ。
どこかで誰かが、「俺はそんなに万能じゃねぇ!」とか叫んでいる様な気がするが、気がするだけだし問題なかろう。




