第5話 船内探索
左舷のドアから入り照明をつけるとそこは廊下だった。
右側は板張りの壁、そして左側の壁にはドアがあり『上層』と書かれたドアプレートが掛かっている。
(とりあえずこの層を見てからだな)
廊下を進むと丁字路にあたる。左(船首側)を向けばさらに廊下があり、突当りのドアには『操縦室』と書かれている。
また右(船尾側)を向けば同じように廊下があり、突当りのドアには『食堂』と書かれている。
更に正面にはドアが5つ並んでおり船首側から『居室201』『居室202』『居室203』『居室204』『居室205』と書かれている。
たがそれ以上に気になるドアがあった。それは左舷船尾側のドアの一つ、『洗面所・WC』。
『MP1を消費し「区画:洗面所・WC/中層」を解放しますか? MP7/10』
もちろんYES。ちなみに温水洗浄便座でした。トレペもあったし現代人には嬉しい限り。
用を足し終え洗面所で手を洗ってると歯ブラシと歯磨き粉を見つける。しかも俺が普段使ってるやつだ。
ひょっとして他の日用品もあるのか? 洗面所内を探してみるがトレペの予備が見つかったぐらいだった。
ちょっと寄り道したが操縦室に向かうとしよう。
『MP3を消費し「区画:操縦室」を解放しますか? MP6/10』
む、消費量が上がってる。重要区画だからか? だがここまで来て諦めることはできない。
ドキドキしながらYESを押す。操縦室のドアが開き中に入る。
(思ってたより広いな)
勝手に飛行機のコックピットを想像していたが、どちらかと言うと艦橋?戦艦じゃないから船橋?かに近いか。
でもシートは3つしかない。真ん中のシートが一番偉そうだ。操舵輪みたいのもあるし、これが操縦席だろう。
左右のシートはちょっとランクが落ちてるので補助の人が座るのかも。
てか補助が必要なのか? 必要なのだろう。シートがあるんだし。まいったな。
まぁいいや、後回し後回し。とりあえず躁舵輪に触れてみる。なんか情報が伝わってくる。
あ、これ飾りだ。一応操縦できるけど、細かいことは真ん中のキャプテンシートに座ってやるみたいだ。
シートにすわる。おおフカフカだ。ずっと座ってられそう。
『MP1を消費し「ショータ」を船長に登録しますか? MP3/10』
なぜ俺のスキルなのに船長登録が必要なのか小一時間問い詰めたい。
だが登録しなくては動かせないようだ。渋々YES。
すると視界が変わった。これは船の視点か。船と一体になるような感覚。
前後左右上下内外あらゆる方向の情報が一斉に頭に飛び込んでくる。
すげぇ気持ち悪い。多分この情報を処理するのに補助が必要なんだろう。
だがボッチな俺には到底望めない。しかたなく一人でできる方法を調べる。
気持ち悪さに耐えつつ調べた結果、索敵能力と船内環境調整を最低レベルに、移動速度を自動車並みにして、どうにか一人でも運航が可能なことがわかった。
「では、出航!」
『飛空艇の出航には「区画:機関部」の解放が必要です。MP3を消費して「区画:機関部」を解放しますか? MP2/10』
「ぎゃふん」
3/15 ウォシュ〇ット→温水洗浄便座に変更。