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第483話 馬車(中古)を手に入れました

「おや、戻られましたか。って、お前は確か……ショー……ショー……ショーヘイ?」


 惜しい。

 俺はメガネの落語家でも二刀流の野球選手でもない。

 あ、俺と同じ名前のメガネの落語家はいたか。


「ショータです」

「おぉ、そうだそうだ。ショータな。うん、覚えてる覚えてる」


 ちゃんと覚えてる人は、名前を間違ったりしないと思いますよ、ザルツさん。


「ザルゾ。例の新しい馬車です。今まで使ってた幌馬車は、こちらのパレシャード……いえ白銀の旅団の皆様に払い下げることになりました」

「そうですか。分かりました。すぐに手配します」


 あぁうん、ザルゾさんね。ちょっと違ってたね。

 まぁ向こうも中途半端に覚えていたし、お互いさまって事で。


「では、ショータ様。馬車の代金の方を」

「アッハイ」


 メルタさんに金貨三枚を渡す。

 すると領収証代わりなのか、なにかのメダルっぽいものを渡してくれた。

 よく見るとギルドの看板と同じ模様が描かれている。


「これはですね。当ギルドがこの馬車を正式に譲り渡しました、という証です。見る人が見ればこの馬車が当ギルドの馬車だったことはすぐ分かりますからね」


 あぁ、馬車自体を誰かに奪われるって事もあるのか。

 そうでない証明として、このメダルを渡す、と。


「このメダルの提示を求められたときは、必ず応じてくださいね? でないと縛り首になりますから」


 え? 提示できないと、即縛り首なの?


「即、というわけではありませんが、場合によっては……ですね」

「厳しいですね」

「メダルも依頼票も無いのにギルド所有の馬車に乗っているというのはそういう事ですから」


 盗賊にしろ強盗にしろ、その手の犯罪者の末路は決まって縛り首らしい。

 あるいはその場で処分。

 某美少女天才魔導士も言ってた「悪人に人権は無い」を地でいっているようだ。


「でも馬車と一緒にメダルも奪われたらどうするんですか?」

「そこはそれ。色々と対策してありますので」


 さいですか。

 聞いてみたい気もするけど、企業秘密ってヤツだろうからな。あえて聞いたりはしない。

 受け取ったメダルはとりあえずマジックバッグの中へ入れておく。

 この中なら無くなったりしないだろうし。


「おや、そうしているうちに馬車の用意が出来たようですよ」

「みたいですね。じゃあ俺達はこれで」

「えぇ、お気をつけて。しかし、ショータさんも乗合馬車が出てる村へ行くのに、馬車を購入するとはなかなかの太っ腹ですね」


 ……え?


「もしかして乗合馬車ってあったの?」

「えぇ、テオガーでしたら乗合馬車が運行しておりますよ?」


 バオムヴォレから採れる綿は常に需要があるので、冒険者にとっては良い収入源となっている。

 そのため、ソイツが生息する森の近くにあるテオガーの村へは乗合馬車も整備されているそうだ。

 現に今朝もテオガーに向けて出発したばかりだという。


 マジかー。

 乗合馬車があるならワザワザ馬車を購入する必要なんてなかったか?


「もっとも、乗合馬車ではショータさんのスキルを活かせないでしょうから、馬車を購入したのは正解だと思いますよ」


 それもそうか。

 乗合馬車って事は他の連中も乗ってるって事だ。

 ソイツ等が居てはスキルを使う事なんて出来ない。


 あと、やっぱりメルタさんには飛空艇の事、バレてるっぽい。

 まぁこんだけ人のモノローグと会話する人に、隠し事なんて無理な話か。


 チラッとメルタさんを見るとニヤニヤしている。

 なんかこう、全てお見通しですよって感じだ。

 大浴場やマッサージチェアでよければ使って頂いて構いませんから、黙っててください。


「口止め料……いえ賄賂ということですか?」

「いえ、ただのギブアンドテイクです」


 俺に何かあれば、飛空艇の設備は使えなくなりますから。

 ぜひとも黙っててくださいね。


「そうですね……あの風呂というものは中々の気持ちよさでしたし、黙っておくといたします」

「よろしくお願いします」


 一番厄介そうなメルタさんはクリアできたかな。

 ギルドの職員である彼女に飛空艇の存在を知ってて貰えば、移動時間の矛盾もそんなに心配しなくてもよくなる……はず。


(あとでショータさんの飛空艇も見せてくださいね)


 見るだけで満足ですか?

 なんなら乗っていただいても構わないんですよ?

 内装はバックドアの時と同じですけど。


(ふふっ、楽しみにしてます。それより、そろそろ行った方がいいですよ?)

「ショータ! いつまで話をしている?! そろそろ出発するぞ!」

「りょうかーい」


 じゃあ、行ってきます。


「はい、お気を付けて」


 さぁテオガーに向け、出発だ!


「ショータさん。御者台に居られると邪魔っス」

「あ、ハイ」


 御者台に座り、出発の気分を高めてたら怒られてしまった。

 せっかく御者の講習も受けたのに、一度も御者ってない。

 なので今回は俺が御者ろうとしたのだが、アッサリ却下された。


 このメンツの中で唯一御者れないシュリに、実地訓練で御者を仕込むためだ。

 ただ、いきなり実戦投入って大丈夫なのか?

 ハマルとの従魔契約もあるので、それほど難しくはなかろう?

 まぁ俺だっていきなり路上教習させられたし、この世界の教え方がスパルタなだけなのかね。

19/02/07


「えぇ、テオガーでしたら乗合馬車が運航しておりますよ?」

「えぇ、テオガーでしたら乗合馬車が運行しておりますよ?」


馬車なんだから運行ですよね。ヽ( ・∀・)ノ● ウンコー


誤字報告に感謝。

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