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第48話 皮

 言語理解さんが仕事をしてくれないので、渋々解説した。


「かくかくしかじか、うまうままるまる」

「おい、かくかくしかじかじゃ説明になってないぞ?」


 ぬぅ、元の世界のお約束は通用しないようだ。


「だからちゃんと解体してますよーって、分かり易く演出してる状態だ」

「なるほど、光ったら解体されました、じゃなんとなく味気ない気もするな」

「俺としては解体の様子がない方がいいんだけどな。時間も早いし」

「そんなものか」

「そんなもんだ」


『現在「機能:解体演出」はONになっています。OFFに変更しますか?』OFF


 これでよしっと。一々解体シーンを見る必要もないしな。


「解体機能の検証はこれぐらいでいいよな? それともまだやるつもりか?」

「せっかくなのであと、5羽ほどやってもよいか?」


 どんだけ持ってるんだよ。まぁ本人の獲物を本人のMPでやるんだから、自由と言えば自由だが、なんか釈然としない。俺のスキルなんだけどなぁ。


「やるのはいいけど、夕食はどうするんだ?」

「手っ取り早いのは焼くか煮るかだが……どっちにする?」

「串焼きサンド食われたから、焼きにするか」

「ぐ……嫌味を。だがあの美味さは出せないと思うぞ」

「ふっふっふっ……安心しろ。秘密兵器がある。これだ!」


 ジャーン、と塩の入った甕を見せる。


「あの味はこの塩が決め手らしいぞ」

「ほぉ、どれ……うーん、確かに普通の塩と違うような気もするが、それほどのモノなのか?」

「俺にもよくわからんがな。分かる人には分かるようだ」

「私にもわからん。まぁ使ってみるか」

「あ、焼くんなら皮付きにしてくれ。あの串焼きは美味いんだが、それだけが不満だったんだ」

「はぁ? 皮を食べるなどと、キミは何を言ってるのだ?」

「え? 食べないの?」

「はぁ、キミは別の世界とやらから来たから知らないだろうが、コッコゥの皮を食べるとおなかを壊すんだぞ。だから食べる人などいない。良かったな、そんなことで非常識がバレなくて」


 なんと、この世界では鳥の皮は食べられないようだ。悔しい。俺は焼き鳥の中で皮焼きが一番好きなのに……何とかならないか?


「なんでコッコゥの皮を食べるとおなかを壊すんだ?」

「さぁ? 理由など知らん。ただそう言われてるから、誰も食べたことない」

「なんで誰も食べたことないのに、おなかを壊したってことだけは分かってるんだ?」

「ん……? そういえばそうだな。なぜだろう?」


 なんか妙な感じだな。誰も食べたことがないのに、おなかを壊した人がいるという。

 ずっと昔、コッコゥの皮を食べておなかを壊した人が広めたのかも知れない。

 が、それにしても頑なに食べようとしないのも変だよなぁ。


 まるで鰻と梅干が食べ合わせが悪いという迷信を信じてるかのようだ。

 あれは逆に相性が良すぎて食べすぎないようにと戒めるためのものだったらしいし。

 コッコゥの皮も同じことなのではないか?


「なぁ、シャーロットは回復魔法とか解毒魔法とか使えるのか?」

「なんだ突然。まぁ使えるが……まさか!?」

「そのまさかだ」

「バカなことを言うな! おなかを壊すんだぞ? おなかを壊すと、お腹がゴロゴロしてキューってなってすごく痛いんだぞ?」

「だが死ぬことはないだろう? 俺のいた国じゃ、死を覚悟してまで食べる魚もあったぐらいだ。お腹を壊すぐらい、大したことないだろう?」

「キミの国の人達はバカしかいないなのか? なぜ死を覚悟してまで食べようとするんだ!? 他にも食べられるものは一杯あったのだろう?」

「そんなもの決まってるだろう? 美味いからだ! 美味いからこそ死を覚悟してでも食べたがるんだ!」

「バカな!」


 シャーロットは衝撃を受けたかのようによろめく。まぁ普通食わないよね、死ぬような食材。


 でもフグとかは正しい調理なら美味しく食べられる。しかも本来毒の部分である卵巣まで食べるぐらいだ。

 フグの卵巣の糠漬けを開発・試食した人の情熱も、未知の味に対する欲求だったのだろうか。あるいは勿体ない精神なのか。


「俺はコッコゥの皮を食べたいんだ!」

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