第43話 対峙
俺は今二つの意味で危機に瀕している。
一つ目は生命の危機。
目の前でシャーロットが元気〇を作って、俺に放とうとしている。いや、赤黒いからデス〇ールかもしれない。
どちらにしろ、とんでもない威力の攻撃が放たれようとしている。当たればLV2の俺は一瞬で消滅するだろう。
二つ目は世間体の危機。
その元気〇だかデス〇ールだかを放とうとしている奴が、金髪褐色美女が全裸でバンザイ中だということ。
そう、金髪褐色美女まではいい。だがその後の全裸でしかもバンザイが問題だ。
どう見たって絵面がマズい。こんなモノ、他の人に見られたら、その瞬間俺の人生は終わるだろう。
せめて悟〇を見習って、あのどんなにダメージを受けても大事な部分を守ってくれる、不思議な服を着ろと言いたい。もしくは深夜アニメの不思議フラッシュだ。
なおフリ〇ザを見習ってはいけない。ヤツは基本全裸だからだ。
などとくだらないことを考えているのは、そうでもしないと目の前のモノに目を奪われるからだ。
詳しい描写は避けるが、例えるなら褐色のスライムが二匹だ。ああプルプルだとも。しかもその先っちょはピンク色だ。眼福です。
下の方はなるべく見なかった。なぜなら俺は紳士だからだ。変態紳士ではないのだ。
しかしこの状況どうするか。もし俺のイケメン力が50万もあれば、キスの一つで彼女はダウンするだろう。
だか悲しいかな、俺にそれほどのイケメン力はない。全く無いとは言わない。少しはあるよな?
俺にイケメン力が有ろうと無かろうと、この状況で出来る手段は限られている。
逃げるか、説得するか、力ずくか。あとは諦めるってのもあるな。採用したくないけど。
逃げても無駄だろう。余波だけでも死ねる。死ななくても飛空艇が半壊だ。
説得も厳しい。目がグルグルになってる。きっと鑑定したら『状態異常:混乱』って出るだろう。
力尽くもどうだろう。バンザイ状態とはいえ彼女の方がずっとLVは高い。俺が攻撃しても効果があるかどうか。
ん? バンザイか。そうだ! これなら俺のイケメン力でも、何とかなるかも。
「シャーロット……」
やはり呼び掛けには答えない。頭上の元気〇は相変わらずバチバチ言ってる。
ゆっくりと近づく。彼女の態度に変化はない。
さらに近づく。もう手を伸ばせば触れられる距離だ。頭上の元気〇は臨界点を超えている。
俺は内心の焦りを抑えつつ、ゆっくりと手を伸ばす……。
ムニョ!
うひょ~~~! やわらけ~~~~!
しっとりモチモチの癖に、柔らかさと弾力が混ざり合った感触。
ウィンドウのYESボタンも目じゃないね。あれが一日中押してられる感触なら、こっちは一生触ってられる感触だ。
え?顔に触れるんじゃないのかって? バッカだなぁ。これから死ぬんなら、目の前のオッパイ様に触ってから死ぬに決まってるじゃん。
「我が生涯に一片の悔いなし!!」
思わずどこかの世紀末覇者になるのも仕方ないね。
「死ねぇぇぇ!!!」
ああ、光が見えるよ。
完!