第４２話 脱衣所
「じゃあ、コレ」
そういって石鹸のほかにシャンプーやリンスも渡す。補充されるなら気軽に渡せる。
「ああ、助かる。で、代金はどうする？ それにこれらは一体？」
「代金は……いいや。口止め料ってことで。これらはシャンプーとリンスといって髪の毛用の石鹸だな。ゴワゴワしなくなる」
「ほう、髪の毛用の石鹸か。確かにあの石鹸もよかったが、やはり髪の毛がゴワゴワするしな」
彼女は髪は腰まであるから洗うのも大変そうだ。
「早速使ってみてもいいか？」
「は？」
「だから、シャンプーとリンスを使ってもいいかと聞いている」
「え？ どこで？」
「どこで？ ってそこの風呂に決まっている」
「え？ 入るの？ 人んちの風呂に？」
「む、マズいのか？ 確かに大きな浴槽だからお湯を沸かすのも大変か……」
そういって、すご～くションボリした顔になる。まるでお散歩に行けなくなったワンコのようだ。こっちの風呂事情はよく分からんが、仮にこの浴槽分のお湯を薪で沸かすとしたら大変だろうしな。
「いや、それはＭＰでなんとか出来るからいいんだけど」
「本当か！ もしよかったら私のＭＰも使ってくれ！」
どうなんだろ？ 使えるのかな？ 区画の開放には使えなかったけどお湯張りはどうなんだろう？ 試してもらうか。もしお湯張り出来るなら、ＭＰの少ない俺にとっても助かるし。
「うーん、試してみますか。こっちです」
「おお！ おおぅ？ おお！」
おー驚いてる驚いてる。やはりこの浴室にはビックリしたようだ。
そして彼女にお湯張りウィンドウが出たようだな。なにやら操作したら、壁のライオンがお湯を吐き出した。
と同時に浴槽にお湯が満たされる。は？ 一瞬でお湯が満ちるって、あのライオンの意味は？
まぁすぐに入れるんだし、細かいことはいいか。
「なんか入れるみたいだね。じゃあついでにあのサウナも開放しとくよ」
と振り向いたら彼女は服を脱ぎ始めてた。
「おぉい！」
「ん？ ああ、そうだな。確かにここで脱ぐのはおかしいか」
そういって脱衣所に移動してった。いやそもそも人前で脱ぐなと言いたかったんだが……。
『ＭＰ２を消費し「機能：サウナ」を開放しますか？ ＭＰ１８／１８』
ここはＹＥＳだ。でもサウナって知ってるのかな。聞いてみるか。知らずに入ったら大変なことになりそうだし。
「おーい、サウナってこっちにはあるの？ っておぉい！」
「なんだ。さっきから大きな声で」
遅かった。いや遅くはなかった。ちゃんとバスタオル巻いてたし。やはり遅かったのか？
しかも黄色いアヒルまでもっている。どこにしまってたんだ？ 谷間か？ 谷間なのか？
「いやー、こっちにもこんな立派な風呂があるとは思ってもみなかったよ」
そういって風呂へと飛び込みやがった。（＃＾ω＾）ピキッ。
バッシャーンと水いやお湯しぶきが上がる。（＃＾ω＾）ピキピキッ。
そのまま泳ぎだした。（＃＾ω＾）ピキピキピキッ。
あ、バスタオルが取れた。プシュー。
「待てーい！！」
「なんだ？ さっきから。もしや一緒に入りたいのか？」
「え？ いいの？」
「まぁ、入る度胸があるのならな。フフン」
といって浴槽の縁を背もたれにし、湯につかったまま偉そうにふんぞり返る。
お前丸見えなの忘れてるだろ。
あ、気が付いた。そのまま沈んだ。あ、浮いてきた。
「忘れろー！！」
おい、お湯をかけるのはいいけど、バスタオルぐらい着ろよ。
あ、気が付いた。お、沈まずプルプルしだした。え？ なんか元気〇っぽいの作り始めたぞ。
やべぇ。何がヤベェって絵面がヤベェ。金髪褐色美女が全裸でバンザイなんだぞ。丸見えなんだぞ。
ああ、そっちも金髪なんですねって、それどころじゃねぇ。
あれ～？こんなポンコツにする予定じゃなかったんだけどなぁ
