第4話 はじめてのしょうかん
「飛空艇召喚!!」
目の前に光輝く魔法陣が壁のように現れる。さらに輝きが強くなり出し、しまいには目も開けてられなくなる。
目を閉じ光が収まるのを待つことしばし、果たして俺の目の前には巨大な白銀の〇があった。
(この世界の飛空艇は球形なのか?)
随分と斬新だなぁと思いながらも、飛空艇の側面?に回り込む。
(球形じゃなくて楕円形なのか)
どうやら俺は飛空艇の船首側を見ていたようで、実際の形はラグビーボールに近いシルエットだった。
船尾側から見ると米の字のように、十文字に尾翼と、その間にノズルのようなものがある。
改めて見てもデカい。高さは三階建ての家よりも高い程度だから15m位? 横はその3倍ぐらいだから45m位か。
ぐるっと一周したが下部には入口らしきものがみつからず、左舷に一つドアがあるぐらいだ。
でもそこまで登る術がない。都合よく梯子なんてないし、ましてや飛行機のタラップ(階段のやつ)なんてない。
「こうなったら木の傍で再召喚して乗り移るしかないか」
その時、まるで俺の呟きを聞いたかのようにウィンドウが開く。
『MP1を消費し「機能:タラップ」を解放しますか? MP10/10』
課金制? と訝しみつつもYESのボタンを押す。ムニョっとしてて肉球みたいな感触だった、つか触れるのかコレ。
すると左舷のドアから光の階段が下りてくる。
(すげぇ、魔法みたいだ)
ファンタジーの世界に来ての感想じゃないな。現れた階段を恐る恐る上る。
左舷のドアを開こうとするとまたウィンドウが
『MP1を消費し「機能:左舷出入口ドア」を解放しますか? MP9/10』
またこれか。もしかして飛ばす前にMP尽きる? 不安になりながらも、ムニョっとYES。
プシューっとドアがスライドする。「おじゃましま~す」と呟きつつ中に入る。よくよく考えたら自分の船だった。まぁいい。中は薄暗いな。当然のようにウィンドウ。
『MP1を消費し「機能:照明」を解放しますか? MP8/10』
暗い中の探索は無理なので勿論YES。船内が明るくなる。天井全体が発光しているようだ。
(階段といい照明といい、中世と聞いてた割に技術レベル高いなぁ)
先ほどの不安が現実味を帯びてきたので、操縦機能の開放を優先しよう。
多分操縦席があるであろう船首側に向かう。
17/06/16
改行とか半角部分を修正
17/12/10
挺→艇 こんな大事な間違いに気が付かなかったとは…… orz
21/01/08
タイトル修正 飛空艇召喚→はじめてのしょうかん