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第393話 ショートカット機能

 飲んだくれてるシャーロットとパイさんの二人を食堂に置き去りにして、俺は泊っている部屋へ戻る。

 カリカリ揚げ(トマトver.)の感想を聞きたい気持ちもあったが、迂闊に聞いて更に何か作れと言われても困る。


 俺が作れるレパートリーなんて、あれしかないからな。

 これ以上無理難題を吹っ掛けられる前に、退散するのだ。


 酔っ払いには近づかない。

 会社の飲み会で得た教訓である。





 部屋へ戻ると、シュリ達四人が部屋にいたのだが、それは別に問題ない。

 個室や二人部屋では人数分の空きがなく、仕方なく大部屋を借りたのだ。


 だが四人が揃って「おかえりなさいませ」と出迎えてくれたのには違和感しかわかない。

 しかも左右に二人ずつ並んでの出迎えだ。

 メイド喫茶に行ったら、こんな風に出迎えてくれそうだな、と行ったこともないのにそんな感想を思い浮かべる。


 一体何が? と思ったが、四人が持っているお風呂セットに気付く。

 なぜか木製の風呂桶には「ケ(くち)ヨン」とフリガナ入りの焼き印が入っている。

 言うまでもなくシュリの仕業だろう。


 俺も欲しいな、と思ってたらシュリがもう一つ木桶を取り出し、俺に渡してくれた。

 たぶんシャーロットの分もあるのだろう。

 木桶を受け取ると、部屋の壁にバックドアを召喚すると、そのドアを開ける。


 再度頭をぶつけつつ、大浴場へと向かう。

 さすがにこの時間になればMPも十分回復しているので、ついでにショートカットの機能も開放しておいた。

 これで一々移動する煩わしさから解放される事だろう。


 と思っていたら、ショートカットの意外な欠点が発覚した。


 このショートカット機能。

 例えば脱衣所の廊下側の出入口に繋げてみる。

 入って直ぐが脱衣所となり一見便利そうに思える。


 その代わり、脱衣所から廊下へ出ることが出来なくなったのだ。

 脱衣所から出ようとすると、バックドアの外に出てしまうので、そこから先への移動が出来なくなる。


 これが俺一人だけで使うのなら問題はない。

 一旦出て、もう一度バックドアを呼び出せばいいだけだからな。

 機能としても正しい使い方といえる。


 問題は中に人が居る場合だ。

 この場合、バックドアを消すことが出来ないので、別の場所へ繋げ直すことが出来ない。

 先程の脱衣所の場合だと、そこと大浴場しか使えないことになる。

 ある意味ロック機能のようなものだ。

 勝手にうろつき回ることが出来ないので、セキュリティ的にはかなり良くなるだろう。


 それはありがたいのだが、現状だと無用の長物でもある。

 シュリ達四人やシャーロットは、今までも飛空艇内を自由に移動していたので、今更移動を制限する必要は無い。


 強いて言えばガロンさんやメルタさん達が、それに該当するぐらいか?

 ただ、あの人達もバックドアの存在自体は既に明かしてしまっている。

 もっとも、ガロンさん達には居住空間を呼び出すスキルだと誤魔化しているがな。


 なのに移動できるエリアが制限できるとあっては、迷い人のスキルとはいえ余計な不信感を与えてしまうだろう。


 いや、不信感というか疑惑?

 ただの居住空間を召喚するスキルではなく、飛空艇の事までバレそうな気がする。

 まぁ元々バラすつもりだから、いいと言えばいいんだけどな。


 ……保留だ保留。

 MP1でデフォルト、つまり行先を指定しなかった場合の接続先が設定可能らしいので、いつもの工房横にしておいた。

 緊急の用事でもなければ、普段はこちらを使うとしよう。


 そんな段取りを終え、脱衣所に戻る。

 ちなみに先程の問題は出入口に繋げたのがマズかっただけで、隣の壁に繋げてしまえば普通に出入り可能だった。


 脱衣所に四人の姿は無く、その代わりに大浴場から声が聞こえている。

 俺はいそいそと服を脱ぐと、その輪に加わるべく大浴場の扉を開ける。





 トンネルもとい脱衣所の扉を抜けると、そこはスライムさん達の天国だった。

 シュリのロケットさんに、ベルの大福さん。

 クレアのバブルスライムさんにアレク君の大胸筋スライムさん。


 色とりどりのスライムさんでオッパイ、もといイッパイだった。

 さらに当然の様にタマコとタンポポまでいる。


 湯気の先には褐色スライムさんまでいた。

 いつの間に来たのだろうか?

 まぁスーパー風呂人(ふろんちゅ)な彼女なら、お風呂チャンスを逃すようなことはしないか、と納得する俺。


 そこまでならいつものメンバーなので驚いたりはしない。


 なんと新顔のスライムさんがいたのだ。

 その白さ、フワフワ感、まさしくクリームパイ。

 シャーロットの褐色スライムと並ぶと、その白さが良く分かる。


 服の上からではゴツイ大胸筋だと思われたが、脱いだら凄かった。

 思わず拝んでしまいたくなる五百年物の風格は、パイスライムさんといえよう。


 って、なんでパイさんまで一緒に居るんだ?

 どうせシャーロットが連れて来たんだろうけど、勝手なことをしないで貰いたいものだ。

 まぁシャーロットの古い友人らしいし、こうして拝スライムさんまで拝ませて貰えたので、いいっちゃいいけどな。


 とはいえ、罰として奴の褐色スライムさんには、揉みしだきの刑を受けさせよう。

 もちろん執行者は俺。

 異論は認めない。

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