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第39話 キノコ

 ナデナデ……

 ナデナデ……

 ナデナデ……


 はっ! あまりのドヤ顔に撫でてしまってたけど、かなり失礼な行為だよな。しかも嫌がられなかったからって、ずっと撫でてたし。大丈夫かな?


 う~ん。なんか目がグルグルになってる。これって咥えてるキノコの効果か? 美味いっていうけど、絶対なんかヤバい成分が入ってるよな。どうすべ?


「テイッ!」


 実家の祖母直伝のナナメ45度チョップだ。ブラウン管TV時代には大活躍だったそうだけど、今の薄型TVに変わってからはすっかり出番がなくなった、あのチョップだ。


「はっ! 香りだけでトリップしてた」

「そうか。正気に戻れてよかったな」


 流石祖母直伝チョップだ。並みのチョップじゃ余計ひどくなっていただろう。


「このキノコ、本当に大丈夫なキノコなんだろうな? なんか目がグルグルになってたけど」

「当り前じゃないか! この香り、味わい、食感。どれをとっても最高ではないか!」


 味? 食感? あー!! コイツ齧ってやがる。チョップした時に食いやがったな。ってか生でキノコ食うなよ。


「あの様子を見てると、どうしても俺には毒キノコにしか見えないんだが……」

「むぅ。見解の相違とやらか。そうだ! このフリュー。ワタシに売らないか?」

「売るも何も、こんな齧りかけ、もうギルドには持ち込めねえよ」

「おおそうか。昔食べた時は一本を皆で分け合ったから、こんな薄っぺらいのしか食べられなかったんだ。私はその時心に誓ったよ、いつか丸ごと一本食べてやるってな」


 そういって指でCマークを作る。Cというかほぼ〇だな。カンナクズ並みの薄さだ。それっぽっちでも心に誓えるほどの美味さだったということか。しかし薄すぎだろ。何人で分け合ったんだ?


「随分大人数で分け合ったんだな」

「いや4人だ。パイモンの奴が4等分じゃ面白くないって言いだしてな。ゲームで勝った順に取り合えることになったんだけどな」

「あーそれで最下位に?」

「いや、二位だ」

「はぁ? 二位でそれだけって」

「それもパイモンの奴が決めたんだ。一位がほぼ全部。二位がその残り。三位が香りのみ。最下位が感想だけ」

「で、そのパイモンとやらが一位だったと?」

「そうだ。よくよく考えたら、あのゲームは奴の得意なゲームだった。気が付いた時には既にフリューは奴の腹の中だった」

「よくケンカにならなかったな」

「勿論なったさ。全殺しすら生温いぐらいボコボコにしてやったとも。その上で私たち3人にフリューを一本ずつよこす様に言ったんだがな」

「よこさなかったと?」

「ああ、よこさないというか、結局あの一本しか手に入れられなかったんだ。仕方ないから奴が破産するまで全員で飲み倒してやったよ」


 ボコボコにされたうえに全財産飲み代にされるとは、食い物の恨みって恐ろしい。


「まぁ他の二人はそれでスッキリしたんだけど、私の場合なまじっか食べてしまったんで、逆にもっと食べたくなったんだ」

「それで丸ごと一本か」

「そういうことだ」


 まぁそういうことならいいか。齧りかけをギルドには出せないし、かといってあのグルグルっぷり見てると食べる気も起きない。あと、これでやらんとか言ってパイモンみたいになりたくもないしな。


「じゃあソイツはあげるよ。どっちにしろ俺は食べる気ないし」

「そ、そうか。ありがたく頂戴しよう。でもタダでもらうのは良くないな。何か対価になりそうなのは……そうだ! これをあげよう」


 そういって差し出したのはさっきの巾着袋だった。


「いや、それ大事なものじゃなかったのか?」

「違う、いや違わない。大事なものだけど、渡したいのは中身の方だ」


 そういって巾着袋の中に手を突っ込む。ん? あれ肘まで入ってないか? あれか? マジックバッグってやつか? 


「あれ……たしかこの辺に予備のが……どこいったかな? あ、あった、コレだ」


 そういって取り出したのは……ブラだ。この世界にもあるんだな。メロンぐらい入りそうだ。使用済みかな? 使用済みだろうな。洗濯済みだろうけど。

 俺は中身の方が好きなんだけど、そっちも嫌いじゃない。訳の分からんキノコよりは美人のブラの方がずっといい。


「あれ? ちがった。こっちだこっち」


 真っ赤な顔でブラをしまい、小さい布切れを取り出す。まぁこのパターンならそれが出てくるだろうな。

案の定、出てきたのはパンツだった。しかもヒモパンだ。

 ブラといいパンツといい、ファンタジーの割には、妙に現代っぽい下着だよな。先の転移者が伝えたんだろうか?


「ありがとうございます」


 と手を出してみる。勿論冗談だ。俺は下着単体に興奮する趣味はない。中身付きなら別だけどな。むしろ中身だけくれ。


「ちがっ、これは違うぞ。こんなモノではフリューと釣り合わない」


 いや、人の価値観はそれぞれだから、十分釣り合うと思うよ。あ、しまっちゃった。


「渡したかったのはコレだ」


 巾着袋の中から出てきたのは巾着袋だった。バッグインバッグ?


「これは予備のマジックバッグでな。これとフリューを交換ということでどうだろうか?」


 おお、やっぱりマジックバッグだよ。ファンタジーで定番の、見た目より沢山入って、しかも重量変わらずのヤツだよな? 時間とか止まるのかな? いくらでも入るのかな? 変なキノコよりも遥かにいいじゃん!


「マジックバッグですか」

「ああ、といってもコレは予備なので、ランクが低く、それほど入らないのだが……」


 うーん、どうせなら容量無制限とか時間停止付きがよかったけど、貰い物に贅沢を言ってもな。それにキノコ売ったとしても、マジックバッグが手に入るとは限らないだろうし。


「わかりました、このキノコとそのマジックバッグを交換しましょう」

「おお、そうか。無理を言ってすまない」


 やったー。そこらで拾ったキノコがマジックバッグになりました。

 早速担いでたブタをしまう。おお入る。重さの変化もない。しかも手を突っ込めば、入ってるものがなんとなくわかる。さすがファンタジー。


「いやー、いい取引ができました。じゃあこれで……」

「ああ、これでさっきのヤツについて聞けるな」


おぅ、誤魔化されてなかったぜ。

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