第38話 誤魔化そう
振り返れば金髪褐色美女シャーロットがいた。マズいな。飛空艇を見られたようだ。どうする?
A案:「俺のスキルだ」正直に打ち明ける
B案:「こんなところに飛空艇があるなんて」さも以前からあったかのように振る舞う
C案:「そんなことよりなぜここに?」逆に質問してごまかす
A案は微妙か。たぶん彼女にバラしても悪いようにはされないだろう。わずかな付き合いだが、なんとなく為人から想像できる。もし今までのが演技だったら、俺は人間不信になれるだろう。それでも他人にバレることは避けたい。
B案はダメだな。召喚したところを見られてるかもだし、中に入ってみようとか言いだされても困る。
C案はなぁ。ひょっとしたら誤魔化せそうな所がなぁ。逆に彼女が心配になってくる。
どれも微妙だ。ん? まてよ、これならどうだ?
→D案:無言送還して全力ですっとぼける。
例のウィンドウと同じで、別に声に出さなくても召喚や送還可能なんだった。よし、送還んん~。お、消えた。
「え? 何かありました?それよりも、なぜ貴女はここに?」
「え? あぁ、忘れ物を取りに雑貨屋へ戻ったら、キミが持って行ったと聞いてな。それで追っかけてきた。じゃなくてだな、あれはどういうことだ? 出たり消えたり。キミの仕業だろう?」
あれぇ? 今までならごまかせてたのになぁ。いや、まだだ。まだ希望はある。リュックの中から巾着袋を取り出す。
「ひょっとしてコレのことですか?」
「おお! それだ! 返していただけるだろうか? それは大切なものなんだ。頼む」
よし、上手く話を逸らせたな。巾着袋を渡してそそくさと退散しよう。なんか必死な姿を見てると、ちょっとイジワルしたくなるけどな。まぁ逃げる方が先だな。
「はい、どうぞ。もう落とさないでくださいね。じゃあこれで……」
そのまま立ち去ろうとしたら、ガシッと手を掴まれる。
「待て」
ちっ、誤魔化せられなかったか。って顔近! まつ毛長! なんか美人にここまで接近されると、ドキドキするどころか、背筋がゾワゾワしてくる。
「その……中は見たのか?」
そっちか~。
「いえ見てませんよ。じゃあこれで……」
まだ放してくれない。仕方ない、正直に話すか。
「あの、あれはですね…」
「なぁ、その背負ってるのはフリュトンだろ? そいつはどうするんだ?」
こっちか~。このブタ、フリュトンっていうのか。どうするって言われてもな。
「コイツですか。なんかヤバそうなキノコ食べてる所を不意打ちして仕留めたんですけど、食えるのか判らないのでギルドに売ってみ「それを売るなんてとんでもない!」ようか…」
滔々と説明された。なんでもこのフリュトン、とても美味しいけど臆病で、滅多に人前に現れない。狩れるチャンスは、フリューっていう、あのヤバそうなキノコを食べてる時ぐらい。
序にいうと、フリュトンよりもフリューのほうが美味いみたい。あの顔は美味すぎてトリップしてた顔だったのか。
ああ、コレのことか。とキノコを取り出したら、視線がキノコにロックオンされた。キノコを右に動かせば視線が左に(対面してるから)。キノコを左に動かせば視線は右に。上に動かせば上に、下に動かせば下に。
なんだこのイキモノ。オヤツを前にしたワンコみたい。キノコ投げたら取ってきそうだ。いや、そのまま食べるかも。やってみた。
「よし、とってこ~い」ポイッ
「わふぅぅ~ん」ザッ、パクッ
すげぇ、結構全力で投げたのにダッシュで追い付いて、そのままノーバンでキノコを咥えた。
金髪褐色美女がキノコを咥えてる。絵面がやべぇ。あとNO-BANな。NO-PANじゃないぞ。いや見てないけど。
そしてそのまま戻ってきた。すんげぇドヤ顔だ。思わずよしよしヾ(・ω・`)と撫でてしまった俺は悪くない。
 




