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第327話 情報収集

「あぁ、ここに居たのね」


 ノックもなく現れたのはクレア。

 更にベル、アレク君と続いて食堂に入って来た。


「三人揃って……何かあったのか?」


 同じ村長宅にいるクレアはともかく、ベルやアレク君まで登場となると緊急事態が発生したのか?

 謎のモンスターの調査の為に来た以上、不意の夜襲に備えてビールを控えていたが、その甲斐があったのか?

 ただ、その割には三人に深刻な様子はうかがえない。


「そう構えなくても大丈夫よ。例の依頼の情報を持って来ただけだし」

「そうか」

「といっても碌な情報は無いわね」

「……そうか」


 それぞれの家で聞いた程度だが、確かに碌な情報は無かった。


 誰も姿を見た事はなく、ただ森の木が倒されていたり、森との境に作られている畑が荒らされる被害があったそうだ。

 そう聞くと、「ただ単に害獣が現れただけなんじゃ?」と思うが、害獣の類は猟師であるアレク君のパパさんが定期的に駆除しているので、それは無いらしい。


 元々ウルザラ村周辺は魔素とやらが薄く、モンスターが発生しにくい地域だそうだ。

 森にいる動物もミニボアや一角鹿ぐらいで、大型の肉食獣は森の奥にしか生息していないという。

 過去に発生したモンスターもゴブリン程度だという。


「あぁ、お前が漏らし……いえ、何でもないです」

「アレは驚いて水汲みの桶を落としただけよ」

「ハイハイ、水汲み水汲み」


 余談だが、ミニボアは成長するとワイルド・ボアやフリュトンになるそうだ。

 一角鹿は頭にユニコーンみたいな一本の角が生えている鹿だってさ。

 どっちも美味いらしいから、滞在中に食べる機会があることを願おう。


「モンスターの線が薄いとなると、森の奥の肉食獣とやらが現れたんじゃないのか?」

「それなら畑を荒らすより人か森の動物を襲うはずよ」

「それもそうか」


 猟師のパパさんも森にそんな獣がいればすぐに気が付くそうだ。

 アレク君が木の幹に出来た爪痕がないかを気にしてたのは、その辺の知識からきているのか。


「姿を見た事がないってのは、畑に誰もいない、例えば夜とかそんな時間だったからか?」

「それが不思議なことに、白昼堂々と荒らされたらしいわ」

「……荒らされているのに誰も気づかなかったって事か?」

「アタシも又聞きだから詳しいことは分からないけど、聞いた話じゃ目の前で土が掘り返されたらしいわ」

「……農作業しているヤツの目の前で行われたって事か」

「多分ね……」


 とりあえず分かった事を並べると、


 ・木をなぎ倒せる程度には力がある。

 ・畑を荒らすって事は、草食動物? それとも単に肉(人)の気分じゃなかった?

 ・昼間に行動する。

 ・マジで姿が見えない or 魔法または超能力が使える。


「シャーロットは心当たりはないのか?」

「わ、私を疑っているのか?!」

「……まさかお前が犯人なのか?!」

「私だったら人目のある昼間は避けるな……って違う!」

「当り前だ。俺が聞きたいのは、モンスターの正体に心当たりはないのかって事だ」

「それならそうと、ちゃんと言え……いや、心当たりか……スマンがちょっと情報が少なすぎて、思い当たらないな」


 物知りシャーロットさんでも分からないとなると、今の段階で取れる手段はないな。

 せいぜい明日、荒らされた畑を見に行くぐらいか。

 しばらく前の事だし現場保存とかしてないらしいから、手掛かりは期待できないだろうが、当てもなく森を彷徨うよりはマシだと思う。


「ということで、明日は現場の調査ってことで、解散!」

「そうだな」「了解っス~」「分かりました」「……(コクコク)


 明日の方針を固め三々五々散っていく中、クレアだけが居残っている。


「どうした? 流石に調査初日の夜ぐらいユックリしたいんだが……」


 依頼は大事だろうが、自身の健康も大事だ。

 差し迫っているわけでもないし、落ち着いて調査する方がきっといい結果が得られるはずだ。


「あのね……ショータにお願いがあるの」

「なんだ? 風呂に入りたいなら多分シャーロットが準備しているぞ?」

「もしかして入っていいの?」

「拒む理由はないな」


 ただし混浴に限る。


「そう、ありがとう! 早速アレクも誘っていくわ!」

「そうしろそうしろ」


 風呂人ふろんちゅが増えるのはいい事である。

 惜しむらくは、温泉が見つからないことか。

 シャーロットが知っているのは魔王国のだけだし、彼女は魔王国に戻りたくないみたいだしな。

 あ、シュリなら同じ迷い人だし、五百年前の温泉なら知ってるのか?


 あとで彼女に聞いてみたら、「勇者になる前は探してたっスけど、なってからは常に誰かと一緒だったんで、風呂すら碌に入れなかったっス」だそうだ。


 女とバレる訳にもいかず、ひたすら我慢の日々だった反動もあって、今朝の行動だったそうだ。

 そんな風呂人ふろんちゅなシュリではあったが、残念ながら彼女も温泉自体の情報は無いらしい。

 ただ、それらしい情報は掴んでいたようなので、そのうち温泉探しの旅に出ようと思う。

17/12/21 誤記訂正

 男とバレる訳にも

→女とバレる訳にも

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