表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
291/1407

第291話 寄り道

 マヨネーズに気を取られていたが、チキン南蛮も忘れてはいけない。

 これは昨夜、卵黄の使い道がマヨネーズに決まった時、俺が真っ先に思い付いたのは唐揚げだ。

 レモンもいいが、やはり唐揚げにはマヨネーズだろう。

 だが、ただの唐揚げにマヨネーズでは芸がない。


 ならばと次に思い出したのがチキン南蛮だ。

 唐揚げに甘酸っぱいタレをかけ、さらにタルタルソースをつける。

 俺のフワッとしたイメージだけでもアレク君には十分だったらしく、力強く頷いてくれた。

 ただし、問題はタルタルソースだ。


 酢はマヨネーズに使ったのがある。

 ゆで卵も一つだけだが用意できた。

 ネックになったのはピクルスに代表される漬物系だ。


 こればっかりはアレク君も用意していない。

 彼も色々悩んだようだが、結局玉ねぎを浅漬けにして混ぜる案で妥協。

 だから正確にはタルタルソースもどきだ。


 なお、卵が持つ病原菌は、俺もレシピを伝える時に注意してある。

 ただ不安は残っていた。

 酢や油の作用でマヨネーズの中の菌が死滅するのは美味〇んぼで知っているが、ここは前の世界とは違う。

 未知の病原菌がコッコゥの卵に潜んでいるかもしれない。

 そしてその菌は、酢や油では死滅しない可能性だってある。


 その不安を解消してくれたのはタンポポとダンデれもん様だった。

 ダメ元でタンポポにコッソリ聴いてみたら、冷蔵庫の機能に「完全殺菌」を追加することが出来た。

 しかもタダの殺菌ではなく完全殺菌だ。

 これで未知の病原菌の不安は無くなった。


 ダンデれもん様に対する不安は無くならないがな。

 俺の飛空艇(スキル)は一体何を目指しているのだろうか……

 もしかして未だ開放されていない区画に、無菌ルームでもあるのか?


 まぁいい……とにかく、この冷蔵庫に入れておけば決して腐らない。

 なぜなら腐敗には細菌やバクテリアが必要で、それを完全に除去できる冷蔵庫なら理論上、永久に保存できるからだ。

 まぁ熟成みたいに変質していくのは避けられないだろうけどな。


 ……あれ? チキン南蛮の話がまたマヨネーズと菌の話になってる。

 おかしい、確かにチキン南蛮の話をしていた筈なのに……


 あれだ。シャーロットのヤツが過去の迷い人の話をしたせいだな。

 そのせいでチキン南蛮の味云々が吹っ飛んだんだ。



 そうこうしているうちに、目的地に辿り着く。

 塩の採取は十分なので、例の勇者入り水晶を回収した後は、そのまま自動操縦で帰還していたのだ。


 ただし帰還先は、薬草の群生地。

 昨日受けておいた薬草採取の依頼を達成するために立ち寄ったのだ。

 受けた依頼は最低五束、上限二十束のが俺達とクレア達ので二件分だ。

 計四十束が目標となる。


 既に昼過ぎとなる中、四十束は厳しい気もするが、五人がかりなら何とかなるだろう。

 群生地上空に飛空艇を係留し、俺達は採取を開始した。


 モサモサっと生えている薬草をブチブチと採取していく。

 一人頭八束、つまり八十枚毟れば完了だ。

 あまりのモサっとぶりに、質がいいと言われる一芯二葉だけの採取でやっているが、それでもこの群生地なら問題ない様だ。


「これなら査定で二割アップは確実ね」

「さいですか……」


 言い出したクレアはホクホク顔だった。

 一芯二葉の摘み方で採取した薬草は、上質なポーション作りに回されるらしく、その分評価が高くなる。

 たかが薬草採取といえど、こういった気遣いでギルドの貢献度(ポイント)は変わっていくようだ。


 そしてこの摘み方にはもう一つの利点があった。

 上の部分だけを摘むので、一々屈む必要が無いのだ。

 歩きながら採取するので、採取のスピードの割に楽だった。

 まぁそれが出来るのも、この群生地ぐらいだろうけどな。


 程なくして採取は完了する。

 ちなみに俺、アレク君、ベルはきっちり束ねる派。

 シャーロット、クレアはとにかく採取する派だった。

 数は余分に採ってあるようなので、飛空艇でいつもの場所へ戻る間、二人には束ねておいてもらう。

 誰かに手伝わせようなんて魂胆自体、甘いんだよ。




 いつもの墓標に到着し、エレベーターで地上へ降りる。

 ガロンさんに渡す塩は俺のマジックバッグに、山ほど詰め込んである。

 シャーロットには、アレク君用の甕二つと俺達用の甕一つを持ってもらった。

 これだけあれば当分は持つだろう。


 他に忘れ物が無いかを確認し、飛空艇を送還する。

 演出はOFFにしてあるので、スゥッと消えていくダンデライオン号。

 よし、あとは町に戻るだけだ。

 さぁ出発って、シャーロットが空を見上げてるが何かいるのか?


 釣られて俺も見上げる。

 町の近くだから飛竜の襲来はないだろうが、万が一もある。

 概観視も使い、見落としが無いようにする。


 ……アレか? 何か空から降ってくるものが見える。

 奇妙な泡のような物に包まれたあれは……


「親方!、空から(裸の)女の子が!」

「誰が親方だ!?」


 でっかい泡に包まれた女の子は、色々とでっかかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ