第29話 ダンジョン
説明回二
「だからダンジョンってのは要するに不思議空間だ。いろんな種類がある。洞窟のように土むき出しだったり、石造りの壁が続く通路だったり、俺は見たことないが草原と空があるダンジョンもあるらしいぞ。
そしてダンジョンにはお宝が眠ってる。金銀財宝なんて当たり前。強力な武器や防具、もの凄いアイテムが手に入る。売れば一生遊んで暮らせる。まさに一攫千金だ。まぁ滅多に見つからないんだけどな。
だが罠には注意しろよ。お宝を手に入れたやつが、罠にかかって死んじまったなんてよくある話だ。
できる場所もいろいろだ。森の中だったり、山の洞窟だったり、遺跡だったり、塔だったり。そういえば、昔城がダンジョンになったこともあったな。ただの洞窟だと思ってたらダンジョンだったなんて話も聞いたことがある。
ダンジョンの見分け方か。そりゃぁ簡単だ。ダンジョンでは魔物が出没する。ん?その面だと、獣と魔物と魔獣の違いも分かってねぇな?よくそんなんで冒険者やってるな。
獣ってのは、まぁ人を襲う動物だな。コッコゥとかも獣だ。知能はそんなに高くない。で、魔物は魔石を持つ生物だ。あぁ魔石のことだろ?あとで教えてやるよ。あいつらは魔力溜まりから生まれる。後だ後。いい加減話の腰を折るなよ。
魔物ってのは千差万別だ。まぁ変な生き物は大抵魔物だ。スライムとか竜とか、あとゴブリンとかもか。強さもピンキリだが、基本的にデカい奴ほど強い。
大抵の奴はそうだ?そういやそうだな。でもそいつらは魔法なんて使ってこないだろ?そうだよ、使ってくるんだよ。元々魔力溜まりから生まれるからな。
もっともどいつもこいつも使ってくるわけじゃない。昔調べたやつがいるんだよ。暇な奴もいるよな~。結論から言えば、どうやら年を経た魔物になるほど魔法を使ってくるんだと。
だから魔法を使ってくる奴は魔物って覚えとけばいい。ついでに厄介な敵ともな。長く生きてるってことは、生きるための知能が高いってことだ。
そんな奴らは間違いなく手強い。たとえスライムやゴブリンであってもな。油断するなよ。お前さんはどっか抜けてる感じだから、ただのスライムに引き分けたりとかしてそうだ。なんだその面は。そうだよな、そんな奴いるわけないよな。そこいらのガキでも勝てるヤツだし。
そして獣なのに魔法を使ってきたら魔獣だ。魔獣ってのは、長く魔力溜まりの傍にいたせいで、体内に魔石ができた獣のことだ。実際魔法を使うコッコゥの腹の中から魔石が出てきたらしいしな。
コッコゥぐらいなら問題ないが、ヤバいのは暴れ熊やワイルド・ボアとかが魔獣化した場合だ。ただでさえ狂暴なのに、長く生きて知恵をつけた上に、更に魔法だ。こいつらへの対処は騎士団や軍隊による、大型の兵器で対処するしかない。
だがな、もっとヤバいは軍隊蜂だ。何千何万といる軍隊蜂の、巣全体が丸ごと魔獣化した時は、5つの町が滅んだ。強すぎて騎士団や軍隊でも太刀打ちできずに、結局町を放棄した。今でも軍隊蜂の魔獣は生きてその町にいる・・・。そう青い顔するな。奴らはテリトリーに近づかなければ何もしてこない。
獣と魔物と魔獣についてはそんなもんかな。まぁそのうちわかってくるだろ。わからなきゃ死ぬだけだしな。ガハハハッ。ここ笑うとこだぞ。
魔石ってのは魔物のエネルギー源であり、弱点であり、お宝だ。ゴーレムとかは魔石外すと止まるし、砕けば魔物は死ぬ。そして取り出された魔石はカネになる。買い取ってるんだよ、ギルドでな。デカければデカいほど高く買い取ってくれる。
受付にあったランプがあるだろ?あれは魔道具つって、魔石で動くアイテムだ。他にも水の出る魔道具や火の出る魔道具なんてのもある。高いけどな。そういやあれもダンジョンで見つかるアイテムだったな。
魔力溜まりってのは、よくわかってねぇ。ダンジョンでたまに見かける黒い渦なんだが、ほっとくと魔物が生まれる。コッコゥを入れといたら魔獣になった。人間が入ったら魔力が回復したとか、暴れだしたとか、どれもが眉唾もんだ。間違っても入るんじゃねぇぞ。
っておい、寝てんのか。人にさんざ喋らせておいて、テメェはおねんねだと?
よしわかった、じゃあもう一つ教えといてやるよ。『人の話の途中で寝るヤツは、顔に落書きされても文句は言えない』。わかったか?(グイッ)お、うなずいたな。じゃあ・・・・。
おぅ、いいツラになったな。これもダンジョン産のアイテム、その名も”魔法のインク”だ。なんにでも書けて、洗ったくらいじゃ消えない。まぁ、しばらくすれば消えるがな。便利だろ?じゃあな。いい夢見ろよ!」
本作で最も喋った奴かもしれない