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第27話 夕食

 大部屋に入った俺はあたりを見回す。

 枕と布団が敷かれ、これが一人分のスペースなのだろう。既に寝ている奴もいる。空いている布団を見つけ、腰を下ろす。

 装備はどうするか。いい加減脱ぎたいが盗難が怖い。受付のヤロウなら「自己責任ッスよー」とかいいそうだ。仕方なく身に着けたままにする。シャワーは・・・ないだろうな。せめて身体位拭きたい。食事の時に聞いてみよう。


 することもないまま、日没を迎える。周りで寝てた奴らも起きだしてきた。メシの時間かな。1階の食堂に向かう。

 すでに行列が出来ている。後から来た奴が「出遅れたか~」と嘆いている。どういうこと?


 嘆いてた奴に聞いてみれば、食堂はバイキング形式だけど、部屋によって食べられる量が違うらしい。

 個室の客なら日没(・・)までの間、無制限で食べられる。そして日没後に大部屋の奴らがその残りを食べる。

 ただし大部屋の客は盛り付けは一回っきり。これは全体に回るようにするためだとか。でも個室の奴らが特盛りにしてしまえば、出遅れた大部屋のやつは、食べられないこともあるとか。

 だから大部屋の連中は、いつかは個室に泊まってやる。と奮起するそうだ。いいのかそんな商売で。


 話を聞きながら行列に並び順番を待つ。ちなみに力づくで割り込もうとすると、マッチョな従業員に叩き出されるそうだ。当然返金もない。大部屋に泊まるような連中じゃ実力も大したことないだろうしな。


 さて順番が来た。幸い特盛りにしたやつはいなかったみたいで、それなりの料理が残っていた。

 つってもマッシュポテトとスープとカッチカチのパンぐらいだけどな。もともとの種類もそんなもんだし。

 個室の連中はフカフカのパンとか肉もあったらしい。よくよく考えたら俺たち残飯処理係だな・・・考えなかったことにしよう。


 うーむ、全体的に塩気がない。マイ塩でも持ち歩くか。カッチカチのパンはスープに浸して食べた。さっきの嘆きの兄ちゃんに教わったやり方だ。つっても周りの連中も浸してたけどな。


 食った気にならないけど、腹は膨れた。後は寝るだけだか。身体ぐらい拭きたいけど、お湯とかもらえるんだろうか?

 またも嘆きの兄ちゃんに聞いてみた。「俺はお前の情報屋じゃねぇ!」といわれたが、裏庭に井戸があるんで、そこで拭けと教えてくれた。手ぬぐいまで貸してくれた。感謝感謝。


 裏庭の井戸に向かう。お、デカいタライがある。衝立もある。行水ができそうだ。

 水を汲み、石鹸で体を洗う。水が冷たいけど我慢した。昨日のシャワーに比べれば、覚悟してた分マシだった。洗濯もしたいけど、乾かしてる間の着替えがない。その辺も明日調達だな。


 片づけを終え、サッパリした気持ちで部屋に戻ろうとすると誰か来た。

 光の玉を頭上に漂わせながら来たのは、見覚えのある金髪褐色の美女だ。たしかシャーロットだったか。

 よく会うな~と思ったが、彼女もギルドでここのことを聞いたのだろう。で、たまたま似たようなタイミングで身体を拭きに来たと。


「あ・・・」

「あ、こんばんは」


 どうやら人がいると思ってなかったらしく、大分慌ててる。


「あの、空きましたので、どうぞ」

「ひゃい、ありがとうございましゅ」


 相変わらず、よく噛むな~と思いながら、道を譲る。あ、そうだ。


「これ、よかったら使ってください」


 そういって、石鹸を渡す。他意はない。一緒に使いましょうって言われることなんか期待してない。だいたい、おれは使った後だしな。そのまえに自前のを持ってるかもだし。せいぜい美人に覚えられたら、うれしいなぁぐらいだ。


「あ、ありがとうございます。これって・・・」


 なんか言ってるようだけど、いいオトコは素早く立ち去るものさ。慣れないことしたんで、照れくさくなって逃げ出したともいうが。

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