表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/1407

第26話 宿屋

「これで5羽目か。日も暮れてきたし、引き上げるか」


 あれからコッコゥ探しは順調だった。所々ある岩や木に登り、上からみれば黒いのがあちこちにいるのがわかった。

 あとはそっと近寄って、槍を突き出す。うまくすれば一撃で倒せる。ただ攻撃が外れたりして、反撃さを喰らう場面もあった。それでも嘴を盾でいなし、槍を刺す。防御をしっかりすれば、恐れることはなかった。


(弓でもあれば、近付く前に一撃加えられるかなぁ)


 だが弓は結構値段がかかる。マルクさんの店でも銀貨5枚位はした。更に矢は消耗品だ。回収はできるけど全部じゃない。

 まぁ弓じゃなくてもいい。なにか遠隔攻撃の手段があると、もうちょっと安全に狩れるかなってだけだし。


 なにか考えてみるか。手っ取り早いのは石だな。何処にでもあるし、何よりタダだ。

 でもさっき試してみたけどダメージが今一つだった。強めに投げても多少ひるむ程度だった。

 投げナイフとか?予算がないな。手入れもあるし、無くす場合もある。

 もっと低予算でかつ有効打を与えられる遠隔武器が欲しい。


 まぁ明日だな。これ以上獲れても、持ちきれない。買っておいたロープでコッコゥを縛り、町の方に歩いていく。




 門では特に問題はなく、ギルド証をみせてそのまま入れた。ついでに井戸で水筒に水を入れておいた。  ギルドにたどり着く。夕暮れ時だけあって結構混んでる。大人しく並んで待つ。日本人だしな。あ、元か。


 絡まれることもなく、換金を済ませる。人が多いし、テンプレ発生するかなぁと警戒してたが、すでに絡まれてた新人がいたらしい。そしてあっさり返り討ちにして喝采を浴びてたそうだ。

 結局コッコゥ5羽で銀貨3枚になった。血抜きしてた分割り増しされたようだ。忠告感謝だな。


 多少懐のあったまった俺は、今夜の宿を探そうと通りを歩く。一応ギルドでおススメの宿は聞いておいた。1泊朝夕食事付きで大銅貨5枚。格安らしい。


 おススメの宿屋の前に辿り着く。おお、デカい。3階建てかな。木造だけど新築っぽく、しっかりしたつくりだ。

 ん?向かいにも宿屋があるな。こっちは石造りの2階建て。なんかこじんまりしてて、こっちの宿屋に比べると、ぶっちゃけみすぼらしい。なんか人形持った幼女が道端で落書きしてるし。


 気にせず、おススメの宿屋に入る。入るとき幼女に睨まれた。なんかしたか?おれ。


 ロビーには受付の男性が一人、イスに座ってるだけだった。なんだろ?雰囲気がどっかで見たことあるような無いような。

 あぁ、コンビニのバイトが持ってる雰囲気にそっくりなんだ。あのやる気のなさそうな目付きなんか特に。


「いらっしゃいやせぇー、お泊りッスかー?(ちっ、ヤロウかよ)」


 なんか心の声が漏れてるー。


「ええと、ギルドで聞いてきたんですけど、この宿1泊食事付きで大銅貨5枚で泊まれるって本当ですか?」


「えぇー、それ3泊からなんスけどー。1泊だけだと大銅貨8枚ッスねぇー」


 まじか!どうすべ。連泊してもいいけど3泊はなぁ。いいや1泊で。


「じゃあ1泊でお願いします」


 前金制らしく大銅貨8枚を男に渡す。宿帳への記載はないようだ。


「まいどー。じゃあ部屋は2階ッスー。上がって左側の部屋ッスよー」


 え?カギは?カギは無いの?


「あ、そのプランは大部屋プランッスよー。みんなして雑魚寝ッスー」


 まじか!!貴重品とかどうしてんだ?


「ちなみに個室プランは1泊だと銀貨2枚からッスよー」


 まじか!!!なんか騙された気がする。


「あとメシは1階の食堂ッスよー、夜は日没からで、朝は日が昇ってからッスよー。開いてる時間は食堂の蠟燭が消えるまでッス」


 うーん開いてる時間がわからんな。なるべく早めに食べるとしよう。 


「じゃぁごゆっくりー」


 そういってヒラヒラと手を振るヤロウ。ヤロウで十分だな。案内もしないらしい。結局座ったままだったし。

 まぁいい。日本のホテルなら考えられないが、こっちじゃこれが当たり前なのかもだし。


 2階への階段を上がる。途中踊り場で受付を見たら、ヤロウが大銅貨を一枚自分のポケットに入れるのが見えた。

 一瞬ブチ切れそうになったが、チップ制度を思い出す。あれはあのクソヤロウへのチップ分なんだと、そう思うことにした。揉め事は面倒だし。

 後で聞いたら、そんな制度はなく単に騙されただけだった。ぶん殴るべきだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ