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第24話 防具

この店は受付嬢がおススメするだけあって、武器メインだけど防具もそれなりに扱っている。元々防具もここで見繕う予定であったから、防具と包丁の交換を提案する。


「おー、アンタ新人冒険者だったんだな。よし!まかせとけ、とびっきりのを見繕ってやるぞ!」


そういって女子中学生、もといフランちゃんは店の奥に入っていった。


「おー、あったあった。これならあの包丁の対価には十分なハズ」


そういいながらフランちゃんが持ってきたのは、黒光りする重厚そうな金属鎧の入った木箱だった。


「スゲーだろー、こいつは竜が踏んでも壊れないを目標に造ってみたんだ。まぁ試してはいないんだけど」


そういって俺にポイッと木箱を渡す。


「んぎゃーーーーーーー!!」


こ、腰に、腰にきた。やべぇ、軽そうに渡すもんだから、俺もついつい軽いもんだと思って受け取っちまったけど、とんでもない重さだぞ、これ。


「大丈夫かい?ダメじゃないか、フラン。彼ら人族と僕たちドワーフじゃ、筋力が全然違うんだから、気を付けるようにいつも言ってるでしょ」


そういって店主はヒョイっと木箱をどける。


「助かりました。しかしドワーフですか」


「うん、そうだよ。まぁ厳密にいうとフランが純血のドワーフで、僕はハーフドワーフなんだ。ほら髭生えてないでしょ?」


おお、ドワーフだよドワーフ。聞けば普通のドワーフは俺のイメージ通りらしい。

ずんぐりむっくりで髭もじゃ、酒と鍛冶に強く力持ち。女性も似たような体形で、見分け方は髭のあるなしぐらい。


店主のマルクさんは人族とのハーフのため、外見は人族に近い。でも筋力は純血の人より強いらしい。いわゆる細マッチョってかんじだ。

ひょっとして、と聞いてみれば二人は夫婦だそうだ。おおロリ嫁。


「いや、彼女の方が年上だからね。姉さん女房なんだ。ちなみに僕も君よりは年上だと思うよ」


なんやかんやあってこの町で暮らしてるらしい。まぁハーフの彼と女性鍛冶師の結婚だからな。色々あったんだろう。鍛冶師も男性中心の社会らしいし。


だいぶ脱線してたな。例の金属鎧の入った木箱を、マルクさんに床に置いてもらい、中身を確認する。


サイズ的には問題ないが、重量的には大問題だった。

小手だけでも何kgあるんだ?とてもじゃないが、これは無理だ。着れたとしても動けない。作ってて気が付かなかったんだろうか。


「いや、マルクはちゃんと問題なかったんだぞ。ただ依頼者がちょっと貧弱だっただけだ」


マルクさんすげぇ。つかドワーフ基準で作るなよ。


「うーん、金属鎧だと重すぎるのか。そうすっとアレかなぁ」


そういってフランさんが出してきたのは白っぽい皮鎧だった。胸当て、小手、脛当て、草摺(くさずり)(腰から腿を守るヤツ)、兜は原付のメットっぽい。

さっそく付けてみる。ちょっと胸当てが手こずったが、なんとか一人で着れた。サイズは問題なし。重量も大丈夫だろう。あとは慣れだ。


「おー、今度は大丈夫そうだな。そいつは地竜の皮を使った逸品でな。下手な金属鎧よりもずっと強度がある」


え?竜の皮?包丁の代わりにもらってもいいのか?


「あー、値段のことなら心配するな。近くのダンジョンに出るらしくてな。しかも加工できる奴が少ないから、この辺じゃ需要がない。需要がないから高くないんだ。まぁアタシは加工できるがな」


そういってフランさんはニヤリと笑う。基本地竜の皮は加工できる人が多い王都におくられるそうだ。王都ってどこよ?


「それじゃ、ちょっと動いてみてよ。どっか当たるようなら調整するから」


そういって槍を渡される。そういや槍なんて扱ったことないぞ。どうやって構えるんだ?こうか?

昔見たジャッ〇ーの映画を思い出しながら、槍を振るう。あれ?ジャッ〇ーが使ってたのは棍だっけ?

両手で振るう分には問題ない。片手でもなんとかなりそうだ。


「変わった構えだな」「うん。でも、なかなか様になってるね」


うろ覚えが好評価だ。でもどっかでちゃんと習おう。ギルドで教えてくれるかな。


「う~ん、ちょっと脇が当たる感じですね」


「どら見せてみろ。あー、これならすぐ直せるな。ちょっと待ってろ」


そう言ってフランさんは胸当てを剥ぎ取っていった。ついでに包丁も持ってかれた。


「あ、あと盾も見せてもらえませんか?できれば腕につけるタイプで」


「あぁ、いいよ。でも・・・」


「あ、はい。それは別料金で」


マルクさんが出してきたのは木製だが縁は金属で補強されている丸盾だった。

大きさは肘から手首が隠れるぐらい。持ち手もついており、ベルトで固定する以外にも持って使える優れものだ。使わないときは背中に背負えばいい。

重さもさっきの金属小手に比べれば、ずっと軽い。なんとかなるだろう。ならなかったら冒険者廃業だな。


ただし銀貨4枚。これでも大分負けてくれてるようだ。代金を支払う。

そうしてるうちにフランさんも戻ってきた。うん今度は問題なし。大分時間を取られたし、そろそろ店を出よう。と思ったらフランさんが、俺の手を引っ張る。


「あ、そうだ。地竜の皮鎧の手入れにはこのオイルが必要だぞ。ちなみに大銅貨3枚な」


勿論支払いました。残金は銀貨2枚、大銅貨1枚。うーん、心もとなくなってきた。甕の塩でも売るか。

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