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第221話 人類総風呂人化計画

 使っていないとはいえ、地竜の皮は毎日の手入れが必要な事に変わりはない。日々の手入れを怠って、いざという時に役に立たちませんでした……では、これを売ってくれた武器屋の二人に合わせる顔が無い。

 使っていないからこそ念入りにってね。同様に槍の手入れもする。こちらは毎日手入れする必要は無いが、まぁついでだな。油塗って拭くだけだし。研いだりはしない。必要以上に研ぐと、かえって傷みやすくなるそうだ。


 そんな手入れを終えれば、あとは風呂入って寝るだけだ。いつものようにクローゼットの奥にバックドアを呼び出す。そういえばサンドイッチマン用にベニヤ板を使ってしまったんだった。あれば便利だったから、明日にでも買いに行かないとか。


 バックドアをくぐろうとするタイミングでドアがノックされる。丁度良すぎるタイミングに、この部屋が監視されてるのかとも疑ってしまった程だ。まぁ、アイツなら余裕で出来そうだが。

 誰だろう? とも思わない。大方シャーロットが風呂に入れさせろとでも言いに来たのだろう……うん、無視でいいな。結局捕まって連れ戻されたとはいえ、先程の裏切りは忘れてもいないし、許してもいない。


 そう決め込み、バックドアをくぐろうとする。またもそのタイミングで、今度は強めにノックされるが、当然無視……いや、ここはハッキリ言っておくべきか? 今はまだいいが、これ以上騒がれるとガロンさん達にも迷惑が掛かってしまう。

 それに彼女の場合、居留守を使っても強引に入って来そうだ。話し合いに行ったはずが、相手を斬り殺してた前例があるだけに、絶対無いと言い切れない所が怖い。


 仕方ない。一応顔だけでも出してやるか。ひょっとしたら別の誰かとか、あるいは緊急の用事かもしれないしな。

 コンコンからゴンゴン、そしてドンドンとなって来た所でドアを開く。ドアの先には予想通りシャーロットがいた。予想外だったのは、シャーロット以外に、クレアやベルまでいた事か。


 女性陣が揃って何の用だ? まさかこれから四人で<ピー>でもしようってのか? <ピー>の中身? 麻雀ですが何か?

 俺が黙っていることに焦れたのか、クレアが口を開く。


「師匠のマジックルームって、実際はアンタのスキルだったのよね?」

「今朝、ちゃんと説明しただろ? あれは俺のスキルによるものに間違いない」


 飛空艇を飛ばしてみせた後、一本吊り作戦を説明するのと併せて、ザッと話してある。その時バックドアの事も話したので、それで納得してると思ってたんだけど、なんで今になって確認しに来たんだ?


「じゃあ風呂に入りたかったら、ショータにお願いすればいいのよね?」

「まぁそうだな」


 当然のことだが、バックドアは俺にしか出せない。更にお湯張りにMPが必要だけどな。まぁお湯張り自体はクレア達のMPでも出来るから、その辺は関係ないか。


「だったらお願い。アタシ達もお風呂に入らせて!」


 なるほど、クレア達もお風呂の良さに目覚めたようだ。飛空艇があれば人類総風呂人(ふろんちゅ)化計画が実行できそうだ。まぁしないけどね。

 そんな事はさておき、この話、アッサリ頷いていいものだろうか? 風呂を使わせることは別にいい。引っかかるのは、なんで今になってその話が出て来たんだ? ってことか。あと、二人の後ろで控えているシャーロットの存在か。


 後者はどうでもいいか。どうせ二人に便乗して、あわよくば自分ももう一度入ろうとか考えているんだろ。もし二人だけOKにしたら、シャーロットはどんな顔をするのかな?


 まぁ、シャーロットの驚いた顔はどうでもいい。それよりも前者だ。クレア達二人が、マジックルームの風呂の存在を知ったのは、何日か日前の話だったか。

 あの後ニ~三日会わなかったけど、彼女達がこの宿に引っ越してきてからは頻繁に顔を合わせるようになった。つまり今回以前にも、マジックルームを使わせてくれと、シャーロットに言っててもいい筈だ。

 そして、クレア達から頼まれれば、基本お人好しのシャーロットの事だ。なんとか叶えてやろうと、俺に一言言ってくるだろう。けれども、その割にはシャーロットからそんな話は聞いていない。


 ……結論。クレアは師匠であるシャーロットには頼みにくいので遠慮していたが、俺ならそんな遠慮はいらないってことらしい。


「シャーロットが持ち主だと思ってた頃はそんな事言い出さなかったよな?」

「あの時は……師匠がダメって言ってたからよ」

「あぁ、何度か風呂を使わせてくれと頼まれたが、お前のスキルの事だしな。全部断ってたのだ」


 おっと、どうやら俺の勘違いだったらしい。俺の知らない所で、色々とあったようだ。

 となると、断るのもアレか。人類総風呂人(ふろんちゅ)化計画の為にも、ここは彼女達に大浴場を提供するとしよう。

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