第22話 武器屋
さて冒険者には必要なものがある。そう装備だ。やっぱファンタジー世界に来たからには、金属鎧に大剣でドラゴン相手に死闘を繰り広げる。そしてドラゴンのお宝を手に入れて大金持ち!が理想だよね。
そこでやってきました、武器屋さん。何軒か武器屋さんはあるけど、初心者ならこの店がおススメよ。とギルドの受付嬢に教えてもらいました。
2階建ての石造りで看板代わりにデカい剣が飾ってある。あれ、錆びないのかな。扉を開け、恐る恐る中に入る。うーんちょっと薄暗い。所々ランプがともっているけど十分な光量とはいえず、足元にある木箱に躓いてしまった。なんでこんな入り口に木箱が?と疑問に思ってたら奥から、ヒョロっとしたお兄さんが出てきた。なんか武器屋よりも花屋のほうが似合ってそう、と思ったのは内緒だ。
「おや、お客さんかい。ああ、その箱は丁度これと入れ替えるところだったんだよ」
店主が持っていたのは、傘立て?に入った何本かの剣や槍だった。聞けばまとめて仕入れたら、思いのほか安くなったので、特売品として目立つとこに置くところだったそうな。
おお、ナイスタイミング。早速剣を手に取らせてもらう。うーん結構重い。そうだよな、これ鉄の塊だもんな。こんなの何本もまとめて持ってきてるんだから、この店主見かけによらず結構力持ち?
「ちょっと素振りしていいですか?」
「いいけど、周りに注意してね」
あっさりOKがでた。持ち逃げされたらどうすんだろ。案外簡単に追いつかれたりしてな。くだらないことを考えながら、ゆっくりと剣を振って・・・振れませんでした。
野球のバット感覚で振ろうとしたら体ごと持ってかれそうになった。見栄を張って一番大きそうな剣を選ぶんじゃなかった。もうちょっと軽いのを探そう。
どうもしっくりこない。命を預けるんだから、よりよいものを選びたいが、目利きなんてできない。だから結局は自身の感覚になる。
あれでもない、これでもないと試していたが、結局傘立て?からは見つけられなかった。仕方ないので店内を探すことにする。いつの間にか店主は店の奥に行ったようだ。客がいるのに店番しなくていいのか?
店内を探すがやはりピンとくるものはない。いかにも業物って感じの長剣もあったが予算オーバーだった。受付嬢のおススメだったけど、ほかの店にいってみるか。
俺が店を出ようとすると、店主が戻ってきた。手には短めの槍を持っている。
「いやー、マジックバッグの一番底に残ってたよ。これもそこに入れといてもらえる?」
客に商品の陳列させるなよ、と思いつつも手に持ってた槍を受け取る。槍というか柄のすごく長い短剣だな。
おお、見かけよりも軽いな。ちょっと振ってみる。なんだろ?バランスがいい。穂先が幅広の短剣みたいなわりに振り回しやすい。他の槍は穂先がシュッとしてて突くだけなのに対し、こいつは重量で叩くことも出来そうだ。
「気に入ったようだね。どうだい?安くしとくよ?銀貨9枚でどうだい?」
銀貨9枚が安いのかどうかはわからないが、そのまま払ってしまっては今日の晩飯代もままならなくなる。
「安く仕入れられたのでしょう?銀貨2枚」
「おっと、いうんじゃなかったね。銀貨7枚」
「この槍ちょっと変わってますね。売れ筋とは違うように見えます。銀貨1枚半」
「なぜ下げるのかな。じゃあ銀貨10枚で」
「すみませんでしたー。銀貨3枚でお願いします」フライング土下座。
「おお、なんか面白いね。でも銀貨5枚」
「そこをなんとか、銀貨3枚半」
「刻んできたねぇ。じゃあなんか面白いことしてくれたら銀貨3枚でいいよ」
はい、オーダー「一発ギャグ」入りましたー。




