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第210話 査定

「はい、ランペーロ十頭分の報酬、金貨二十枚です。それと星2への昇格ですね。おめでとうございます」


 買取カウンターでメルタさんが金貨とギルド証を渡して来た。受け取った時、なんだか力が漲って来たような気がしたな。ひょっとして、これでレベルが上がったのだろうか?

 まぁ、それは後で確認すればいい事だし、昇格したというギルド証を確認したけど、星が一個追加で刻印されただけのようだ。


 それより報酬の金貨だ。ランペーロを提出した時、ようやく「こ、これは……」が出来たけど、五人で提出した上、取り出したのがシャーロットだった為か、パーティーリーダーの彼女とそのお供という目で見られてたのはこの際どうでもいい。


 十頭で金貨二十枚。つまり一頭当たり金貨二枚なのだが、実際のところは評価はマチマチだったみたいで、例えばダリオ達が残した四頭分は一頭当たり金貨1.5枚と一番評価が低かった。

 まぁアイツ等全員でボコってたので肉としての損傷もひどく、討伐部位の角もなく魔石もなかったから当然と言えば当然か。


 次に低かったのは今朝一本吊りした四頭だ。死因が首吊りなので損傷はないのだが、血抜きをしてなかったのがマズかった様だ。

 それでも今朝吊り上げたばかりという新鮮さ?に加え、シャーロットの巾着袋に入れてたお陰か、ついさっき絞めたばかりともいえる状態だった。

 その辺が加味されてコイツ等は金貨二枚となったけど、査定係の話じゃ「血抜きの処理をしていれば一割は上乗せされただろうに」だってさ。吊り上げるのに夢中でその辺すっかり忘れてたよ。


 その次、というか一番評価が高かったのが俺達が昨日倒した二頭だ。特にクレアが囮になったのは金貨2.5枚の最高値を付けたのだ。ちなみに俺が死にかけたヤツは金貨2.3枚。

 危うく死にかけた俺より、必死で逃げただけのクレアの方が高値になったのにはちょっとモヤっとしたけど、シャーロットの人工呼吸の事を思えば、まぁいいかと思える俺は単純なのだろうか。


 と、ここまでで金貨18.8枚。依頼報酬の大銀貨二枚(二件分)を含めても十九枚と、実際の報酬には一枚足りてない。まぁ多い分には有難いだけだが、一応理由が有る。

 俺達が獲って来たランペーロというのは所謂初物ってヤツになるようで、その辺のご祝儀的なのが金貨一枚分増えた理由らしい。そして、そのご祝儀目当てにクレアはこの依頼を決めたそうな。道理で俺達と一緒に行きたがった訳だ。


 余談だが、ワゴン車サイズのワイルド・ボアが金貨一枚だったのに対して、軽トラサイズ程度のランペーロが金貨二枚と倍の値段が付いているのには、肉自体の美味しさもさることながら、この時期にしか獲れない希少性が理由だそうな。まぁ高値が付くならどうでもいいな。


「それと……クロゲワ・ギューは本当に買い取らなくていいのですか?」

「あ、はい。ガロンさんに解体してもらって、角と魔石だけ後で持ってきます」


 俺の返事であからさまにがっかりした様子のメルタさん。まぁベテラ……もといデキル受付嬢の彼女ならクロゲワ・ギューの価値は理解してるわな。もしギルドに卸していれば、あわよくば彼女の口にも入っただろう。


 だが残念。クロゲワ・ギューは五人で相談した結果、ギルドには卸さず自分たちで食べることにしたのだ。初めの予定じゃ、ランペーロ一頭を手元に残してガロンさんに渡すつもりだったけど、もっと美味い奴が手に入ったなら、そっちを渡した方がいいよな。

 まぁ流石に牛一頭、それも普通のよりずっとデカい牛に対して、食べ手が八人しかいないから、食い切る事はないだろうから、余った分はガロンさんに買い取って貰うつもりだ。

 尤も、十年に一度の代物らしいから、買い取って貰えるかが不安だけどね。その時は素直にギルドに卸せばいいだけか。


「まぁガロンさんには卸しますから、もしかすれば屋台に並ぶかもしれませんよ」

「……ガロンには必ず屋台に出す様に言っておくのよ? いや、いっそ試作品を届けてもらった方が……」

「あー、一応伝えておきます」


 何やらブツブツ言いだしたメルタさんは放っておこう。貰うものは貰った訳だし、サッサと皆の所に戻らないと、クレア辺りが騒ぎ出しそうだ。

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