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第205話 急襲

 だが、穏やかな時間は長くは続かない。

 初めは飛空艇の索敵レーダーが上空に赤い点を映し出す。と同時に警報らしき音が鳴り出した。なんだ? なにが起こった?

 次に反応したのはシャーロットだ。彼女は赤い点を確認するや、操縦席に戻るよう俺に指示する。エレベーターで移動するが、彼女は三人の所に向かうと言って上層でエレベーターを降りていった。


 何が起きたのかはサッパリだが、あれだけ焦った彼女を見るのは初めてだ。彼女の指示に従い、急いで操縦席に戻ると自動操縦から手動マニュアル操縦に切り替える。

 船視点で上空を確認すると、何かが飛んでくるのが分かった。遠くて姿は確認できないが、おそらく敵襲だろう。レーダーに反応した訳だし。


 どうする? 逃げる? 迎え撃つ? 急な出来事に頭が追い付かない。そんな俺を救ってくれたのは、三人を引き連れたシャーロットだ。


「飛竜だ! 全速力で逃げろ!」

「分かった!!」


 彼女の言葉に方針が決まる。頭の中の情報量がどうとか、飛竜って何だろとか関係なしに、とにかくこの船が出せる最大船速を絞り出す。

 急な加速に立っていた三人がよろめく。シャーロットは咄嗟に躁舵輪を握って難を逃れたようだ。


「まずいぞ……完全に見つかったようだ。それに僅かにだが向こうの方が速い」


 躁舵輪を握った事で彼女も船視点で確認が出来たのだろう。焦った声で呟くのが聞こえた。


「シャーロットなら魔法で何とか迎撃できないのか?」

「無茶を言うな。ワイバーンならまだしも、今の私では飛竜相手に有効な攻撃手段など持ってない」

「マジか……」

「それより飛空艇(コイツ)の方が攻撃手段があるのではないか?」

「そう思ってたんだけど、一向に武装関係のウィンドウが現れない。多分元々ないのか、何か別の条件が必要なのか……」

「ねぇ……大丈夫なの?」「ショータさん……」「……」


 クレア達がが不安そうな声で聞いてくる。俺達の会話に安心できる要素が一つもなかったためだろう。船視点の為顔までは見えないが、三人とも不安そうな様子だけはなんとなく分かった。


「分からん……とにかく全力で逃げるだけだ。それより揺れるだろうから、しっかり掴まってろ」

「……分かったわ」


 アレク君はともかくクレアの場合、気休めは逆効果のような気がするので正直に答える。すまんな、俺が遊覧飛行とか言いださなければこんな事にはならなかったかもしれないのに。

 いや、そもそもランペーロ狩りに行こうとしなければ良かったのか? 必死に逃げているせいか、思考がネガティブになっていく……って、痛い! 誰だ?! 急に人の頭を叩くやつは?!


「少しは気合が入ったか? 私達の命はお前に預けているんだ。しっかりしろ!」

「……あぁ、そうだったな。ありがとう……もう大丈夫だ。任せとけ」


 そうだ。俺は船長なんだ。船長ってのは乗客乗員全員を守らなくてはならない。それが船長の責務ってヤツなんだからな。だったら全力で守ってやるさ!


 先ずは防御だ。強化外壁(MP5)を解放すると早速展開する。その直後船体に衝撃が走る。強化外壁を展開したせいか? と思ったが、違うようだ。

 船視点で飛竜の様子を見ていたシャーロットが言うには、飛竜がブレスとやらを吐いたらしい。外壁を展開してなければヤバそうな威力だったそうだ。

 これで防御力は格段に上がったけど、飛竜を倒す手段がない以上、根本的な解決にはなっていない。それにブレスは防げるとしても、体当たりでもされたら、船はともかく中の人間が持たないだろう。


 だが、どうする? 武装は期待できない。シャーロット達でも無理。となると、あとは逃げるしか選択肢はない。が、速度は向こうの方が上。ならば機動力で勝負をかけるか?


 ……いや、違う。そうじゃない。勝負する方向が間違っている。船視点で船尾に迫る飛竜の姿を見た時、飛空艇(俺の中の魂)がそう叫んでる気がした。


 そうだよな。飛空艇(お前)の実力はこんなもんじゃないよな。飛空艇(お前)はもっともっと速く飛べるはずだ。だったら、その力を見せてみろ!


『MP10を消費して「召喚:ブースター」を解放しますか? MP25/50』


 MPが今まで最大の10だとか、機能じゃなくて召喚だとかはどうでもいい。この状況で出て来たんだ。微塵も迷わずYESを選択する!


『ブースターの召喚時間(MP1/s)を設定してください。 MP15/50』


 なんだ? 召喚時間? 時間制限があるのか? 良く分からんが、全額BET……いや、1だけ残して全部つぎ込む!


『ブースター召喚開始 召喚限界まであと14秒』


 ウィンドウがカウントダウンを始める。あまりの加速にシャーロットが躁舵輪から手を放す。潰される俺。根性で意識を手放さなかった自分を褒めてやりたい。




 そして、俺達は音速の壁を超えた……

~どうでもいい話~

「召喚:ブースター」をブーストポッドにしようかと迷った。

カウントダウンを「ブーストポッド作動!エンジン臨界点へカウントスタート!」にしようか迷った。

流石に色々ヤバそう(年がバレるとか)なので諦めましたが。

音速の壁 → 星になった ――完―― にするか迷った。完結詐欺タグが必要になりそうなので諦めましたが。

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