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第201話 クレーンゲーム

「もっと右よ! 右……あぁ、あ! 行き過ぎ! 戻って」

「ショータさん、もうちょっと前です……あ、そこ! そこです!」

「……!」

「あぁ、下がり過ぎてるのか、ありがとう、ベル」

……(フルフル)

〈ショータ、聞こえるか? こちら見張り台。周囲に敵影無し、作業を続行せよ〉

〈了解〉


 って、しんどいわ! なんだよ、船視点で飛空艇を操縦しつつ、三人からの細かい指示で位置の調整、さらに見張り台のシャーロットと『遠話』の魔道具で会話って。パンクするわ! せめてシャーロットのやり取りぐらいはクレア辺りにやってもらうべきだったと激しく後悔中だ。




 俺が思いついた作戦。ヒントは草を食むランペーロ、飛空艇のクレーン、下面搬入口、そして昨日の俺の窒息。そう、クレーンゲームだ。

 飛空艇で上から近づいて、輪っかをランペーロの首に掛ける。あとはそのままクレーンで引き上げれば、ランペーロの首吊り 飛空艇ver.の完成……になるはずだ。


 実際やってみところ、コッソリ上から近づくのは問題なさそうで、クレーンが下せそうなぐらい飛空艇を降下しても、ランペーロ達は呑気に草をハムハムしていた。

 尤も、そこからが手間だったけどね。3m四方の開口部とはいえ、フックの先に付けた輪っかをピンポイントでランペーロの首に掛けるのには、船体ごと移動する必要があるのだ。それにランペーロ自体、時々動くしね。


「よし、ショータさん。クレーンを降ろしてください」

「はいよ!」


 おっと、そうこうしてるうちに丁度いいポイントに行けたようだ。チャンスを逃さず、一気にクレーンのフックを降下させる。

 え? クレーンの免許? 玉掛け資格? 何のことだかサッパリですね。まさか異世界にそんなものが必要だとでも?

 ちなみにクレーンの操作は機能を開放したらなんとなく理解できた。というか、エレベーターと同じ用に、操作ボタン(前・後・左・右・上・下)が出て来ただけだしな。押したらその通りに動いたんで、そういうものなんだろう。


 自由落下並みの勢いで降りていくフック。向こうの世界じゃあり得ない速度だな。あの勢いでぶつかったらそのまま即死すんじゃね? って位の勢いだ。

 いかん、このままメテオストライク(物理・フック)をかましてランペーロを倒せたとしても、回収が面倒になる。素直に輪っかを首に掛けよう。


「あぁ……」「何やってるのよ!」「……(フルフル)


 と思ったら、上手く掛からなかったようだ。気を取り直してもう一度……。


「あぁ……」「もっと下よ」「……(コクコク)


 うるさいな。そう思うなら、自分でやって見せろよ。


「え?」「あ、いいの? じゃあやってみるわ」「!!」


 俺の心の声が漏れてたのか、クレアが操作ボタンを奪っていく。俺に表示されてた筈のウィンドウのくせに奪われるとか……。


「こうすればいいのね……行くわよ!」

「おぉ?」「……!」「一発かよ……」


 クレアの放ったフックwith輪っかは狙い通りランペーロの首に掛かった。当の本人(牛?)は死のロープが己の首に掛かった事にすら気付かず、呑気にハムハムしている。それが最後の食事とも知らずに……。


「よし、上げろ!」

「このボタンね!」


 クレアがボタンを押すと、ランペーロの巨体が一気に吊るされる。そこに来てようやく己の状況を悟ったのか、必死にもがくランペーロ。首が締まっている為か、悲鳴すら上げることが出来ない。

 そして悲しいかな偶蹄目の蹄では、ロープを切ることもほどくことも出来ず、飛空艇に収容する頃には既に息絶えていた。


「( ゜д゜)……」「( ゜д゜)……」「( ゜д゜)……」「……(゜д゜ )」(゜д゜)


 自分で立てた作戦とはいえ、こんな風になるとは……これはもはや狩猟ですらないよな。ただの一方的な殺戮だ。あまりの光景に他の三人もポカーン顔だ。


「お、上手くやれたようだな。どうした? 四人ともそんな顔で」

「シャーロット……この作戦はダメだ。あまりにも一方的過ぎる」


 俺の言葉にシャーロットは真剣な顔で諭してくる。


「……ショータ。命を奪うという事は綺麗事だけじゃないのだぞ?」

「それでも……これは何か違う。こんな倒し方があっていいはずがない」

「それは違うわ。コッコゥを絞めるのとどこが違うのよ」

ランペーロ()コッコゥ()じゃ違うだろ!」

「同じよ! 多少大きさが違うぐらいじゃ、やることなんか大して変わらないわよ」

「そうです。ショータさんは流れ人だから分からないかもしれませんが、ボク達にはこれが普通なんです」

……(コクコク)


 ……そう……なのか? ランペーロを狩るために色々苦労してる連中を見たからか、こんなやり方は色んな意味でズルいと思うのは間違っているのか?


「ショータ……この飛空艇はお前が持つ能力の一つに過ぎない。その能力を十全に使って相手を倒す事は、決して間違っていない筈だ」

「……そうだな」


 確かに、首吊りの光景がアレなだけで、ヘッドショットを狙った長距離射撃で仕留めるのと似たようなものだろう。あれだってやられる方にしてみれば、一方的な殺戮だろうしな。


「……スマン、取り乱した」

「まぁ慣れないうちは折り合いがつかないだろうからな。気にするな」

「……ありがとう」

「とりあえず、このやり方の有効性は分かったわ。これなら今までよりも、ずっと楽に狩れるわね」

「そうですね。空からのせいか、ランペーロからの反撃もありませんし」

……(コクコク)

「この調子で、ニ~三頭狩っておくか?」

「あぁ、そうだな。村が近いとはいえ、他の連中が来るのはもう少し先だろう。その前に狩って、そのまま撤収しよう」

「了解だ」

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