第183話 狩猟開始!
昨日は予約投稿に失敗してたみたいで、申し訳ありませんでした。
さて色々あったが、やっとランペーロが落ち着いて狩れる様になった。既に日が傾き始めているが、どうせここで一泊の予定だし問題はない。
ロジオノ達は約束通りハグレになりそうな外側の個体は狙わず、むしろ密集している中央寄りのを狙うようなので、さっきみたいに群れが移動することもなさそうだ。
「アレならいけそうね……狙うわ」
ジッとハグレが出るのを待つことしばし。やっとウージィの群れから抜け出したランペーロが現れる。というか、あれは草を食むことに夢中になり過ぎて取り残されたのに気付いていない状態だな。
食い意地が張ってたせいで狙われるようになるとは、何て間抜けな奴なんだ。でも、そんな奴が居なければ俺達は打つ手が無かったのだから、むしろ居てくれてありがとうと思うべきか。
クレアが矢を番えると慎重に狙いを定める。距離は20m位か? ソコソコ遠いが、これ以上近付くのも危険らしい。図体がデカいとはいえ、確実に当てられる距離となるとこの辺がギリギリのようだ。
妙な緊張感に、思わず息をのむ。勿体ぶらずにサッサと射ろよ、とも思うがこればっかりは彼女のタイミングでしかない。
外れたり、間が悪ければウージィも一緒に来ることになる。そんな事になれば俺達は全滅するだろう。この一射に掛かるプレッシャーを考えれば、彼女が慎重になるのも当然と言えば当然か。
だがそんな緊張感を跳ね除け、彼女は矢を放つ。その矢はたがわずランペーロの尻に当たる。攻撃されたことに気が付いたランペーロは、俺達の姿を見つけると猛然と走り出した。
「来たわよ! 作戦通り足を狙うのよ!」
クレアの指示が飛ぶ。俺達だって無策で挑んだわけでは無い。ランペーロの特徴としては、その突進力もさることながらホーミング性が厄介だ。
ワイルド・ボアの場合は一直線に突き進み、障害物があろうとなぎ倒す。しかしランペーロはちゃんと障害物を避けることが出来るので、ギリギリまで引き付けてから躱す必要がある。
そう聞くとランペーロの方がワイルド・ボアよりも強そうに感じるだろうが、強さのランクとしてはワイルド・ボアの方が上になる。
なぜならワイルド・ボアは障害物があってもなぎ倒せるから突進してるのに対し、ランペーロはなぎ倒せるほど突進力が強くないから避けている為である。
当たれば即死の突進と避けにくいが重傷どまりの突進。脅威度としては即死の突進の方が高くなる。それにランペーロ自身が避けられる速度でしか走ってないから、速度としてもワイルド・ボアの方が速いらしい。
ついでに言うと、障害物にぶつかっても平然としてれるほどの耐久性がワイルド・ボアにはあるって事も脅威度が高い要因の一つだ。そんな奴を一撃で倒すシャーロットはもっとヤバそうだ。
まぁ長々と突進力の脅威を述べたが、それを封じてしまえば十分倒せる敵って事だな。『暗殺』パーティーなら一撃で倒してたほどだし、『釣り』パーティーは普通にボコって倒していた。
さて、一撃で倒せるほどの実力もなければ(シャーロットを除く)普通にボコれる実力もない(ry)俺達がとる戦法は、ボーラで足を封じる作戦だ。
ワイルド・ボアの時と違い、今回は十分に対策を考える時間があった。ロープは馬車に用意してあるのを使わせてもらったし、石はその辺で拾えばいい。
それに万が一、いや百が一ボーラが通用しなくても、ウコッコゥを倒した俺達なら正面からやりあっても勝てるだろうと、シャーロットのお墨付きだ。その最後の切り札もいる訳だしな。
突進してくるランペーロの足を狙うべく俺達は散開する。クレアはランペーロから必死に逃げる役割だ。尤も、追い付かれそうになったらシャーロットが壁を出す予定ではあるがな。
俺、アレク君、ベルはその前にボーラを当てる役割だ。一応外れてもいいように一人三つは最低用意してある。ベルは両手に一つづつ持ってのダブル投擲だ。クマさんって器用なんだな。
「きゃあぁぁ!!」
クレアの叫び声がうるさい。もうちょっと静かに逃げろ。
「さっ、さと、投げ、なさ、いよ!」
いやいや、こういうのはギリギリまで引き付けてからの方がいいんだよ。某ヤ〇ト艦長だって言ってたしな。決して必死になって逃げてる顔が面白かったわけでは無い。
だが、そんな俺とは違い、クレアの身を案じてなのか明らかに早いタイミングで投げるアレク君。流石のボーラでも、当たらなければ効果はないよな。
次に放たれるのはベルのダブル投擲だ。が、同時に投げたせいで互いに絡まり、これも不発。なぜ同時に投げたし。
いよいよ俺の出番かと構えたその時、どこからともなくボーラが飛んで来ると、見事ランペーロの足に絡まった。え? 誰が投げたんだ?
アレク君が投げなおしたのかと思ったが、それにしては方向がおかしい。ベルはもう一度ダブル投擲をすべく両手にボーラを持ち直している所だ。勿論俺も投げてないし、クレアが投げられるわけもない。
「ん? 私も投げるつもりだったのだが、マズかったのか?」
まぁ、シャーロットが投げただけなんだけどな。てっきり今回も観戦してるのかと思ってたよ。




