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第18話 辺境の町 マウルー

 俺は町に向かい草原を歩いている。

 道らしい道はないが、生えてる雑草は膝程度の高さなので、歩くのには支障はない。


 しばらく歩くと、遠くに石造りの城壁のようなものが見えてきた。

 やっと人工物に出会えたな。

 目標が見えてくると、自然と歩く速度も上がってくる。


 さらに歩き、ついに俺は城壁に到達する。

 でも入口がない。壁がずっと続いている。

 うーむ、入口はどこだろう。




 俺は東に向かって歩いてきたんだから、この壁は西側の壁ということになる。

 当然、左が北であり山側でもある。


 北に行くか南へ行くか。

 うーん……北の方が近いから、北側に向かって歩いていくか。


 壁に沿って歩くと門が見えてきた。

 よかった、こっちに門があって。

 南側にしか門がなかったら、ショックのあまり飛空艇呼ぶとこだった。


 門が近くなると人や馬車が並んでいる。

 おお、馬車だよ馬車。

 やっと中世っぽさが出て来た気がする。


 これまで草原か山か塩の平原だったからな。

 ようやく中世、いや人里に降りて来た感じだ。


 俺も列に並んでみる。

 前の人たちを眺めていると、どうやら街に入るのに審査があるようだ。


 みんな水晶玉を触っている。

 そしてカードを出すか、銅貨っぽいのを払っている。


 ふむふむ、あのカードは身分証かな?

 そして身分証がない人は銅貨を支払うと。


 あれ? 俺の場合、身分証なんて持ってないぞ。

 あぁ、そういや銀貨っぽいの拾ってたな。

 これ、使えるのか?


 あと他の人達の雑談も理解できている。

 聞こえているのは日本語とは全然違う言葉なのに、ちゃんと意味がわかる。

 言語理解すげぇ。





 そうこうしてるうちに、俺の順番が回ってきた。


「お、見かけない顔だな。どこから来た?身分証は?」


 げ、ほかの人は聞いてなかったぞ。

 顔見知りだからか?


 そんなことより、何と答えようか。

 地球から来ました。で通じるのか?


「はじめまして。えーっと地球から来ました、でいいのかな? 身分証はありません」

「チキュウ? 聞いたことないな。魔族のようでもないし、うーむ……」


 やば、訝しまれてる。

 なにか言い訳を考えないと。


「あ、あの……住んでた場所は、ここからずっと遠いチキュウって所なんですが、今日はあの山の向こうから来たんです」

「うーん……まぁ、こんなヒョロそうな奴なら通しても大丈夫か」


 ぐ、何気にディスられてる。

 だが、通してくれるなら必要経費だと、我慢しよう。

 ただやられっぱなしもイヤなので、睨んでやる。


「そう睨むな。とりあえずこの玉に触ってくれ」


 例の水晶玉だな。

 ペタッと触ってみるが変化はない。


「変化はなしか。犯罪歴はないようだな。じゃあ入町税として、大銅貨1枚頂くぞ」


 おお、この水晶玉にはそんな機能があるのか。

 触るだけで犯罪歴がわかるなんて、何気にハイテクだ。


 しかし大銅貨か……大ってことは小もあるのか?

 あとで貨幣の種類も調べないとだな。


「えーっと、これでも大丈夫ですか?」


 と行き倒れから埋葬料として頂いた銀貨っぽいのを差し出す。

 これがダメなら回れ右して帰るしかない。


「お、魔銀貨か……まいったな」


 え? なんか不味いの? つか魔銀貨? 銀貨とは違うの?


「すまんな。お釣りの銀貨が足りないんだよ。ちょっと詰所まで来てもらえるか?」

「あー、ちょっと待っててください。他にないか探してみます」


 どうやら魔銀貨は銀貨よりも価値があるらしい。

 でもノコノコついて行って大丈夫かな? いきなり捕まらないよね?


 とっさに小銭を探す振りをして時間を稼ぐ。

 だが俺がポケットの中を探していると後ろの人から声がかかる。


「なんなら私が両替しようか?」


 驚いて振り向くと、フードを被った人がいた。

 声からすると女性のようだ。


「私もさっさと入りたいんでね」


 といってジャラジャラと銀貨を差し出してきた。


 ひーふーみー……銀貨は10枚あった。

 どうやら魔銀貨は銀貨十枚分のようだ。

 あの行き倒れ、何気に金持ちだったんだな。


 門番の人も黙ってみてるようだし、レートはあってるのだろう。

 素直に魔銀貨と両替する。


「助かりました」

「いや、さっきも言ったが、私もさっさと入りたいのでね」


 よっぽど早く入りたかったらしい。

 その恩に報いるためにも、素早く順番を譲ろう。

 俺は門番さんに、両替したばかりの銀貨を一枚渡す。


「こっちの都合ですまないね。じゃあお釣りの大銅貨9枚だ」


 どうやら銀貨一枚で大銅貨十枚分みたいだ。

 となると、十枚ごとに次の貨幣に変わるのかな?

 そんな事を考えつつ、手続きを終了し門をくぐる。


「おっと初めての人には言っとかないとな。ようこそ辺境の町マウルーへ」

18/01/15

諸々修正。

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