表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
174/1407

第174話 馬車道

 ゴトゴト、ゴトゴト。馬車は順調に進んでいる。天気も上々、街道沿いの為かモンスターの出現もない。荷台から眺める景色も、見慣れれば退屈な風景に早変わりする。

 そう、ハッキリ言って暇だ。出発して一時間も経っていないが、風景は基本草原で、たまに森のそばを通る程度。景色に変化が無いってのはこれほど暇だったのか。


 こんな時は暇つぶしの道具でもあればよかったんだけど、その辺の用意はしてなかったからなぁ。かといって、他の連中は思い思いに暇つぶし中なんだよなぁ。

 ちなみにクレアは何か瞑想中でシャーロットは寝てる。ベルは幌の上で周囲の警戒中だし、アレク君は御者に集中している。俺もシャーロット見習って寝てるか。




 仮眠のつもりがガッツリ寝てたようで、起きたら馬車が止まっていた。もう着いたのかと思ったけど、太陽を見たら、まだお昼にすらなっていない。多分休憩で止まっているんだろう。

 荷台にも御者にも、勿論幌の上にも人影はない。全員降りたようだ。だったら俺の事も起こしてくれて良かったのに。


「あら、起きたのね。グッスリ寝てたから起こさないようにしてたんだけど、まぁいいわ」

「ここは?」

「休憩所みたいなところね。川と街道が近い所には、こうして木が植えられて休めるようになってるのよ」

「へぇー」


 クレアとベルが馬に水をやりながら答えてくれる。まぁ答えるのはクレアだけだけどな。アレク君は木に寄り掛かって休んでいる。流石にずっと御者るのもしんどかった様だ。

 あれ? シャーロットの姿が無いな。クレア達に馬の世話を押し付けて、あいつもサボりか?


「師匠ならコッコゥを狩りに行ったわよ。もうすぐ戻って来るんじゃないかしら」

「そうか」


 すまん、サボりは俺だけだったようだ。暫くするとシャーロットがコッコゥを片手に戻って来た。巾着袋に仕舞ってくればいいのに、見せびらかす様に戻って来る辺りが「仕事してます」アピールっぽい。

 ぬぅ、なんか俺だけ遊んでましたって気がするな。ここは一つ、御者を代わってもらうべきか?


「次は俺が御者をやらせてもらっていいか?」

「えーっと、そうd「それなら私が代わるわ!」……だそうです」


 なんだか、あからさまに取って代わられたな。そんなに俺の御者が信用できないのか? これでも一応は合格点もらえたんだぞ?

 でもまぁ免許取りたての運転手の車には、誰だって出来れば乗りたくないか。俺だって遠慮するだろうしな。


 コッコゥの血抜きを済ませると、馬車の旅が再開される。今度の御者はクレアが務めるので、アレク君は馬車で待機組だ。

 馬車で待機とか、どっかのゲームっぽいよな。で、そのうち牧場送りになったりしたっけ。まぁアレク君が送られる前に、俺が送られるだろうけどな。


 その後も馬車の旅は順調に進んでいく。一回だけゴブリンの襲撃があった。全速力で振り切っても良かったんだけど、次の誰かが襲われてもなって事で、返り討ちにしたのだ。

 ゴブリン六匹に対して俺達は四人だったけど(シャーロットは馬車の護衛に残った)、簡単に蹴散らすことが出来た。数が多いとはいえ、連携も無かったので楽勝だった。


 ただちょっと気になったのは、クレアが呟いた「この辺もゴブリンが出るのね」って言葉だ。

 ランペーロ狩りを受けた時、ついでにこの辺の情報も聞いてたらしいんだけど、その中にはゴブリンの情報は無かったそうだ。

 ただのハグレのようだが、近くに巣があるようなら潰しておきたいらしい。そんなにゴブリンが憎いのか。でも先を急ぐので却下だな。一応決定権は俺にあるし。




 ゴブリンの襲撃後は特に何も起こらず、昼を過ぎたころには、ランペーロが目撃された草原に辿り着いたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ