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第172話 乳がん検診

――ピピピピ


 目覚ましの音がする。そうか、昨日は飛空艇で寝たんだったか。久しぶり過ぎて一瞬どこで寝てたのか分からなかった。

 寝室のベッドの寝心地は最高の一言に尽きる。宿のベッドも悪くはないが、やはりこのマットレスの感じといい、掛布団の心地よさといい、左腕から感じる至福の柔らかさといい、最高だな。


 ん? 左腕? なんで左腕だけなんだ? 大方飛空艇の機能によるものなんだろ? だったら両腕、いや全身でこの柔らかさを感じたいものだ。

 左腕だけに味わさせてなるものかと寝返りを打とうとする。けど動かない。いや動けない。どうやら左腕がこの柔らかいモノでがっちり固定されているようだ。しかも左手はしっとりすべすべな温かさに包まれている。

 

 ここに至ってようやく左腕の状態が何かに捕まれていることに気が付く。何となく予想は付くが答え合わせのため、左腕を挟む至福の感触に右手を伸ばす。


――ムニョ


 この感触。やはりアレか! いや、アレとは限らない。もう一度確認しなくては。そう、これは確認のために触るのだ。


――ムニョムニョ


「……ん♡」


 至福の感触から声がする。やはり奴だ。いつの間に潜り込んだ? まぁいい。それよりも、もっと確認しなくては。決して奴が目覚める前に堪能したい訳では無い。


――ムニョムニョムニョ


「……」


 ヤバいな。マジで癖になる感触だ。こんなのを好きなだけ触れるなんて、なんて羨ましい奴なんだ。まぁ仮に俺にあってもな……奴が持っているからこそ、その価値があるのだ。


「…………」

「よし、確認も済んだことだし、起きるとするか。シャーロットに乳がんの兆候は見られません。こっちの世界にあるかは知らんけど」

「それが遺言でいいのだな?」

「すみませんでしたーーー!!!!」


 勿論土下座しました。


「ほう……最近のドゲザはベッドの上でやるのか?」


 素早く床へダイブする。床といってもフカフカ絨毯だからダメージはないけどな。焼き鉄板とかじゃなくてよかったぜ。


「ふん、まぁよかろう。私も勝手に潜り込んだわけだしな」


 そうだよ。俺一人で寝てたはずなのに、なんでシャーロットまで一緒に寝てたんだ? 彼女の寝る所なら居室もある訳だし、なんなら宿のベッドだってある。ワザワザこのベッドを使わなくてもいいはずだ。

 あれか? シャーロットの奴、このベッドの寝心地の良さの虜にでもなったのか?


「まぁそれもあるが、この前泊った部屋はどうも夢見が悪くてな」

「この前って言うと、薬草採取で一泊した時か?」

「あぁ、あの時変な夢を見たのだ」


 夢? そういえば俺もあの時変な夢を見たよな。延々と槍の練習をする夢だったか。あれは飛空艇の機能だったけど、まさかシャーロットも似たような夢を見たのか?

 気になったので聞いてみたけど、彼女の場合は戦闘訓練の夢ではなく、魔法訓練の夢だった。延々と魔法を撃ち続けたらしい。


 「MPを気にせず撃てるのは素晴らしいな」とか「あんな魔法もあったのだな」とか言ってるから、俺の戦闘訓練と似たような機能なんだろうな。

 そうなると残りの二部屋の機能も気になるな。泊ったのはクレアとアレク君か。今日は一緒に行動するし、あとでそれとなく聞いてみよう。


「それより、そろそろ支度をした方がいいのではないか?」

「そうだった。すぐに着替えるとしよう」


 今日は朝一でギルドへ行って馬車を受け取り、そのまま出発する予定だ。馬車なら半日で着く距離とはいえ、アクシデントはいつ起こるか分からないしな。余裕をもった旅程にの方がいいだろう。

 顔を洗い、いつもの装備を身に着けると宿の食堂へ向かう。流石の風呂人ふろんちゅも今日の朝風呂は遠慮した様で、彼女も一緒に付いてきた。


 いつものテーブルに着くと、普段よりも早い時間にもかかわらず、ちゃんと朝食と弁当が用意されていた。早起きしてくれたガロンさんに感謝しつつ朝食を済ませる。ちなみに今朝のメニューは焼き魚定食だった。ひょっとして気に入ったのかな?


 食事を済ませ、五人で荷物の確認をした後、宿を出る。見送りはガロンさん一家総出でやってくれた。マロンちゃんがちょっと眠そうだったけど、ちゃんと「いってらっしゃーい」と手を振ってくれてたな。まぁ手はマデリーネさんによって振らされてたっぽいけどね。

今話で三十万字を突破しました。

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