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第161話 移動手段

指名依頼を受けた俺達は、メルタさんガロンさんとも別れ、一階の溜まり場っぽいテーブルで指名依頼の事を相談することにした。

 まずは今回の依頼の準備には何が必要だ? 移動手段は飛空艇があるから大丈夫だよな。それとも馬車でも借りた方がいいのか?


「なぁ、ランペーロってヤツを狩るのに何か準備が必要なモノとかあるのか?」

「そうだな……特にないだろうが、馬車を借りておいた方がいいだろうな」

「え? 移動手段はアレがあるから、いらないんじゃないのか?」

「よく考えてみろ。馬車を借りないとなると、普通なら徒歩で目的地まで行くことになるんだぞ?」

「馬車と徒歩で何か違うのか?」


 この世界じゃ馬車以外の移動手段は基本徒歩だ。飛空艇なんて例外中の例外といえる。でも俺の場合、その飛空艇が使えるんだから、馬車なんて必要ないはずだよな?


「はぁ……馬車というのは運搬量もそうだが、速度が徒歩よりもずっと早いのは流石に分かるだろう?」

「そうなのか? 昨日アレク君達が使ってた荷馬車だと歩くのと変わらなかったぞ?」

「あれは町中だからだ。町の外に出れば駆け足程度の速さで半日駆ける位、その辺の馬でも出来るな」


 ついでに教えてもらったけど、伝令用の軍馬なんて人の全速力位スピードで一日中走り続けることも出来るそうだ。マジか! 異世界の馬すげえな。


「それでだ、そんな馬車で半日、徒歩なら場合によっては一泊する程の距離がある場所まで、お前はどうやって行こうとしていた?」

「だからアレ(飛空艇)なら楽だし直ぐに着くからいいじゃないか?」

「そうだな。アレなら日帰りも可能かもしれないな」

「早く達成できるんだからいいんじゃね?」

「…………ハァ」


 だいぶ呆れられている。ヤバい、ちゃんとした答えを見つけないと通信簿に「ショータ君はもうちょっと考えましょう」とか書かれそうだ。

 多分シャーロットの懸念は飛空艇を使った場合の問題点だろう。というかそれしかない。でも、何が問題になるんだ?

 

 召喚する時はいつもの場所で、シャーロットに辺りを確認してもらえばいいだろ? それとも確認位自分でやれって事か?

 いや、それなら今までも言う機会はあったはずだよな。となるとなんだ? 移動時に見つかる可能性は、認識阻害があるから心配ないだろ?


 うーん……こんな時は発想を逆転しよう。どっかの裁判ゲームでもやってたしな。飛空艇を使うのを逆転するって事は、飛空艇を使わなかった場合か。

 さっきも言ったように飛空艇も馬車も無いんだから、当然移動手段は徒歩になる。つまり往復だけで二日は必要になる計算だ。


 更に現地で狩ってる時間も必要だよな。行きました、見つけました、狩りました。なんて事はないだろうし。いくら目撃情報があるとはいえ、あちこち探す時間は必要だろう。

 つまり移動で二日、現地で一日いや、二日ぐらいは必要か? 合計四日位は見積もる必要があるわけだ。そう考えると、期限の一週間は妥当な所なんだろう。あっ、そうなると――


「そうか、馬車も無いのに日帰りしたら、どんな移動手段を持っているんだ? って事か!」

「やっとわかったか……馬車でも往復するだけで一日必要なのに、日帰りなんてしてみろ、誰だって不審に思うだろうな。それとも向こうで何日か時間を潰すか?」

「あー、それは流石に時間の無駄だよな。よし、それなら馬車を借りることにするよ」

「その方が無難だろう」


 速すぎることが逆に足枷になるとはな……思ってたよりも飛空艇の扱いが面倒だった。


「それにな……今回は飛空艇を使うのはヤメておいた方がいいだろう」

「え? なんで? 別に馬車なら飛空艇のカーゴルームに入れられるだろうし、そのまま移動すればいいんじゃないのか?」

「いや、ランペーロというのはある時期にしか現れないのだが、その時を狙って多くの者が狩ろうとするのだ」

「ほー、期間限定のモンスターって事か」

「……まだ分かってない様だから教えてやるが、我々以外にもランペーロを狙っている連中がいるという事だ」

「つまり、場合によっては取り合いになる訳だな」

「それもあるだろうが、そいつらに飛空艇を見られる事になるが、それでもいいのか?」

「あー、確かにそれは不味いな。いくら召喚している所を見せなくても、飛空艇で乗り付けてる時点で、目を付けられそうだ」


 一般の生徒が通学に徒歩か自転車で通学してるのに、自家用ヘリで校庭に乗り付けるようなもんだろうからな。明らかに「なんだコイツ」って思われる訳だ。

 思われるだけならまだしも、「よし奪おう」なんて事になったら、俺は勿論シャーロットだって勝ち目はないだろう……多分。彼女なら何人来ても勝てそうな気がするけど、「多勢に無勢」って言葉もあるしな。


「なるほどね。なら今回は飛空艇に頼るのはやめておこう」

「そうしておけ。無駄に己を危険にさらす必要は無い」

「はいよ。あ、そうだ。馬車を借りるのはいいけど、シャーロットは御者ができるのか?」

「……多分」

「おい!」


 散々借りろとか言っといて、運転できませんじゃ意味無いだろ!

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