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第160話 依頼受注

「『パレシャード』様、こちらへどうぞ」


 ガロンさん待ちで暇を持て余し、あっち向いてホイをシャーロットとしてたら、ギルドの職員っぽい人に呼ばれた。

 ちなみに犬耳というか犬顔の職員だ。ぱっと見、服を着た二足歩行する大型犬だな。肉球もあるんだろうか? そのまま二階の方へ案内されると、そのまま応接室っぽい部屋へ案内された。


 どうでもいい事だが、あっち向いてホイは俺の全戦全敗だった。シャーロット曰く「ショータの動きを見てからでも余裕」だそうだ。

 ジャンケンに関してのスキル等の使用は無かったが、あっち向いてホイは彼女の素の反応速度だけで負けてしまったのだ。揉めた時の取り決めがジャンケンだけにしておいて良かったぜ。


 犬顔の職員に促されるまま入った先には、ガロンさんと昨日の受付嬢がソファに座っている。彼女が今回の担当ってことなのだろう。

 取りあえず挨拶をしてから受付嬢(メルタさんってお名前らしい)の対面に座る。ローテーブルを挟んで片方にガロンさんと俺とシャーロットの三人、もう片方にメルタさん一人の配置だ。ハッキリ言って狭い。

 シャーロットは同性なんだしメルタさん側に座るべきだったんじゃないのか? もしくはガロンさんでも可。俺? 俺はリーダーだから対面に座ってキチンと聞かないとだし。


「……まぁいいでしょう。それより今回の依頼ですが――」


 すし詰め状態の俺達に微妙に呆れながらも、淡々と依頼内容の書かれた紙を広げるメルタさん。さすがベテラ……もとい敏腕なヒトは違いますね。


「ほう、ランペーロか……もう奴らの時期なのか?」


 シャーロットが今回のターゲットに興味を示す。というか俺以外誰もランペーロって何よ? と言い出さない。この世界じゃ常識なのか?

 結局ランペーロとやらの事は分からずじまいだったが、とにかくこの町から馬車で半日程度南に行った草原で見かけたって事らしい。あとは行ってみてのお楽しみってヤツか。


 コッコゥ五羽じゃなかったのは残念だが、ガロンさんならそう無茶な依頼をしてこないだろう。シャーロットを見ると、彼女も頷いている。多分大丈夫だろう。あれ? コイツの頷きって大丈夫だったよな?

 まぁいい……ダメならゴメンナサイだ。って指名されてる奴の考え方じゃないな。いや、俺達の力量に合っていない依頼を出した奴が悪いんだ。そうだそうだ。無理して死んだんじゃ、元も子もないし。


 あ、そうだよ。ダメだった時のことも聞いておかないと、「ダメでした」「じゃあ奴隷ね」なんて事になるのはゴメンだ。

 それと期限もあるようなら聞いておかないとか。往復するだけで馬車で一日掛かるんだから、明日までって言われても無理だしな。


「受ける前に幾つか確認したいのですが、よろしいでしょうか?」

「はい、どうぞ」

「えーと、まずはダメだった時のペナルティというか罰則ですね」

「おいおい、いきなりダメだった時の事からかよ」


 依頼主(ガロンさん)は黙ってて。これでも一応は元社会人なんだし、そう万事上手くいくなんて思ってもいない。むしろ行かない場合の方が多いからな。


「今回の場合、指名依頼ですので指名料の倍額を依頼主に支払うのと、信頼度ポイントがリセットされますね」


 新人への指名だと銀貨一枚だそうだから、この場合は銀貨二枚をガロンさんに支払う必要があるのか。逆に言えば罰則はそれだけだから、再挑戦もしやすいのか?


「あとはギルドとは関係ありませんが、同じ依頼主からは指名されることはないでしょうね」

「そうなんですか……」


 当然と言えば当然か。折角指名してもらったのに、その期待に応えられなかった訳だからな。


「罰則は了解しました。それと期限はいつまででしょうか?」


 俺の質問に何故か三人とも呆れ顔を向ける。


「……」トントン


 メルタさんがジト目で俺を見ながら、依頼票を指で叩いている。あ、ひょっとして……


『期限:一週間』


 Oh、ちゃんと書いてあったぜ。いつも見てる薬草の依頼票って、無期限のせいかその辺の事が書いてないだよな。おかげで気が付かなかったぜ。


「スミマセン、見落としてました」

「おいおい、依頼票はちゃんと確認しておかないと痛い目見るぜ」


 はい、今まさに見ている所です。 


「……分かりました。質問は以上です。ではランペーロ? ってヤツを狩ってくればいいんですね?」

「ハイ、必要数は一頭です。証明部位は角になります」


 Oh,そうだった。証明部位を聞いてなかったぜ。さすがデキル受付嬢は違うね。こんな新人のうっかりをちゃんとフォローしてくれる、ナイスな受付嬢様だ。


「おいおい、ショータ達はマジックバッグ持ちだぞ? 当然丸ごと持ってくるよな?」


 どうなんだ? 丸ごと持ってこれるのか? チラッとシャーロットを見ると、これまた頷いている。まぁトロールが入ったんだし入るだろ。まさかトロールよりデカい獲物を指定するとも思えないし。


「大丈夫だと思います」

「おう、頼んだぜ! 上手く持ってきてくれれば、俺の方でも買い取るからよ。あぁ、出来れば血抜きはやってあると助かるな」

「了解です」


 なるほど、コッコゥみたいに食材になるモンスターなのかな? となると、当然ソイツを元にガロンさんの料理が作られるはずだ。これは依頼達成への意欲がさらに跳ね上がるな。

 シャーロットも「ガロン殿が作るランペーロ料理か……」とか呟いている。おいおい気が早すぎるぞ? その涎はもうちょっと待っとけ。


「「グー」」腹の虫もな。ってメルタさんまで鳴らすなよ。

「クー」俺もな。さっき食ったばかりだろ。

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