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第138話 B

「どうした、ショータ? 例の群生地へはこっちだぞ?」

「いや、こっちであってる」


 北門を出た俺達は真っ直ぐ北へ向かわず、城壁に沿って西に向かう。目指すは例の墓標付近だ。あそこまでいけば飛空艇を召喚しても目立たないはず。


 そう、今回は群生地へは徒歩で向かわず、飛空艇を使って行くつもりだ。多少遠回りでも、獣道以下の森の中を藪をかき分けるように進むよりはずっと楽だしな。


 ただし、不安要素はある。出発地である墓標周辺は草原なので、飛空艇を着陸させても問題は無い。

 だが、群生地周辺は着陸できるスペースが確保できないのだ。確保できないというか、薬草を踏み潰すことになるので、着地してはいけないと言うべきか。


 向こうで着地できないなら、飛空艇で行っても無駄じゃね? と思われるかもしれないが、だったらそもそも着地しなければいい。

 飛行機と違って飛空艇はホバリング出来るから、採取してる間位は空に浮かべておけばいい訳だしな。


 そして残る問題点は、どうやって現地で乗り降りするのか? だけど、それも俺の予想が正しければ解決できる筈だ。

 まぁダメでもタラップがあるしな。何とかなるだろう。




「よし、シャーロット。周りに誰もいないか確認してくれ」

「ほう、作戦とやらは飛空艇を使う気か。だが、あの場所は着陸出来るとは思えないぞ?」

「大丈夫。我に策アリってヤツだ」

「まぁよかろう……大丈夫だ。周辺にはコッコゥ位しか居ない」

「分かった。じゃあ呼び出すぞ……飛空艇召喚!!」


 例によって音もなく現れる飛空艇。こうして召喚するのも久しぶりだ。バックドアが便利過ぎて、あっちばかり使ってたしな。

 だが今日は本来の使い方が出来るのだ。タラップを登り船内に入る。そのとき「今日はよろしく頼むな」と、馬を撫でられなかった代わりとばかりに船体を軽く撫でる。何となく船体が震えたのは気のせいか。


「ん? 操縦室に行かないのか?」

「あぁ、こっちの開放を先にしておこうかと」

「ほう、それがショータの作戦とやらか?」

「まぁそんなところだ」


 エレベーターにシャーロットと一緒に乗り込み、『R・3・2・1・B』と並んだボタンを眺める。やっぱり妙だよな。

 『R』が見張り台、『3』が上層フロア、『2』が中層フロア、『1』が下層フロアとなっているのは使ってみて分かっている。でも『B』って何処よ?


 普通エレベーターで『B』と言えば地下の事を示すけど、飛空艇に地下なんてあるのか? って、使う度にずっと気になってたんだよな。バックドアで使ってた時は、押しても反応すらしなかったし。

 だったら、こうして飛空艇を召喚すれば答えが出るはずだ。でなきゃ、そもそも付ける必要ない訳だし。そして、多分この『B』ボタンを押せば……


『MP1を消費し「機能:搬入口/下面」を開放しますか? MP50/50』


 やはりか。下層でエレベーターを降りた時に搬入口の上に出たから、多分そういう事なんだろうと思ってたが、予想通りでよかった。

 YESボタンを押し、改めて『B』ボタンを押す。すると俺達は再び船の外にいた。ただし今度は船の下だ。見上げれば船底がすぐそばまである。

 あれ? 飛空艇をもっと低い位置に召喚してたら、出られなかった? ……結果オーライだな。そういえば着陸用の足みたいなのが付いてないけど、召喚してからずっと浮きっぱなしだったのかね。


「ほう、『えれべーたー』からでも外に出られるのだな」

「みたいだな。そして多分ここからも入れるようになったはずだ」

「ほう……」


 実際、ボタンウィンドウが出たままだしな。

 あとは、このエレベーターでの出入りがどの高さまで可能かってことを確認すればOKかな。まぁ、それは現地行って確認すればいいや。最悪この高さまで下がればいいだけだし。


「よし、これでメドがついたから、群生地に向かうとするかね」

「了解だ」


 返事はいいけど運転は俺がやるから、シャーロットは特にすることは無いんだけどね。

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